No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

港町の高台にあったBARBER

2023-06-25 | 街:宮城





宮城県の大きな港町。その高台にあった床屋さん。廃業してから、それなりの時間が経っている。港町は東日本大震災によって壊滅的な打撃を受けた。この地区は港から真っ直ぐに坂道を登った高台にある。その急な坂道が津波を遮り、殆ど被害はなかった。だから地区の様子は何も変わっていない。一方で壊滅的な被害を受けた港町は、復旧から復興、そして再開発へ向かい、大きく変貌を遂げた。今では近代的な町並みとなって復活している。清潔でお洒落な商店が並び、人の流れも活発になった。坂の上では時間が止まったままであり、その対比は哀しいほどだ。

その昔。大型漁船が大挙入港し、ぞろぞろと海の男たちが坂の下の銭湯に身を清めに来た。そしてこのBARBERでさっぱりと整髪したのだろう。かなり古い建物にBARBERの文字。そこからそんな想像ができる。男たちはその後、久しぶりの陸地での夜の饗宴を楽しむのである。その楽しみの場所が明日の写真となる。


LEICA M10 MONOCHROME / Summicron M35mm ASPH


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県境の町に残る面影

2023-05-30 | 街:宮城









川崎町は宮城県南西部にある町である。町の多くが蔵王連峯の山岳部であり、青根温泉などの秘湯でも有名だ。仙台市の中心部からクルマで40分ほど掛かるのに対し、山形市の中心部からは30分ほどで往来できる。つまり県境の町である。何となく孤立した町で、交通の便が悪いイメージがあった。また冬季は道路状況も厳しいと想像していた。実際は山形自動車道を利用すれば、特に不自由することもなかった。福島旅からの帰路、蔵王町を経由して川崎町に来た。

僕が行ったのは町役場周辺の中心地だ。思ったより町らしい町だった。2枚目の真っ直ぐな道路が国道286号線であり、山形宮城間の物流道路である。その主役は山形自動車道に譲ったものの、宿場町としての面影が残っている。キリスト看板も多い。そういう町なので初めて来たとは思えない(笑)。こういう町は脳で思考しなくても身体が勝手に反応する。ほぼ自動的に写真を撮る。一人チャットGPT状態である。

X-PRO3 / XF23mm F2R WR




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嗚呼、歩きたい

2023-05-15 | 街:宮城







GW期間中は前半に長野方面(渋温泉)に行った。戻ってからは所用が重なり、遠出も写真撮影も殆どできなかった。これは4月前半に行った宮城県の旧・鹿島台町(大崎市)の写真である。掲載し忘れたことを後で気付いていたけど、まあ大した写真でもないので、そのまま放置していた。それを改めて眺めてみた。GWには殆ど町歩きをできなかったので、嗚呼歩きたいと心の底から思った。


LEICA M10 MONOCHROME / Summicron M35mm ASPH
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古典的な町の自転車屋さん

2023-04-23 | 街:宮城



少し前の写真で、宮城県の旧・鹿島台町(大崎市)である。最近は栗原市、大崎市、登米市あたりをグルグル廻って写真を撮っている。ルートが非効率的なのか、同じ町を何度も通過して訳が分からなくなってきた。今回の鹿島台町はそれほど期待していなかった町だ。でも意外と良い感じの町だった。出色は、この自転車屋さんである。考えてみれば、今の僕の生活では自転車に乗ることは全くない。少し前まで折りたたみ式の自転車を持っていた。それはもう錆びついて乗れなくなってしまった。そんな僕ですら自転車屋さんと聞くと、心がときめくから不思議である。この店で自転車を買って貰ったかつての少年たちも、震えるような感動を味わっただろう。今や趣味用途でもない限り、自転車はホームセンターなどで安く買う人が大部分を占める。ホームセンターの自転車屋さんでは、少年の心は中々ときめなかないのである。


LEICA M10 MONOCHROME / Summicron M35mm ASPH
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おかっぱ様の謎、いけない想像

