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アマチュア・ガイド 2.アマチュアリズムをめぐる国内問題

2006-11-07 23:24:38 | ラグビー・思い出話

引き続きご紹介です。

2.のアマチュアリズムをめぐる国内問題では

(1)現状(2)アマチュアリズムの意義とラグビー協会の立場

(3)アマチュア規定の具体化・明確化

(4)アマチュア規制改正上の視点と主要な改正点

A.商業主義と適正な距離 B.アマチュアでない団体又は個人

C.マスコミ出演および講演 D.アマチュア規定細則の新設

(5)アマチュア規定および関連規定

A.アマチュア規定 B.アマチュア資格審査規定

C.アマチュア規定細則

とたくさんのタイトルと文章が出てきます。何度も出てくるアマチュアの文字。

アマチュアガイドだからといえばそれまでですが・・・。

むずかしい表現や漢字が出てきます。読みたくない方はパスして下さい。

 

アマチュア・ガイド 平成5年9月1日

日本ラグビーフットボール協会アマチュア問題検討委員会 

2.アマチュアリズムをめぐる国内問題

(1)現状

 戦後、ラグビー界においても大衆(マス)化が進行するに伴い、各プレヤーの社会的基盤、経済的余裕等における多様化が進行し、「貴族のスポーツ」という形容はもはや単なる修辞以上のものではなくなった。ところが他方、チャンピオンシップ重視の傾向に近年ますます拍車がかかると共に、他方国際交流の機会が飛躍的に増加した結果、トップクラスのプレヤーは、ラグビーの技術、体力向上のために、従前にも増して時間とエネルギーとを消費することを要求される傾向にあり、これに伴う経済的負担もまた無視しがたいところとなりつつある。

 他方、プレヤーを取り巻く環境にも変化は生じている。即ちプロスポーツが人気を博し、若年のスタープレヤーが高額の報酬を獲得するばかりでなく、アマチュアスポーツにおいても所謂プロ化、オープン化が進行し、一部スポーツにおいてはアマでありながらそのスポーツに関連して一定の経済的利益を享受し得るに至っているといわれている。このように若年のプロやアマチュアスポーツプレヤー達が、それぞれのスポーツから公然と一定の経済的利益を得ている現実の中にあって、ラグビープレヤー達は、元来必ずしも余裕のある訳ではない経済社会生活を、ラグビーの試合、練習のため尚一層窮屈なものとすることを要求されている。

 ところが他方、商業主義にのっとりラグビーは、今日の隆盛を見るとき、市場としても広告媒体としても魅力的な存在に成長しつつある。上述のような状態に置かれた若者に対し、現代の商業主義の働きかけはまことに精力的かつ巧妙になされつつある。

 このような流れの中において、近年わがラグビー界においても、事態は憂慮すべき段階に立ち至りつつある。業者からの物品、サービスの無償受領、有力プレヤーの就職、進学勧誘に際してのいき過ぎの事例はもはや一部例外的な現象ではなくなりつつあると言わねばならない。

 我々は、ラグビーを愛する者として、上述したように厳しい条件の中で、ますますラグビーに精力を傾注することを要求されつつあるトップクラスのプレヤーや、地味な仕事に献身する役員たちに対して、十二分の敬意を払い、かつそれにふさわしい処遇をするよう細やかな配慮を怠ってはならない。勿論ラグビーにおいては、各自が自ら好む故にすすんでプレーしまた役員となるものであるが、他面代表選手や役員には、我々の負担に基づいてそのような立場に身をおいてもらっていることも忘れてはならない。したがってこのようなプレヤー、役員たちに対する謝意の表現として然るべく細やかな配慮をすることは、道義上きわめて当然のことである。

 しかし昨今見聞されるいき過ぎの事例は、これとは全く次元を異にする。これら事例は、もはや当然視されるべき配慮とはその動態および行為類型において明らかに質を異にしている。こういった事態の進行を我々はどう考えていくべきであろうか。