情報と物質の科学哲学 情報と物質の関係から見える世界像

情報と物質の関係を分析し、心身問題、クオリア、時間の謎に迫ります。情報と物質の科学哲学を提唱。

非論理的な無限小数

2019-06-06 14:59:09 | 数学
実数の連続性を満たすために無限小数が導入されました。
コーシー列は、一つの無限小数に収束します(定理)。
区間縮小法でも同じ結果が得られます。

ところで、コーシー列による無限小数は個々の無限小数に関するものではありません。
コーシー列は、無限小数一般の性質を定めるものです。
なので、この無限小数はいわば変数の性格を持つといえます。

教科書でよく見かける無限小数の表現は、次のようなものです:
0.a1a2a3... (1)
数字が無限に続くので当然書ききれません。
そこで、便宜的に...を用います。

(1)の無限小数は、一つに定められるというのがコーシー列の定理です。
但し、(1)の無限小数は特定のものではなく一般の無限小数を表しています。

0.a1a2a3...の数字列が円周率πやネイピア数eなどのように特定の規則によって定めらる場合には、その値を特定することができます。
この種の無限小数に対しては、通常の加減乗除を定義することができます。

一方、0.a1a2a3...の数字列がランダムに並ぶ場合には、その値を特定することができません。
しかも、この種の無限小数に対しては通常の加減乗除を定義することができません。
何故なら、...表示という操作不可能な無限に続くからです。
このような無限小数には全ての数学的操作を受け付けない非論理的性格があります。

結局、特定の規則による定義可能な論理的な無限小数と定義不能なランダムな数字列による非論理的な無限小数とでは、性格が全く違うことが分かります。
実数論では、このような違いについては全く無視しています。

無限小数は、次の異質な集合に分けられます:
無限小数={定義可能な無限小数} ∪ {定義不能な無限小数}

論理的性格を持つ無限小数を一つの無限小数とすることには意味があります。
しかし、論理的性格を持たない無限小数を一つの無限小数とすることには意味がありません。
何故なら、そのときに使われる”一つ”という概念が意味不明だからです。
ランダムな数字列を一つの確定したものとして扱うことはできません。

非論理的な無限小数を数学的論証の中で用いることは、直ちにその論証が非論理的であるであることになります。

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ニューラルネットは情報と物質の融合体

2019-06-05 08:46:11 | 情報と物質の科学哲学
ニューラルネットの状態は、情報との相互作用により刻々と変化します。
ネットが変化すれば情報の流れも変化します。
同時に、情報処理機能や計算機能も変わります。

ネットの状態、情報の流れ、情報処理機能、計算機能はお互いに関連しあいます。
ニューラルネットは、これらのものの融合体になります。
その結果、ニューラルネットは情報と物質の融合体になります。

神経回路網は、物質、情報、クオリア、意識などの融合体と考えられます。
それらは互いに影響しあっているので、その一部を切り離して議論することは無意味です。

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感情を持つロボットPepperにクオリアはあるか?

2019-06-04 17:18:59 | 情報と物質の科学哲学
Pepperは感情を持つロボットとして宣伝されています。
このロボットに接した人は、そのような感じ方をするそうです。
しかし、それはその人の感情移入によるものです。
ヒトと同じ意味でPepperが感情を持つことはあり得ません。

感情より原始的なものにクオリアがあります。
リンゴを見たときに感じる”赤い”というクオリア
バラの香りを嗅いだ時に感じるクオリア

クオリアは、生物進化の過程で生まれた原始的なものです。
言葉の誕生よりはるか以前のものです。
クオリアは、動物に備わる不思議な現象です。

非生物であるロボットにクオリアがないことは明らかです。
クオリア以降に生じた感情をロボットが持つことは更に不可能です。

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物理主義・唯物論は情報概念を消去あるいは還元できるか?

2019-06-02 09:01:07 | その他
この宇宙にあるすべての現象は、物理法則で完全に説明できると主張するのが物理還元主義です。
物理学者も基本的にはこの主張を信じています。

以前のブログで物理学に欠かせない測定器という機械が、測定値という情報定義し、それを情報表現物質で表現して出力するということを述べました。
この過程を簡素化したモデルを示します。

(1)測定したい物理量が測定器に入る
(2)この物理量と測定器の基準とを比較し、測定値情報を得る(測定値の定義)
(3)便宜上、入力物理量が基準量に比べて
 大きい場合には測定値情報を”↑”、小さい場合には測定値情報を”↓”と表現し定義する
(4)測定値情報は抽象的概念なので、これを情報表現物質(記録カード)で表現する
(5)”↑”または”↓”と印字されたカードを出力する
(6)測定者は、そのカードに印字された矢印から基準物理量と入力物理量との大小関係に関する情報を読み取る

以上の説明についてはいかなる物理還元主義者でも認めざるを得ない筈です。
その一方で物理還元主義者や物理学者は宇宙で起きる現象はすべて物理法則で説明できると主張します。
つまり、測定器における測定値という情報概念を物質的概念に還元できる、あるいは、消去できるというのです。

しかし、この測定器の出力カードに印字されているのは”↑”または”↓”であり、両者の違いは矢印の向きだけです。
矢印の印字は同じインクを使用しているので、両者に物質的な違いはありません。
従って、測定値という情報を物質に還元することはできません。

物理還元主義者や物理学者は一方で測定値情報の存在を認めていながら、一方ではそれを消去あるいは物質に還元できるとします。
このような矛盾した主張は、極めて不可解なものです。

物理還元主義者は、心脳同一説に見られるように脳におけるクオリアや意識などは物質現象に還元できる、あるいは、クオリアや意識という概念を消去できると主張します。
これは、先の情報概念の消去あるいは物質への還元の主張より遥かに不可解です。

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物理法則は人間を説明できるか?

2019-06-01 10:51:34 | 情報と物質の科学哲学
原子に関する現象は、すべて量子力学で説明できる。
人間は、原子からできている。
故に、人間に関する現象はすべて量子力学で説明できる筈だ。
これが物理学者や物理還元主義者の考えです。

物理学者らがこのように確信するようになった切っ掛けはワトソン、クリックらによるDNA二重螺旋構造の発見です。
この発見以来、遺伝子工学は目覚ましい進歩を遂げています。

ノーベル賞受賞者の利根川進らは人間に関する現象はすべて量子力学で説明できる筈だと主張しています。
クリックは生物物理学から脳科学の研究に移り、意識の謎もいずれ量子力学で説明できると言います。
数学者、宇宙物理学・理論物理学者であるペンローズは、脳ニューロンの量子揺らぎで意識を解明できるという説を「皇帝の新しい心」や「心の影」で述べています。
クオリアの伝道者である茂木健一郎は、クオリアもいずれ物理法則で説明できると主張しています。

ここで、次のような人間の行動を考えます。
ある人が歩いて交差点まで来ました。
信号が赤なので止まりました。
信号が青になったので横断歩道を渡りました。

さて、これらの一連の行動を物理法則だけで説明できるでしょうか。
それは、原理的に不可能です。
何故なら、この人間は交通規則に従って行動しているからです。
交通規則を物理法則で説明することは不可能です。
物理法則で説明できるのは、人間の運動に関する部分だけです。

人間の運動が物理法則にしたがうのは必要条件ですが、十分条件ではありません。
物理学者は、この十分条件の部分を敢えて無視します。

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