2023-04-21 | 街:宮城





宮城県の色麻町に磯良神社という神がある。「おかっぱ様」という河童を祭る神社でもある。西暦800年頃、あの征夷代将軍・坂上田村麻呂が建立したと言われている。時まさに蝦夷対朝廷軍の戦いの真っ最中である。史実レベルでいえば記録が不足していることも分かる。でも、この辺りの伝説がもう少し訴求力を持てば、この地は立派な観光地になったかもしれない。磯良神社を巡る「かっぱ伝説」は、大きく分けて二つである。

1)坂上田村麻呂の軍勢にいた男が、河童顔負けの泳ぎで数々の武勲を立てた。それを労うために「川童(かっぱ)」の姓を直々に与えられ、神社が建立された。驚くことに今でも神社の宮司は「川童」さんの子孫が務め、やはり「川童(かっぱ)」姓を名乗っている。

2)その後(多分)、ある殿様宅にエッチな河童が現れ、姫様のトイレを覗いたり、ちょっかいを出すようになった。家来の若い武士が退治を志願し、女装して河童を誘き寄せ、その腕を刀で切断した。河童は二度としないと命乞いをしたので命は取らず、腕を返した。河童はお礼に腕を接着することもできる軟膏を献上した。その軟膏は傷にもよく効き、とても重宝された。

他にも付随したマイナーな関連話があるが、この二つがメインの伝説だ。印象として二つの関連性が整理されていないのだと思う。1)の伝説は多少の脚色があっても、史実に基づいているだろう。実際、色麻町でもそういう掲示板などを作っている。問題は2)の方である。話としては面白い。神社と河童の因果関係、例えば河童の神社なので日本全国から集まったとか、田村麻呂軍勢に川童さんと一緒に付いてきた手下だったとか、そういう誰にも分かる話が欲しかった。2)の方は史実である必要はなく(そもそも河童だから)、誰かが考えたフィクションでも良いのだと思う。多少下駄を履かせても良かったのではないか。ここは色麻町が川童さんに相談し、架空と謳ってでもPR伝説を作るべきではなかっただろうか。行政は「ゆるキャラ」みたいなものに架空の伝説キャラを設定するのだから、おかっぱ様を何故活用できなかったのかと思う。これは僕の想像だが、もしかすると「麻」がネックになったのかもしれない。日本全国の「麻」がつく地名の多くは、「いけないアレ」と関連が深いという。河童軟膏は「〇麻のいけないワックス」だったと僕は想像している。太平洋戦争中にはヒロポンを兵士に使ったこともある。奈良、平安時代に大麻を使ったとしても不思議ではあるまい。その関連を指摘されるとイメージが悪いので躊躇した、とか?・・・・。辞めよう。これ以上は叱られそうなので、終わりにする。最後の考察は何の根拠もない妄想であることを明記しておく。すいませんでした。


LEICA M10 MONOCHROME  / SUMMILUX M50mm ASPH

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こんなところに富谷宿(終)〜街中の金魚すくい

2023-04-20 | 街:宮城







今後、家人がコストコで買い物をするのであれば、僕は富谷宿で写真を撮るという選択肢ができた。でも今回は一緒に来てしまったので、一往復して(あと昼食を食べて)終わりである。行きは35mmレンズで撮り、戻りは50mmレンズで撮った。レンジファインダーカメラにおける50mmレンズでの撮影。それは文字通り愉悦の時間である。街中で眼についたものを切り撮る。もっといえば「すくい取る」ような感覚での撮影となる。丁度、金魚すくいと同じだ。あの網のようなものの代わりに、ファインダーの枠線でを使って、景色を切り撮っていく。少なくとも、コストコで食料品をカートの中に掬い取る作業の10倍楽しいことは間違いない。


LEICA M10 MONOCHROME  / SUMMILUX M50mm ASPH
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こんなところに富谷宿①〜知られざる宿場町

