三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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コンタクト系15

2012-08-12 17:03:00 | モンスター映画
 ■屋根裏のエイリアン■ ありがとう、笑わせてもらいました! こういう普通に上質のコメディって、なかなかないんだよねえ。姉貴の恋人がテンション高すぎだけど、リモコンされちゃってるんじゃ仕方ないか。しかしなんだな、子どもらが大人の力を借りようとしないばかりかエイリアン騒動を秘密にするべく必死こいてるのって、モチベーションがちょい不明瞭じゃなかったかな。もちろんそのおかげで話は面白くなったけどね。全般メリハリ効いててテンポよくて大満足だけど、とくにおばーちゃんとにーちゃんのバトル、キテるよあれ。コメディだからって決して半端じゃないぞ。終了寸前ににーちゃんが「なんで~~!」って覚醒するタイミングも絶妙だったし。エイリアンが巨大化するとは思ってなかったけど、バトルもしつこくなる前に終わってひと安心。大人は最後まで誰も気づきませんでした、の巻ですか。
 ■かいじゅうたちのいるところ■ おおっと……この映画……、意外とダークなんだな……。もっとほんわか系かと思った。ずいぶんシリアスでやんの。絵本の方は見てないんだけど、やっぱこんなんなのかなあ。しかしこの男の子、泣くのうまいね。かあちゃんに突っ放されてベソかくとことか。それが連動してるんだな、かいじゅうたちの微妙にというかあからさまにサイコな感じとね。島に着くやいなや目撃する家ぶっ壊しシーンのシュールさがまたすごかったよねなんとも。メルヘンチックな外見と異様に暗めの内容が摩擦音を立てているというか、砂漠の荒涼ぶり森の鬱蒼ぶりの対比がまた暗さ要素を深めているというか、こりゃあちょっと類例のないオカシナ映画だったぞ。
 ■トロール・ハンター■ POV系はずいぶん増えてきたんで、内容的分類優先してコンタクト系ってことで。って内容といってもトロールは知能を持ってないらしいのでコンタクトとも言えなそうだが、一応自然保護というか、トロールなる動物種の保護というか、そんなんがテーマっぽいのでここに。しかしトロールって何種類いるんだろ。早々にあいつが肩を噛まれたってことは、人間大のやつもいるわけだよな、最後まで姿見せなかったけど。巨大トロールの出番が4回あったうち、一回目の石化する瞬間がもうすばらしいったらありゃしないね。顔が三つってあの姿が怖すぎなのが効いてるんだな。二回目の爆発シーンはカメラがしっかり捉えていてほしかったよ。POVでやってる以上、あの状態じゃ橋の影になっちゃうのがリアリティあるって理屈もわかりますけど。あと最後の超巨大トロール、シーンによって大きさがまちまちじゃなかったかい。光線当ててたときは、車で逃げてたときやバズーカみたいので殺しちゃうときに比べてチョイ小ぶりだったような。まああんだけデカいとちょっとぐらい変わっても同じか。しかしなんとも、一回目の登場シーンに話戻すと、赤外線撮影での巨大怪獣って迫力あるんだなあと。目撃側の視界の制限が恐怖を倍増させるんだな。新しいビジュアルに巡りあえた感というか、久々に本格モンスター映画を楽しめた充実感がありますよ。あとほら、ラストの字幕メッセージが、冒頭のメッセージと矛盾していて傑作でしたね。簡単なトリックだが、ノンフィクション性の主張とフィクション性の主張との衝突ってか。うまくやりましたな。まあしかし、ラストもその線で押しまくったとはいえ、あんだけ巨大な生物、しかも群居性の哺乳動物、しかもあの声で吼えまくる動物を民間人から隠し通すなんて超不可能だと思うよ。現に送電所の職員はあれで知っちゃったでしょ? あそうだ、終盤に車に乗り込んできた地震学者とやらは? あれでおしまい?
