森岡書店銀座店は、期間ごとに一冊だけの本を売る本屋さん。
6月20~25日は大竹昭子さんの「間取りと妄想」という本を売っています。(Amazon)
挿絵を描いた、たけなみゆうこさんのイラストも一緒に展示されています。(写真可)
(「たけなみゆうこのスケッチブック」)
一冊購入して、心躍りながら半分まで読んだところ。以下、展示も合わせて備忘録です。
*
13の間取りに13の短編。物語を読み進めながら、何度も間取り図と照らし合わせて、それでまた読み進め、頭の中にその部屋、家が立体化し、バーチャルリアリティのようになかに入っていく。
と思ったら、お話は思いもよらぬ展開を迎える。えええそっち?とか、それあぶないひとでしょ、とか。
といっても、大きな出来事がおこるわけではない。小さな出来事、小さな妄想。そのせいか、微妙にシュール。
「妄想」は自由(この場合、空想というより妄想)。そして部屋のなかでどんなことしてたって、自由。1話の女性のように、川の音、たたきつける雨に煽られて部屋で裸になって叫んでたっていいわけだし。みんな外には見せられないヘンなことを、外壁の内側ではしちゃってるでしょう。
踊ってみたりとか。(しないか...)
以前13階に住んでいた時、向こうに平行に見えるマンションのいくつかは、ベランダの手すりがパイプ柵で、夜なんかみな高層階の気安さか掃き出し窓のカーテンを閉めずに、ちょこちょこ動いていた(別にのぞいてないですよ(←重要))。小さなシェルを並べたような箱の中でうごめく小さい小人のようだった。
それはけっこうシュールな感じだった。たけなみさんの絵を見て、そのときの感じがよぎった。(絵の一部)
そうそう、私がマンションから見ていたのは、形状としてはこんな感じ。
私は夜の光景として遠くから眺めていたけど、このたけなみさんの絵は「中」から見ているのだ。時間の移り変わりが描かれている。たけなみさんは「空想の窓の光と影を一日定点観測しました。ここはいろんな人やいきものやおばけの秘密基地です(略)」と。
ここが特にお気に入り(右下の絵の下のほうに・・(^-^))
たけなみさんの絵は、なぜか落ち着く。
淡々というか、ひょうひょうというか。音がないせいか?。
気配はあるんだけど。たまにちょっと不穏で。
くすぐってくる。
ちょっと一皮めくればへんなとことか、ドアを閉めたとたんスキップしたとこみちゃったような。ちょっと黒い部分とか。実は狙ってる部分とか。
影がすてきな絵なのでした。
なんていいんでしょう~~💛
階段の踊り場って、いつもなにかふっと浮かんだりとか。
大竹さんの本と、たけなみさんの絵、おなじにおいがする(笑)。
仕事柄、間取り図は私も大好きだったりする。「間取り」周辺には、いわくありげなことがいっぱいまとわりついている。妙なこともいっぱい絡んでくる。美しい人も紳士も、不思議なこと言い出しちゃったりする。つきない魅力がある。
森岡書店の辺りは、静かな場所。
1929年築のビル(!)の一階にあります
森岡書店さんも、小さな間口から奥へと、物言わぬ不思議な存在感があります。