<キーワード③:遠野>
過去写真から遠野をピックアップした。岩手県の遠野市は、概念としての古き良き東北が残る地だ。もっといえば、概念としての古き良き日本が残る地でもある。それは古い建物とか、レトロな雰囲気とか、そういう泡沫のことではない。精神性そのものの痕跡が残っている。例えば、東京の町と江戸の町は、完全に隔絶している。それは単に時間軸の問題ではない。江戸と東京は全く異なる町になった。遠野は、そこが根本的に異なる。人々の生活の中での民俗、つまりは伝統や信仰、死生観といった昔ながらのシャーマニズムが、そのまま受け継がれている。目を瞑り、耳を澄ませば、遠野物語の時代と何ら変わらない世界がそこにあることを感じる。勿論、姿形も精神性も徐々に平準化されつつあり、やがてその痕跡を辿ることは困難になるだろう。でも、今はまだ「感じる」ことが出来るのだ。それが森山大道氏や上原稔氏を始め、数多の写真家を魅了した源泉なのだと思う。
僕は遠野の中心地の町並みについては、それなりに多く撮ってきた。それが田園地帯や郊外になると、まだまだなのである。撮影回数自体もそうだし、そこに対する理解も全く足りていない。例えば6枚目の写真。単なる原野に見えるかもしれない。ここは「デンデラ野」という姥捨山である。僕の手には負えない風景だ。何度も何度も触れて恐縮だが、僕は「岩手コンプリート」にリーチを掛けている。でもコンプリートという表現そのものに疑問を感じてもいる。僕の遠野物語は永遠に未完なのである。
暫く画像に見惚れてしまいました、私のブログにも載せたのですが曲がり家で地元の方が丁寧にいろいろ教えてくれたのも想い出です。
モノクロで撮影した写真は他ではなかなか観られませんがホッとしますね。
特に6×6さまの写真は人物が映り込んでいるので大好きです。
確かに遠野は何度でも行きたくなる町ですよね。
附馬牛とか、遠野物語の里だけでも、周りきれません。
でも当然ながら、今は静かです。静かゆえ、本来の遠野により近いのかもしれません。とといっても、今回は過去写真なので、また行きたいです。」8345