 ■パラノーマル・アクティビティ3■ これももちろんPOV系だが、再び内容的分類優先してコンタクト系ってことで。今回は首振りカメラアングルが加わったが、それ特有の効果をちゃんと生かした現象をフィーチャー。その工夫ぶりには好感が持てた。ほら、あのシーツのバサっ、てやつのことですけど。あの現象、意外とホラーの急所突いてるですよ。至近距離真後ろだもん、怖いよあれ。どうやって近づいてきたか、映さずに想像させるのがPOVゆえごく自然に出来てる。おまえはイタズラ妖精かってノリだが、ああいうチンケな現象が一番怖い気がしてきたよ。この系統つまり室内POVスタイル、そろそろ飽和して続編は無理でしょう的ムードも漂いまくるが、あのなんだっけ、ブラッディなんとかの、鏡の前で電気消してじっとしてるああいう遊びとか、POVの可能性はまだまだこれからかも、って気合いがみなぎってますね。俺的にこの映画、シリーズ中でもけっこう点数高いです。三つのカメラの多様な映像が勝因かな。なんか力ずくっぽいけど、シーツの工夫もあったことだし。だたまあ、なんだな、すべての原因はおばーちゃんに!ってああいうオチにいっちゃうんなら、おばーちゃんの顔、もうちょい映してもよかったかな。前半出番多くしとくとか。で、トビーって結局?
 ■デイブは宇宙船■ 笑えた。文句なく笑えた。さすが専門のお笑い芸人だ。でも話の方はすげー地球本位の話だよな。エイリアンが地球人の生活に触れて初めて愛を知りましたってご都合パターン、俺好きじゃないんだけど、宇宙船デイブと船長デイブの未亡人とのコンタクトぶりがなかなかよくて、ダンスのとことかそりゃもう見入っちゃう展開でしたから。未亡人の彼氏(かな?)の影が薄かったせいもあってあの二人、てっきり「いい感じ」になってくのかと思いきや、やっぱナンバー3との目覚めのためのステップでしたか。まあ正解ですよね。
 ■ジム・ヘンソンの不思議の国の物語■ 「ジム・ヘンソンの」って邦題がどうやらインチキらしいが、そんなことはどうでもいいや。かなり面白かったのでね、視覚的に。妖精の造形がまことによろしい。キャラも。声も。なんもわからんで南京錠あけちゃう赤ちゃんも可愛い。赤ちゃんが可愛いからってアップで写したりせず基本無視してもっと大きな子どもらの方に焦点合わせ続けるカメラワークもいい。子どもらが翼はやかして空飛ぶとかいろいろ、表現の部品はだいたいありきたりなファンタジーなんだが、適度に気むずかしい数学者の伯父さんや解剖好きの坊ちゃん周辺のオタクっぽい雰囲気もあってうまく定型をかわした統合ぶり。むろんティラノサウルスにはもっとしっかり動き回ってもらいたかったけど、まあ地下室だったしあれでいいか。で結局お父ちゃんも無事戻ってきて、一家幸せで終わるわけね? まあいいでしょう。
 ■赤ずきん■ オオカミとの会話能力の有無がポイントなのでコンタクト系でお願いします。あの牧師(だったよね)、大口叩いてたわりにはあっさり噛まれちゃったですね。慎重に結界まで張っといてねえ。オオカミは誰なのか、おにーさん二人のうちどっちかってのは動かないと思ってたけど、そうきたか。超意外。謎解き仕立てだったことが謎が解かれてからわかるという……。姉さんが殺されたわけも……。で、あれですか、最後のあれって、けっきょくオオカミとして生きてく決心をしたってことですか、だったらお父ちゃんを殺しちゃったの、無意味だったんじゃないかなあ。いや、結果論だからリアルでいいのか。