2023-04-19 | 街:宮城







宮城県富谷市にて。かつて奥州街道72番目の宿場だった「富谷宿」である。宮城県の市町村は、いわゆる旧市街と新市街の位置関係が分かり難い。もっといえば、旧市街が殆ど残っていない町も多い。そこが他の東北の市町村と異なる点だ。富谷市には、コストコホールセール 富谷倉庫店があり、県内外から多くの買い物客が訪れる。不本意ながら僕も、家人のお供で何度も来ている。そもそも僕はスーパーマーケットなどで買い物をする時間が苦手(嫌い)である。でもまあ仕方ないので、家人について食料品を見たり、離れて家電製品を眺めたりしている。全く面白くも何ともないが、これも試練(家庭サービス)だと義務を果たしている。買い物の間、周辺に時間を潰すところなどないのだから。

・・・と思っていたのは僕の間違いだった。実はコストコから僅か1kmほど先に、この富谷宿があったのだ。何故この事実に今まで気づかなかったのだろう。思い込みとは恐ろしいもので、「ある訳がない」と信じ切っていたのである。日頃、僕は町の何かを見つけ出す嗅覚を自慢していたりしたが、大いなる思い違いだったと認めざるを得ない(続く)。


LEICA M10 MONOCHROME  / SUMMICRON M35mm ASPH
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コンプリートへの道のり(終)~今回のラスボス小牛田町

2023-04-07 | 街:宮城










本シリーズ最終回。他にも旧・田尻町を歩いているが、今回は省略する。最後の町は、旧・小牛田町(美里町)である。これまでの町と比べ、小牛田町には大きな特徴がある。それは「鉄道の要衝」として栄えた町ということだ。小牛田駅は東北本線の駅であると同時に、陸羽東線、石巻線の始発駅でもある。駅前に飲食店が多いことからも、旅客で賑わったことは容易に想像できる。今回は駅前付近を30分ほど歩いただけなので、町を理解するには足りなかった。数時間単位で滞在し、そこで食事をして、何か買い物でもして、同じ場所を何度か歩く。そうしないと分からないこともある。多くの町に到達することを目的にしてしまうと、そこに至らない。どうしても表面的なことで終わってしまう。この町には再度来ることになると思う。いずれにしても、こんな感じで東北コンプリートは進行している。

追伸:山の神まんじゅう食べました。

X-PRO3 / XF23mm F2R WR

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コンプリートへの道のり③~旧・南方町は桜待つ

2023-04-06 | 街:宮城







「コンプリートへの道のり」第3弾は、旧・南方町(登米市)である。もう面積とか人口は紹介しない。なにしろ近隣の25市町村が合併して3市(大崎市、栗原市、登米市)に集約された。正直何処が何処なのか、よく分からなくなる。ちなみに本日時点で、25市町村のうち20市町村で写真を撮っている。

さて、この南方町には「みなみかた千本桜」という見どころがある。約6kmに渡り千本の桜が植えられた道路があり、満開の桜トンネルは見事だという。時期的にもぴったりで、圧巻の光景が見れると思っていた。結論をいえば、桜は全く咲いていなかった。華やかな写真を撮る予定が、モノクロの町並みを撮ることになった。これはこれで、もう一度町を訪れる理由が出来るので構わないと思っている。こうして一度訪れた町との間に因縁が生まれ、理解が深まっていくのである。次回、本シリーズの最終回です。

LEICA M10 MONOCHROME  / TT artisan 28mm F5.6



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コンプリートへの道のり②〜旧・瀬峰町の場合

2023-04-05 | 街:宮城







旧・瀬峰町(以下、「瀬峰町」)は、昨日掲載した旧・高清水町の隣に位置する町である。両町ともに現在では栗原市の位置地域となっている。ふたつの町は面積も人口も似たような感じで、兄弟町のようである。これは外部の人間だからそう思うのであって、実際は近いが故に強烈なライバル意識があるのかもしれない。瀬峰町には高清水町と異なり、鉄道の駅(瀬峰駅)がある。駅前にはパチンコ屋さん(最後の写真)があった。数日前にカラー写真で掲載したものだ。クルマを使ったとしても、古川市までは20分足らず、仙台市までは約1時間ほどで行くことが出来る。田舎感が少ないのは、大きな町との往来が容易だったことによるだろう。

まあこんな感じなので、東北コンプリートを進めるときは「撮る意味」について考え込んでしまうことが多い。次回、次の町に行きます。


LEICA M10 MONOCHROME  / TT artisan 28mm F5.6

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