新宿の武蔵野館で「シモーヌ フランスに最も愛された政治家(SIMONE, LE VOYAGE DU SIECLE/SIMONE, A WOMAN OF THE CENTURY)」(2022、仏、オリヴィエ・ダアン)を観た。シニア料金で1,200円。邦題が原語とあまりに違う、意訳も行き過ぎでは。フランスに愛される、というのも意味不明である。フランス人ならわかるけど。客は50人くらいは入っていただろうか、圧倒的にシニア女性が多かった。
この物語は、公式サイトによれば「1974年パリ、カトリック人口が多数を占め、男性議員ばかりのフランス国会で、シモーヌ・ヴェイユ(エルザ・ジルベルスタイン)は圧倒的反対意見をはねのけ、後に彼女の名前を冠してヴェイユ法と呼ばれる中絶法を勝ち取った。1979年には女性初の欧州議会議長に選出され、大半が男性である理事たちの猛反対の中で、女性の権利委員会の設置を実現。女性だけではなく、移民やエイズ患者、刑務所の囚人など弱き者たちの人権のために闘った。その信念を貫く不屈の意志は、かつてアウシュビッツ収容所に送られ、“死の行進”、両親と兄の死を経て、それでも生き抜いた壮絶な体験に培われたものだった」とある。
確かに素晴らしい女性政治家であろう、がしかし、この映画を観た感想は、イマイチ、というものだ。過去と現在が行ったり来たりするわかりづらさ、変化がなく、ありきたりな話ばかり。最初の30分くらいで眠くなった。もう少し変化が無いと観ていて面白くない。アウシュビッツものももううんざりだ。もうそんな話は知ってるよ、と言いたい。ただ、この映画は、仏で公開後、10週連続でトップ10入りして240万人を動員して、昨年の仏映画年間興行成績ナンバーワンの記録を樹立したそうだ。ホンマかいな。
欧州もいい加減ナチの犯罪を題材にした映画から卒業してはどうか。ナチ以外にもハンガリー動乱、プラハの春、スターリンの粛清、中東やアフリカにおける過去の悪行、現在社会問題となっている移民問題など、取り上げるべき題材はいくらでもあるだろう。そういったものにヨーロッパの国々はどう関わってきたのか、今後どうかかわって行くべきか、あるいは知らん顔をして無視し続けるのか、もっともっと取り上げてほしい。
さて、映画のあと、近くの歌舞伎町に行ってみた。トー横界隈も見てみたかった。まだ明るいが、結構怖い雰囲気もあった。TOHOシネマの前あたりは警察官が多く、黒人らしき外人の集団を取り囲んで何かいざこざがある感じもあった。
かつて、都知事の石原慎太郎は歌舞伎町の怖いイメージを取り除く徹底した浄化作業を行ったが、いまは「怖そう」といった感じも少しする。夜はどんな具合なんだろう、シニアは近づかない方が良さそうだ。怖いもの知らずの東洋系の外人観光客がやたらと目立った。ゴジラよ、悪いことするなよ、と吠えてくれ。
お疲れ様でした。