 ■宇宙人ポール■ う~ん……、コメディとしちゃ無難な出来なんですかね……。やけに馴れ馴れしいポールの振る舞い、いかにも無理してコメディやってる感ありありで、オタク二人組との掛け合いもなんか強引なのが多いし、だいたい命かけた逃亡劇だってのにポールに緊張感なさすぎなんだよ。道路でも街中でもわざわざ怪しまれる行動とってるしさ。観客サービスはいいから。真剣に逃げてくんないと客も笑えません。変にスレまくってて好感持てませんっつの。せめて『デイブは宇宙船』くらいのひたむきさがほしかったよ。まあ、よく出来てた点を一つだけ挙げておきましょうかね。追跡班の部下二人、とくにオタクの方、もともと上司に反感持ってたわけだし目標がエイリアンだって判明したとたん、上司に逆らって逃亡助けたりすんのかと思いきや全く逆。あそこで「あれ? そういう展開じゃないでしょ」って私ゃ不満だったんだが、そうか、そういう事情でしたか。うまい筋書きです。エンタメの定石逆手にとってくれましたな。宇宙船とヘリコプターがやってきて「そうはさせん」のあたりまですっかり騙されてました。ただそのあとがダメダメだったなア。サイクロプス女の父ちゃんのむちゃくちゃな介入がここでも裏目に出て、なんなのあのチープなプロレスは? やめてほしい。お別れ感動シーンもなんとなくおざなり、サイクロプス女への「いっしょに来るかい」もとってつけた感芬々。コンタクトに深みが感じられない。もっかい言うけど、コメディやるならそれなりに真面目にね。
 ■タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら■ 殺人鬼と被害者サイドがテーブルはさんで「話し合い」するってわけでこれ、広義のコンタクト系に。しかし期待とはだいぶ違ってたな。あのパターンって、「気のいい二人」が自分らへの誤解に気づかないまま進展してくのが正解じゃないかなあ。早々に自分らの立場わきまえちゃってる設定なもんで滑稽さ半減って感じ。せっかくのすばらしいアイディアが十分生きなかったか。学生らが次々自滅していくテンポが快感だっただけにまことに惜しい。学生の一人がなんとも、殺人鬼との対決にやたらハイになってた理由ってそれでしたか~~的謎解きなんぞ全部省いていいから、勘違い殺人事件の本筋に集中してほしかった。終盤に入るだいぶ手前の段階で殺人鬼の役柄がはっきり交代しちゃったのもマイナス点。ありきたりなドタバタにならないためにも、タッカーとデイルが最後までじっくり殺人鬼モードでいてほしかったよ。
 ■ゾンビアス■ なんや寄生生物と契約結んだらしいからコンタクト系ってことで。そりゃあ私としては支持派ですがね、この系統。しかし、一般映画であんまりジャンル特有のシーン乱用してほしくなかったってのが正直なところ。腹痛描写、半ケツ放屁描写はまあいいとして、しゃがみ真後ろアングル@ボットン便所は専門ジャンルのためにとっといてくださいよ、ああいう絶好シーンは。表現の自由が優先ってわかってますけどね、そう熱烈に見たいと思ってもいない視聴者の目に安易にさらすのはいかがなものかと。(出演女優というかアイドルというか、彼女らの素肌シーン目当ての視聴者は多そうだけど)。あ、終盤のスカート吹き上げオナラ描写だけはマジ嬉しかったですから。リアルのオナラビデオじゃなかなか、というか決してああいうの観れないんで。(冷凍室でオナラしてもらえば、水蒸気の形でオナラが可視化できるから画期的な放屁ビデオが出来るはずですよ、とジェイドの社長さんにリクエスト兼提案しといたんですが……http://www.premiumcyzo.com/modules/member/2011/12/post_2941/ ……)。ま、言いたいことまだまだあるけど、一斉尻向け歩きは無理っぽかったよとかいろいろ、ともあれラスボス的クリーチャーのアホ造形がかなりよかったんでとりあえず満足です。
