![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/1f/316eb228764124fdc95f76a0e4131a4c.jpg)
秋田県では、この7月に豪雨による大きな浸水被害が発生した。当時、僕の知人がTV局のインタビューを受け、その様子が全国ニュースで放映された。その知人宅には損害はなく、被害地域の親類宅に片付けに来ている際にインタビューを受けたらしい。知人曰く、執拗に「こういう大雨はよく降るのか」、「過去にも同じような被害があったか」、「ここに住んでから何番目のレベルの雨か」、的なことを聞いてきたらしい。「ははぁ(ニヤ)」と気づいて、多分求めているであろう「もう40年以上住んでいるけど、この地域でこんな大雨は初めてだ。」という内容をサービスで答えたら、それがそのまま放映されたと笑っていた。実際には過去にも似たような水害は何度もあったという。街頭インタビュー的なものは放映側が言いたいことを、代わりに住民から言ってもらうための手法と化している。当放送局が言っているわけじゃないんです。あくまで住民の生の声です、という構成にしたいのであり、その為の答えを引き出すのがインタビュアーの腕の見せ所となる。そして「よし!良い撮れ高だ!」となる。つまり「いまだかつてない大雨」というレッテルを貼りたいのであり、最初から結論は決まっている。この手のレッテル貼りは、マスメディアの常とう手段である。実のところはよく分かっていないのに、民衆は盲目的にレッテルに従って、物事を判断する。その思考の放棄こそが、実は恐ろしいことなのである。つまりレッテル貼りとは、思考を放棄させる目的で使われているのである。例えば、「裏金議員」などは典型的な面白い題材だけど、まあ今回は辞めておく。
いま一番気になっているのは、レッテルと少し異なる「闇バイト」という用語である。そもそも警察庁自体が「闇バイト」という用語を使っている。こういう形態を知らしめるという意味では一定の効果があったのも事実である。だが報道で「闇バイト」という言葉が連呼され、それだけではなく「受け子」、「掛け子」、「実行役」などの用語も繰り返される。僕は、これらの報道が「闇バイト」の抑止力にならないどころか、罪悪感のハードルを下げていると思っている。「ブラック企業」という言葉があるが、これは労働条件や経営姿勢などに問題のある会社を言う。逆にいえばブラックとはいえ、その存在自体が違法とは言えない面もある。ブラックかどうかは人によって見解が分かれる場合もある。だが「闇バイト」は違う。何をどう解釈しても、これは単なる犯罪行為である。それが通常のバイト募集のような振りをしている点では、闇バイトかもしれない。だが繰り返すと「バイト」などではなく、報酬目的の「犯罪」である。それをニュースなどで「闇バイト、闇バイト」と繰り返せば、「まあ確かにヤバイけど、あくまでバイトだし、他にも多くの人もやっているからな」と思う人がいても不思議はない。マスメディア側だって、そうなることは分かっているのである。でもキャッチーな「闇バイト」というキーワードをマスメディアが手放すことはないだろう。なあ銀次郎さん。「お前の話は長くて、つまんニャいな」。・・・・。
iPhone 15PRO