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人文死生学研究会

2016-03-25 23:00:00 | 活動メモ
人文死生学研究会(第14回)・心の科学の基礎論研究会・合同研究会

(日時)2016年3月27日(日) 午後1時半~6時(午後1時開場)
(会場)明治大学 駿河台研究棟2階・第8会議室
   (研究棟はリバティータワーの裏手の12階建ての建物です。次の地図をご参照下さい)
    http://www.meiji.ac.jp/campus/suruga.html

(内容)
1  「死後の非在と生誕前の非在を較べることは可能か~時間と世界の形而上学からの検討」
  1時45分ごろから。
     【話題提供】新山嘉嗣 (秋田大学)
     【討論】参加者による自由討論

2 「生物進化・文化進化のカオス性と人間原理」
  4時ごろから
     【話題提供】蛭川 立 (明治大学)
     【討論】参加者による自由討論

■(発表要旨1)
「死後の非在と生誕前の非在を較べることは可能か~時間と世界の形而上学からの検討~」
 かつてルクレティウスは、われわれは生誕前にも永遠の非在があったのにそれに恐怖をもつものはいないのだから、死後の永遠の非在も同様に恐怖に足るものではないと唱えた。しかし、現代の論者達はこの「ルクレティウスの対称説」にそろって異を唱え、両方の非在は非対称であり死後にのみわれわれにとっての害悪は発生するとした。今回の発表では、仮にわれわれが二つの非在に対して非対称を支持しているのだとすれば、時間や世界に関わる形而上学についてはどのような立場をとっていることになるかを明確にしたい。すなわち、英米圏の現代時間論と可能世界意味論における諸説に照らして、非対称とする立場はどのような主張をしているのかを見てゆきたい。そして、発表の最終的な到達点では、そこにおいて非対称性の根拠が示されるのではなく、対称や非対称を問うことの困難が示される予定である。

■(発表要旨2)
「生物進化・文化進化のカオス性と人間原理」
 人間原理についての科学の側からの考察は、もっぱら物理学や天文学の分野で行われており、生物学や人類学の知見は軽視されてきた。物理定数が生命の存在に好適なように「微調整」されているということから「強い人間原理」に議論を進めるのは飛躍である。進化のプロセスはカオス的であり、進化生物学の知見は、単純な生物から人間のような「知的な」生物が進化するのは場当たり的なプロセスだったことを示しており、また文化人類学の知見は、知的な人間が必ずしも天文学的宇宙論に関心を持つとはかぎらないことを示している。この宇宙とは別の宇宙は観測不能かもしれないが、系外惑星の発見が今では当たり前であるように、いずれは地球外生命も当たり前のように研究されるようになり、宇宙は微生物とその化石に満ち溢れていることが明
からになれば、自己言及的な観測者が進化する必然性のなさが改めて認識されるだろう。それまでは、オーストラリアのような、地理的に隔離された大陸で起こった進化のプロセスが地球外進化の近似的なモデルになる。以上の議論を踏まえれば、むしろ「弱い人間原理」、つまるところ観測選択効果で話を収めるのが穏当な結論であろう。                           

(参加資格)どなたでも参加できます。

(世話人・代表)三浦俊彦
(世話人) 渡辺恒夫
(世話人) 蛭川 立
(世話人・事務局)重久俊夫

心の科学の基礎論研究会に関しては、以下のHPをご覧下さい。
http://www.isc.meiji.ac.jp/~ishikawa/kokoro.html

(文責・重久俊夫)