 ■邪神バスターズ■ なんだよ。これほどチープだったとは。ラブクラフトなんだし少しは暗黒感仄めかすとか、クリーチャーだけでももうチョイ気合い入れて作ってくんなかったかな……。オタク野郎のキャラも意外と生きてなかったし、ただのよくあるドタバタかい。ドタバタならドタバタであの水棲人が一騒動起こしてくれるのかと思いきやそれもないままただぐったり状態のまま終わったし、ちぇ、なんでぃ。どっちかにしろい。ラブクラフトが泣くよね。

トラウマ系26

2012-08-11 16:27:00 | モンスター映画
 ■茶の味■ 面白い! 脱力しちまった。なごんじまった。これはいい。このムードを出せたのは奇跡に近いな。しかしどこがいいんだろう。わっかんねーとこがまたいいんだってば。大した事件が起こるわけじゃないのに魅入られちゃう。これぞ俗な意味で芸術だな。端的に「人間」にはまってしまうわけだな。事件じゃなく。って具体性に欠けてゴメン。とにかく良かったってことで。家族全員みんな独自の濃厚臭を漂わせてる。三浦友和を除いてだが。家族以外の人間たちもだ。転校生女子の投げやりな自己紹介最高。「部活入った?」「囲碁部」「うそ!」「囲碁好きだもん」的教室内外の会話ことごとくがナチュラルでナチュラルで。ところどころ羽目を外したようにみえるシーンもなくはなかったけど。電車ン中でのコスプレコンビのカラミとかね。あとクドい場面もなくはなかったけど。浅野忠信が元カノの店の前でいろいろ言うとことかね。でもそんなあんなも結果的にゃ全体の中に融け込んでいて成功。か~ちゃんのアニメ試写をみんなで見てる背後の即興効果音なんか満点のノリですよ。あのくらいに各シーンを抑えてたらホントとてつもない純粋芸術にまでブッとんじゃってただろうな。だから面白おかしく楽しく観せるにゃ時々ズッコケかけてるくらいのあの現状で良かったのかも。我修院の爺さんがとくにナイスだったと言うべきだろうけど、なんて名前だっけか逆上がりの女児がサイコーでしたねっ。演技なのか地なのか。巨大ドッペルゲンガーがスーッと蒸発してゆくカタルシスも清々しい。あの子があっこれ自分、と珍しく自己主張(つかなんつか)口にしたりしてみんなで見るパラパラアニメんとこ(あそこのシーンだけは三浦友和の感慨深いセリフのナチュラル度が映えてました)なんか泣けましたよ、まったく。『鮫肌男と桃尻女』『PARTY7』がともに最低ランクの愚作だっただけに、『茶の味』の達成度は評価できますな。
 ■ライアーゲーム■ スリリングでした。秋山のキャラクターが光ってる。同じ詐欺師ものでも『クロサギ』よりこっちのほうが遙かに手に汗握るモード。ただなんというか、第1シーズンをたっぷり見終わったとき、その時点でワタクシ戸田恵梨香って知らなかったんですが、ヒロインがさっぱり印象に残ってなかったんですわ。なぜだろう。顔も声も覚えてない。戸田恵梨香あんなに可愛いのに。つまりあの時点じゃそういう見方してなかったってこった。完全にパズルモードだったわけで。第2シーズンからは戸田恵梨香意識して観たけどね。しかしほとほとよくできてるよ。あらゆるゲームの中で少数決ゲームが頭脳度高くて最高だったかな。さても驚いたことに、あとから読んでみた原作ときたら、この映画版よりまたワンランク上のクオリティなのでした。ほんと脱帽ですよ。現代マンガのレベルって高いんだなぁ。なお余談ですが、今や私はいくぶん戸田恵梨香フェチです。このドラマ見てた時点じゃなぜか全然気づかなかったあるパーツゆえにね。彼女のイメージビデオとか『恋極星』とかいろいろ、買っちゃいました。
