この言い伝えは事実だったのです。
昭和12年(1937年)3月、近くの田を耕していたお百姓さんが、新しい田んぼに土を入れようとして土地を削っていると、甕が出てきました。その甕の中にはお祈りをしている人の姿がったのです。大学の先生に調べてもらったところ、800年も前の旅のお坊さんだろうということが分かりました。
(採集地:長野県境にある新潟県中頸城郡板倉町)
猿供養寺の人柱(Human Pillar in SaruKuyoji)
①ずうっとむかしのことらと。
猿供養寺(さるくようじ)の村(中頸城郡板倉町猿供養寺)は、毎年毎年、地滑りで困っていたったと。春先の雪解けの頃や、雨がいっぺえ降る秋の終わりごろになると、きまったように地面が動いて、田畑が壊れたり、家が崩れたりしたと。
この年もまた、春先の地滑りが始まったと。
「地の神様がおこんなさったどお」
「うらやまじゃ」
「前の田もだあ」
「早くしずめねえと大変だどお」
It's a long, long time ago.
The village of SaruKuyoji suffered from landslides every year. In early spring when the snow melts, and in late autumn when it rains a lot, the ground regularly moves, causing fields to collapse and houses to fall down.
This year too, landslides began in early spring.
"The god of the earth is angry!"
"It's happening in the back mountain."
"Even in the front rice field, as well"
"Calm it down sooner, or a big problem will occur!"
②村のしょ(衆)は口々にわめいて、松の木屋敷に集まったと。めいめいが持ち寄った酒や野菜を供えて、今まで動いたことのない松の木屋敷で、お祈りを始めたと。
んだども、この年は三日も祈り続けたろも、地面の動きは止まらなかったと。うすきみ悪い地鳴りは、だんだんひどうなって、どろ土に巻き込まれる家ももでてきたと。
Shouting aloud, the villagers gathered at the pine-tree grounds which had never moved before. They each offered sake and vegetables, and began to
pray.
However, this year, even though they kept praying for three days, the ground didn't stop moving. The eerie rumbling of the ground got worse and worse, and
some houses were engulfed in muddy soil.
③地滑りが始まって八日目になったときらと。
村のもん全部が、人柱というて、地の神様に生きたまんまの人を埋めておまいりするしかないと思うようになったと。
「わたしを人柱にさしてくんなさい」と若いむすめが言うと、
こんどは年寄りが「娘がいぐんなら、このわしがまいるだ。わしは年とってる。命はおしくねえ」と、言うんだと。松の木屋敷に集まっても、誰にするか考えるばっかで、少しもきまらんかったと。ー続くー
It was the eighth day after the landslide started. All the villagers came to believe that they had no choice but to pray to the god of the earth by burying a person alive as a human pillar.
"Please make me the human pillar," said a young girl, and then an old man said, " I'll be the sacrifice in her place. I'm old, so I will not spare my life."
They met there at the pine-tree grounds, but couldn't decide on who to choose.
ーto be continuedー
ドキドキします。
次回にも期待をよせていただいて、やり甲斐が出てきました。
実は、ここ妙高市の妙高高原など長野県境の新潟県側は一昨日からの大雪で屋根や屋際の除雪に追われて気分が滅入っていたところです。takuさんのコメントで元気が出てきました。どうもありがとうございます。
ちなみに、上越市板倉区にある猿供養寺も長野県境にあります。次回は、その県境の峠を越えてやってきたお坊さんの話からはじまりますので、乞うご期待
その昔、サイドリーダーで、これとは違いますが、民話のような物を呼んだ記憶があります。
そうか、、こう訳すんだ、、みたいに興味湧いてます。そして、ドキドキと、、楽しみです♪
コメントありがとうございます。
「猿供養寺の人柱」は3回に分けて掲載します。
今、最後のところ(3回目)の、「坊さんは甕を被った」(坊さんは逆さにした甕の下に入った)をどう訳すか思案しています。(ゆ~)
乞う、ご期待