徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

NHK日曜美術館30周年展

2006-10-02 | 美術
名品と映像でたどる、とっておきの美術案内
NHK日曜美術館30周年展
2006年9月9日-10月15日
東京藝術大学大学美術館

名品が多く並んでいることは承知してはいて、新日曜美術館で何回か宣伝もして、混雑を極めていることも予想されたので、土曜日の開館直後に入館。しかし、地下2階の第一会場は、かなり混みあっています。

展示されている作品は流石の私も拝見したことがあるものが多いので、期待はしていなかったのですが、説明、それに映像もみると映像でしかわからないこともあり面白く、意外にも楽しめました。そして図録の文章も多いので、読み物として購入して帰りましたが、美術案内として楽しめる図録です。(本展覧会は各地を巡回しますが、微妙に展示作品が異なります。そのため、図録には、今回展示されていない作品も多数掲載されていて、それはそれで嬉しいところです。)

  • 《女》 荻原守衛(1910、東京芸術大学美術館):よく知っている作品です。一方新宿中村屋サロンの相馬黒光さんの話もすこしは知っていました。でも話が結びついていませんでした。この作品が、新宿中村屋の黒光をモデルとしたともいわれる作品で、荻原守衛が第一号の犠牲者だとは。最近まで展示されていた《文覚》(1909)がアメリカとフランスから帰国後の作品で文展で三等賞。《女》は死後に文展で最高賞。
  • 《子供》(1919、ブリヂストン美術館)、《子供の祈り》(1918、福島県立美術館) 関根正二;モダン・パラダイス(記録はこちら)で《三星》(1919)《信仰の悲しみ》(1918、大原)を鑑賞したばかりでしたし、《子供》はブリヂストン美術館で見慣れてしまっているので、関根正二がたった20歳で夭逝したと知りませんでした。《子供》では、ヴァーミリオンの絵の具が高価だったのを思い切り子供の服に塗ってみたとは。《子供の祈り》は、《信仰の悲しみ》の悲しみと同様な感覚になります。《信仰の悲しみ》は、日比谷公園で歩いていた女性を見て制作されたようですが、今東光さんは「愚連隊仲間」。中央の女性は東郷青児さんとその後結婚した田口真咲さんとのこと。と図録で知ります。
  • 《読書》(1891年、東京国立博物館)黒田清輝;白洲正子さんの実家の食堂に飾ってあったそうです。《湖畔》も飾ってあったとのこと。土曜日の午後になったので、隣の東京文化財研究所 黒田記念室をはじめて訪れ、《湖畔》も鑑賞。《智・感・情》、《赤髪の少女》などとともに鑑賞。《湖畔》の空色を直に見れました。不思議な色です。
  • 《曲亭馬琴》(1907 鏑木清方記念美術館);真に迫る江戸の風情というところでしょうか。男性を題材にした鏑木の作品も《三遊亭円朝像》(1930)といい(記録はこちら)いいですね。
  • 《蓬莱仙境図》(五島美術館);この作品が五島美術館にあるとは、五島慶太も渋いですね。
  • 《ザムザ氏の散歩》(1954)《碑・姫》(1962、京都国立近代美術館)《発芽の様相》(1977、広島県立美術館)八木一夫のオブジェ。司馬遼太郎氏は「八木毒」という「えらい毒」に当てられたという。特に前者2点のなんとも不思議な形をした陶器のオブジェは今回の最大の収穫のひとつ。
    ほかにも安井曾太郎の絶筆《秋の城山》(1955)とかルオーの《たそがれ あるいはイルド・フランス》(1937、出光美術館)、ゴヤの《戦争の惨禍》(1810-1820)などなど。

    3Fにあがって、
  • 《落葉》菱田春草(1909、滋賀県立近代美術館)
  • 《エトルタの朝》(1883、朝日ピール株式会社)モネ
  • 《二菩薩釈迦十大弟子》(1939/48 棟方志功美術館)棟方志功;棟方志功美術館でも感激しましたが、池田満寿夫のいうように、傑作です。
  • 《雪富士》(1971 フジヤマミュジアム)横山操;ソ連に捕虜になったことが、画面に滲み出ている。ビデオを見ていると非常に筆を動かす早さが早いのに目がいった。

  • 《ナヴァグラハ(九曜星)》(1991-92)秋野不矩;インドでの感覚を残そうとした作品だそうだ。
  • 濱田庄司の流掛による創作のようすのビデオはなるほど年季ですね。
  • 富本憲吉の羊歯模様も、ビデオで様子をみると凄い細かい作業ですね。
  • 田中一村の作品は、はじめて。

    (9月30日)
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