 ■変態村■ てっきりスプラッターかと思ってたんですよ。レザーフェイス系かと。そしたらこれでしょ。参りました。いや、たしかに変態ですよ。意味ちょっと、いやかなりずれるとは思うけどね。変則変態、変態的な変態って感じだな。女装させられた男が逃げる途中で罠か何かに引っかかって泣くとこ。あそこにゃ笑ったね。そりゃ泣くわ。泣くしかないでしょ、意味わかんないあんなトラップかけられたら。村人らもふざけてるわけじゃなさそうだしね。殺すわけでもなさそうで。ほんと何させたいんだか、アイデンティティが取り違えられてる時点で対処の仕様もなく。来る者来る者みんな元村人扱いってわけかな。一種ナンセンス系にも踏み込んだ異様系でした。あんな小説書きたくなってきたな。
 ■アウェイク■ おお、ひさびさにストーリー物を見たわい! いやぁ、ああいう展開になるとはな! いや、観てる最中はちょっと先が読めていくんですよ。はっきり読めちゃうんだけど、意外と意外感旺盛で、うん、お母ちゃんが自ら犠牲になるってところ、しかもクスリを使うんだろうなってところ、あまりに予想通りなのに同時にあまりにツボなので、いやああ、爽快でした。しかし序盤、ああいう具合に友情と世間的権威とを対立させられると、誰だって友情の方がイイモンだと思うよね。そりゃあ権威がワルモンですよ。キャスト的にも友人はいかにも胡散臭い黒人だったしさ、意外感狙いであの友だちイイモンに決まってるよ。医師免許停止だったか訴えられたの何回とかだったか、そういういかがわしい経歴こそ伏線になって「でもこっちが正解ですよ。地位や実績じゃなくて人間性ですよ」って流れに決まってる。エンタメだもの絶対そうなる。って思ってたのよ。主人公を説き伏せるかあちゃんとおっさんの傲慢な態度からして絶対そうでしょ、ふつー。「今度なんとかかんとかの会長になる」だの医学界での地位鼻にかけてるしょーもない俗物ジジイいだもの、キャラクター造形のロジックとしてあいつ絶対悪者。あいつのせいでアウェイク。そしたら見事に逆でやんのよ。見事に友人の方がヤブ×ワルの二重苦でやんのよ。方やおっさんすげー腕前じゃん。根性じゃん。使命感じゃん。ほんとエンタメの定石打ち破ってるよね。粉砕だね、お手柄だよほんま。計画実行のため途中で休憩させられたチーム外の医師のポケットに覗く酒、それを見ていやぁな予感に焦る妻、どれもこれも芸が細かいよ、ほとほと。もう一回観たらさらにいろんな伏線に気がつきそうだな。でも展開があまりに巧みだからほら、肝心の「覚醒」の話が影薄くなっちゃったよね。すげーエグイ閉鎖空間モノ期待してたんだけど、痛み描写も最初の方だけだったし、なんか別のジャンルだったね。いや、いいんです、流麗なエンタテイメント観せてもらったんで。
 ■12グラム■ 心臓移植モノでも『アウェイク』とは正反対の文芸モードね。スタイリッシュというかエピソード寸断ぶりもいいところ、しかしこんなんでも不思議とストーリー理解できちゃいやんのよ。人間の理解力って面白いもんだなぁ。『メメント』ほど律儀に逆流させてるわけじゃなくて、行ったり来たりのランダム系だものな。あれよあれよとだんだんわかってくるとこが奇妙な快感。前科者がやたら善人なとこが光ってる。かと思えば子どもひっぱたいたりね。あの種の犯罪者って、更正しきったと思いきやふと凶暴さが垣間見えるとこが怖いんだよね。俺途中まで、あの数学教授(?)が妻と出会うまでが一つのエピソードになってるのかと勘違いしてたよ。あの女、そうじゃなかったよね、心臓提供者の妻だよね。場所がプールだもの、気づけよって感じ。寸断モードに気をとられすぎたよ。でまあ、ラストに拳銃ぶっ放しが続いたのにはチョイぶちこわし感あり。ああいう映画じゃなかったと思うんでねえ。
