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帯とけの枕草子〔二百六十〕尊きこと
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
清少納言枕草子〔二百六十〕たうときこと
文の清げな姿
尊き言、九条の錫杖経、念仏の回向文。
原文
たうときこと、九でうのさく杖、念仏のゑかう。
心におかしきところ
多太きこと、九情の咲く杖、接取不捨。
(男の尊き事、多太きこと、九情の咲く枝、接して見捨て給わぬ)。
言の戯れと言の心。
「たうとき…たふとき…尊き…優れて価値ある…多太き」「こと…言…事」「九でうのさく杖…九条の錫杖…錫杖鳴らして唱える九条からなる経文…九情の咲く情…九情の咲く杖」「九…八(多い)余り一…十分ではないが多い数」「さく…咲く…おとこ花さく」「杖…じゃう…情…つえ…頼る…頼む…身の枝…おとこ」「念仏のゑかう…観無量寿経の回向文、その末は『摂取不捨』…聞き耳異なると、接して見捨てない」「摂…仏が衆生を救いおさめ給う…接…まじわる…交接…接合」。
第三章の「同じ言なれども、聞き耳異なるもの、法師の言葉、男の言葉、女の言葉」とは、それぞれ一つの言葉に多様な意味があるということ。
枕草子は、それを心得るている、おとなの女の読物。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)
原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。