最多トップ10フィニッシュは岡本綾子の70回
米女子ツアー開幕戦の「ヒルトングランドバケーションズ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」で古江彩佳が4位タイに入った。
初日に65のロケットスタートを切って単独首位に立ったことを思えばやや物足りないかもしれないが、崩れそうになりながらも粘り抜いてこの位置に踏みとどまったことは価値がある。
古江は米女子ツアーメンバーになってから今回でちょうど10回目のトップ5入りだった。特筆すべきはそのスピード。歴代の名選手を凌駕するハイペースなのだ。
米女子ツアーメンバーとして10回以上トップ5を記録している日本選手は古江以前に6人いた。その顔ぶれは樋口久子、岡本綾子、小林浩美、宮里藍、宮里美香、畑岡奈紗というものだ。 最も多いのが岡本で70回。2番目に多い宮里藍が35回だから、ちょうど2倍である。
その岡本が10回目のトップ5を記録したのがツアーメンバーとなって47試合目だった。2022年に米女子ツアーメンバーとしてデビューした古江はこの開幕戦が52試合目。これは岡本に次ぐ日本選手2番目のスピード記録である。
3番目以降は畑岡奈紗の61試合目、樋口久子の68試合目、宮里藍の70試合目と続く。畑岡は現役では日本勢最多の米女子ツアー6勝を挙げている実力者であり、樋口や宮里藍は日本女子ゴルフの歴史の中でも最上級の存在感を誇る人物。古江はそんな面々よりもはるかに早いペースでトップ5に入っているだから見事なものだ。
古江の強みは何といっても安定感である。ドライビングディスタンスは昨年のデータではランキングに入っている165人中142位だから、米女子ツアーの中では本当に飛ばない部類に入る。
一方でティショットをきっちりとフェアウェイに運べる正確性や小技の巧みさ、ゲームを組み立てる能力の高さや粘り強さは超一流といっていい。
米国に渡って最初の1~2年は大きな環境の変化で自分の強みを発揮できないことはよくあるものだが、古江は1年目からうまく適応していた。だから、これだけのハイペースでトップ5に入っているわけだ。
米ツアー52試合で5回しか予選落ちのない古江彩佳
それを予選落ちの回数を他の選手と比較することで明確にしてみよう。古江はここまで52試合戦って予選落ちは5回である。同じ試合数を消化した時点で比較すると、岡本はさすがに4回しかないが、最近の選手では宮里藍は10回、畑岡は16回(予選ラウンドでの棄権も含む)と古江よりかなり多い。宮里藍も畑岡も最初の1~2年は苦労していたのだということが分かる。
参戦3年目を迎えた今年、開幕戦のデータを分析すると昨年比で大きく伸びた部門があった。それは、ドライビングディスタンスだ。
古江は昨年も同じコースで開催された開幕戦に出ているが、その週のドライビングディスタンスは226.25ヤードだった。それが今年は238.00ヤード。実に12ヤード近くも伸びている。
ドライビングディスタンスは同じコースであっても気象状況やコースコンディションなどで簡単に変わるから短絡的に結論は出せないが、開幕戦で投入した新しいドライバーがフィットしているという要因はあるようだ。
一般的に飛距離が伸びればフェアウェイキープ率は下がるものだが、開幕戦での古江のそれは昨年が87.50%で今年は92.86%とこちらも伸びている。まだ1試合だけのデータに過ぎないが、額面通りに受け取って飛距離も正確性も増したのならばこれはさらなる強みになることは間違いない。
となると、これまで以上にトップ5など上位に入る確率が増し、念願の米2勝目も近づいてくるはず。今シーズンの古江の躍進を期待させてくれそうな開幕戦の結果だった。
古江 彩佳(ふるえ・あやか)
2000年生まれ、兵庫出身。19年「富士通レディース」でツアー史上7人目のアマ優勝を達成してプロ転向。20年にプロ初勝利を飾り、20-21シーズンはトータル6勝で賞金ランキング2位と躍進した。22年からは米女子ツアーを主戦場にして22年に同ツアー初優勝。同年は国内ツアーでも「富士通レディース」で連覇と大会3勝目を挙げた。日本8勝、米国1勝。富士通所属。
宮井善一
以上、Eゴルフ
小柄な古江選手は、今シーズン最初から優勝争いを演じ、4位の成績でした。
次のトーナメントは、セゴドン、勝みなみも交えて戦うことになります。
日本ツアーの勢いを持ち込んで盛り上げてほしいと願っています。
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