 ■ある戦慄■ おおおっ! ついに! ついにつきとめた! つきとめました。これ、『真夜中の戦慄』じゃないですか! いっや~、DVD化されたんだなあ。俺にとって幻の名画よ。小学生ん時にテレビで観るともなくぼんやり観ていた映画ですわ。男が女を執拗に追っかけて、「もういいよ」と諦めると女が「待って」と逆にすがりつくシーンとか、電車内でキスしまくっているこの男女を向かい側の席の中年夫婦がちらちら見てるシーンとか、また別の男女二人組シーンで女が男の前景をコツコツハイヒール音立てながら行ったり来たりして何か文句言いまくっている地面すれすれアングルとか、いろいろ記憶に残ってて、しかしその後の展開がさっぱり記憶に無し。たしかテレビの前に一緒にいた母親が、キスしまくりシーンのところで「こんな映画」と消してしまったような記憶もあるようなないようななので、そもそも途中までしか観てなかったのかもしれん。ともあれ、異様に鮮明に残っている記憶内の名画でしてね。放映タイトルが「真夜中の戦慄」だったことも鮮明に覚えてるくらいだから。それがこんなところで再会できるとはなあ。パッケージ見てて、「もしや???」とは思ってたのよ。いやあ懐かしい。ワル二人組の異様なテンション、メチャクチャぶりには笑えるが、あの二人は記憶の中には無し。序盤に登場してたから見てはいたはずなんだが、小学生基準ではキスシーンの印象に掻き消されちゃったかな。ともあれ怪我してない方の軍人とストーカー男のヘタレぶりが愉快。二番目くらいに立ち向かった頑固ジジイが「こら、そこの若いの、何とかしろ」ってストーカー男に怒鳴るわけだが、女への態度とはうってかわってビビリ丸出しの色男。いやあこのシチュエーション、おんもしれーじゃんよ! 大して強くもないチンピラ二人をなぜに人数に任せて取り押さえることができないのか。一人が立ち上がると他の全員ダンマリに沈潜、さっきまで戦ってたやつも選手交代で沈黙、って繰り返しがリアルなんだかリアルじゃないんだか実際問題として笑えちゃう。登場の瞬間から不機嫌に怒鳴りまくってる黒人男なら何とかしてくれるかと思いきや、傍観者決め込むスタンスが中途半端ゆえ泣かされる羽目に。ああいう形で決着するならもっと早くなんとかせいよって感じだが、まあ臨界値を越えて初めて弾みで解決、ってリアルだよね。ラスト、警官が乱入するや黒人男を押さえつける描写、すげかったね。ああいう描写が解禁になったんだなあとしみじみ。これ、六十年代半ばの映画だよね。う~ん。余韻たっぷり。余韻いえばしっかしあのあと各ペアの関係は難化しただろうなぁ。
 ■ファーゴ■ これも笑えるしょーもない悪人二人組。こっちは動と静というか、対照的なワルふたりの行き当たりばったりのやっつけ仕事ぶりがメチャ笑える。だいたいどこ探したらあんだけデタラメな人材調達できるんだよ。依頼主、頭悪すぎですよ。しかしヤナギダの登場意義がわからんかったな。リアリティのための細部? 女警官が「手を挙げろ」って何度も叫び直さなきゃなんないあたりの表現はリアルだったんで、とくに枝葉のエピソードのほのめかしは必要なかったような気も。
 ■イン・ハー・スキン■ こいつはサイコパス系じゃないよな。逆だな。感情の嵐系というか、境界性人格障害系。「なんだ、普通に殺すのかよ」って感じだけど、デブスの力をもってしてもなかなかとどめを刺せないマウントポジション首締めシーン、唾だらだら粘液シーンが鬼気迫ってました。あそこ名シーンですよ。しかしこういうリアル描写系って、たいしたストーリー無くても観れちゃうもんですねえ。話の展開はてんで予想通りなのに、人物の表情にいちいち戸惑っちゃうですよ。失踪直後の(つかまだ失踪とも決まったわけじゃない時点での)大騒ぎぶりからして遺体発見を知らされた暁にゃさぞや……と思いきやあれでしょ。で夜になってから号泣なのね。なにげにリアル。ラストってあれ、デブスがムショ内でいつしか可愛くなってる演出って理解でいいのかな? しかしたびたび出てきたあの独白、てっきり殺された娘の魂が語ってんのかと思ったもん、『ラブリーボーン』みたいにね。そしたらデブスの方でしたか。微妙すぎるどんでん返しがさわやか。
 ■セルビアン・フィルム■ こいつはどうだろう、レザーフェイス系っぽいトラウマ系。出だしに感じさせる異様な期待がある程度続くんだけど、孤児院のムードもおぞましすぎてグッドだったけど、早い段階で飽和しちゃったかグダグダとは言わんがいまいち緊張感が伸びなかったな。あ、いっときますけど、出産シーン直後に生まれたばかりの赤ちゃんをレイプする、鎖でつながれた女を背後からファックしつつ刀で首チョンパ、顔を袋で覆った幼稚園児を犯してたら実の息子だった、等々とりとめのないグロシーンが出てくるのでこれから観賞する人はそのつもりでね。ってとりとめなさすぎてショック薄かったですよ。一体何をやりたかったんだか。これでもかって気合いは買うけど、ポリシーが感じられないなあ。「新生児ポルノ」が売りだったのか、スナッフに徹したかったのか。ラスト、心中するこたぁないんじゃない、って感じだが、あれしか終わらせ方がなかったよね。
 ■LOVE GAME■ あまりのツマラナサに途中何度も観賞放棄しようかと思ったが一応最後まで見ちゃったのは結果としてよかったかな。ベタなストーリー展開のオンパレード、勉強になったよ。いや、ライアーゲームの二番煎じ臭芬々なのはまあいいんですよ。だけどねえ……、そもそもクリアしたやつ何人かいたじゃない。なぜにゲームオーバー? たとえば第4話とかさ。とっくに誘惑できてるし。第6話、何度もプロポーズされてるし。第7話、ちゃんと略奪できてるし。第10話、明らかに抱けてるし(やっぱ勃起しなきゃダメ?)。第13話、一応挙式やったっぽいし。なにはともあれ、一日でよくもまあというほど事件連続。オチが二転三転するのが心地よいっちゃ心地よい回もいくつかあって、そうだな、第5話と、あとかろうじて第8話かな。しかしまあ全般、第6話の背後霊みたいなストーカーにしろ第12話の超々急展開にしろ、荒唐無稽すぎるっつの。第13話なんぞ、あんなとこでナイフで刺し殺してそのあとどうするつもりだったの? 血とか後始末も大変だしさ。やっぱテレビドラマって芸術にゃなりにくいわ。基本、俳優目当てで見るのが正解かね。第8話の木下あゆ美、よかったなあ。
 ■ゴールデンボーイ■ ふむ、設定の歪みが面白い。老人と高校生のコンタクト系だな。総統への忠誠に目覚めてロボットモードになっちゃうじいさんを焦って止めようとするとこなんぞ映画ならではの表現だよね。
 ■コントロール■ そうか、コントロールって、そっちのコントロールだったか。予期してなかったなあ。どんでん返しで感動させてくれましたな。しかし世の犯罪者ども、ああいう手でほんとにかなり改善できるんじゃないか。って抑止力にはならんか。そうか、犯罪者予備軍にやればいいんだな。でも、謝りに行くだけのために拳銃が必要だったのはなんで? 邪魔する奴は殺す気だったのかよ?
 ■ダウト■ なんだかちっともわかんねーや。人間関係とか。固有名詞だけボンボン出てきて本人不在だし。ただ、わかんなくてもいいってことが途中で察しがつくんで、見てられないほどじゃなかったな。
 ■エイリアン・ライジング■ どこに分類すればいいのかなあ。あのモンスターときたらあの本家エイリアンそっくりで個性ゼロなんで、女保安官のトラウマらしき原体験をやたらフラッシュバックでぽんぽん見せられるあたりでトラウマ系にしとけっと。で、途中までよし、よしと思って観てたんだけどね。とくにクレジット出てるオープニングの背景がチープながらムードたっぷり出してる山岳風景で、こりゃあいいビジュアル見せてもらえそうだぞ、と期待したわけで。実際そのあとすぐでっかいタンクローリーが走り出して、え、え、こんな大物がのっけからひっくり返ってくれんの、と期待度急騰。しかし転覆の瞬間は撮されず翌日の結果シーンのみ。ありゃーやっぱ低予算か、と萎みかけたところを、連続虐殺場面の迫力で盛り返してくれました。いやぁいいじゃないですか、肉体の扱いがいい。逆さ吊り窓引き込みに窓破り室内放り込みに。しかしスピード感あるわりに全体暗くてディテール見えないのと、ショッキングシーンのはずなのにパッと切り替わっちゃうんで(音楽もブツ切りだったり)そのつど醒めちゃうのとで大幅減点、あ~あ。ラストに行くほどこのブツ切り感がひどくなるんで、せっかくスピーディな展開と例のネチャネチャパーツアップの迫力が生かしきれなかった。ま、迫力言うてもアップのときだけで全身映像は安CGのチープ感全開でバッタかカエルが跳ねてるようにしか見えんのだけどね。全然ダメダメ映画ってわけじゃない、系程度の作品でした。微妙に投げやりなアル中っぽいヒロインの雰囲気とか、期待津々だったんですけどねぇ。
 ■生贄夫人■ とりあえず雲古は重要なんだからちゃんと見せてよ。せっかくの艶々した山吹色が一瞬しか見えんのよ。
 ■シャッターアイランド■ 悪いけど、こういう映画っていくつ作っても同じじゃないかな? 妄想と現実の境目がわからなくなるタイプの話、うんざりだよ。この設定なら何でもありだよ。いくらでも謎を作れる。平凡。どうせやるならせめて「このネタ」だってわかんないように作ってや。血や泥にまみれた回想シーンがやたら出てくるから最初の方でア、こいつってほんとは患者だな、ってわかっちゃったし、妄想なのか陰謀なのか、いや、もういいです。
 ■ヴェルクマイスター・ハーモニー■ これもまた~……よくあるつうか、こういうのって、高く評価しなきゃダメですか? ウヨウヨいそうだなあ、「素晴らしい芸術だ」とか言いたげなやつら。カット数減らしてゾロゾロ人が歩く場面や大勢突っ立ってる場面映し続けりゃ「アートですねえ」って言ってもらえると思ったら大間違い。とにかく、ちっとも面白くなかったよ。そりゃハリウッドとは全然違う手法だけど、非ハリウッド的=アートってことにはならんのでね。クジラなんてどうでもいいから、ヘリコプターの旋回のとこだけかな、「おっ?」て思ったの。あと65分チョイ過ぎたあたりの、二人黙々と歩くところを接写してゆくシーンだけは「ふーん」て思ったけど、せっかくのあれをもっとしつこくやってくれないことにはな。あとあれだな、暴動みたいなシーンだな、ぬるいな、もっと思い切って派手にやんなきゃダメでしょうが、怪我人続出覚悟でさ。
 ■箪笥■ 進度遅っ! ゆっくりすぎっ。あの3人の女のうち2人は非実在なんだろうなと思って観てたけど、非実在は2人だったのかな、1人だったのかな? ちょっと暗示的すぎてホラーとしちゃどうなのかなあ。いちばん怖い映画といったらこれ、と学生に薦められたんで観てみたんだけどさ。
 ■板尾創路の脱獄王■ これ、衝撃のラストなんですか? まさか、違うでしょう。
 ■マッドマックス■ なんだ、妻子殺されて復讐、って展開は終盤になってから始まるんじゃないか。それがメインだとばかり思ってたよ。全編執念のカーチェイス、とか期待してたんで。まあ一番の不満は、肝心の妻子惨殺シーンが遠望すぎて見えんかった、てこと。ジャンル間違えて期待してた俺が悪いんだろうけどね。