赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

石破防衛利権 vs 財務省

2024-10-05 00:00:00 | 政治見解
石破防衛利権 vs 財務省


中韓に甘い石破系国防族グループ

昔からの自民党政治を見ている人には、石破政権の人事を見て驚いている人が多いのではないかと思います。なぜなら、石破茂総理大臣-岩屋毅外務大臣-中谷元防衛大臣の三人は、国防族の中にあって、石破氏を頂点とする中韓に甘いグループで、しかも、国防族では重鎮、そんな人たちが一斉に大臣になったからです。

「防衛族」—防衛政策に強い関心を持つ議員として検索すると、歴代の国防部会長を差し置いて、真っ先にこの三人の名前がでてきます。検索結果は以下の通り。

――石破茂:防衛庁長官や防衛大臣を歴任し、防衛政策について強い影響力を持つ議員です。過去には自由民主党の政務調査会長も務め、防衛や安全保障関連の政策に積極的に関与しています。

――岩屋毅:過去に防衛庁長官政務官を務め、現在でも自民党内で防衛政策の重要な立場にある人物です。自民党安全保障調査会長としても活動した経験があり、防衛族の一員とされています。

――中谷元:元陸上自衛官であり、防衛庁長官や防衛大臣として防衛政策に関わってきた議員です。自衛官出身であることから、軍事に関する知識が豊富で、自民党内で防衛に関する議論に重要な役割を果たしています。

自民党内の国防に関する部会は三つあります。一般に、「自民党国防三部会」と呼ばれ、以下の三つの部会で構成されています。

国防部会:防衛政策全般に関する議論を行う部会です。防衛予算や装備品の調達など、日本の防衛力強化に関する議題が取り扱われます。

安全保障調査会:日本の安全保障政策全般を調査・議論する組織で、国防部会と連携して活動します。安全保障環境の変化に応じた政策提言を行います。

防衛大綱・中期防検討委員会:自衛隊の中期的な防衛計画(中期防)や防衛大綱について議論し、その内容を策定する役割を担います。

これらの三部会は相互に連携し、日本の防衛政策を決定・推進する重要な役割を果たしています。議論には自民党の国会議員が参加し、政府の防衛政策に対する提言や指示をまとめますが、三部会の重用審議の際の写真を見ると、常に石破茂、岩屋毅、中谷元の各氏が上座に座り、にらみを利かしていることに驚かされます。


防衛利権とは

「防衛利権」とは、防衛関連の予算や装備調達に関する利権を指し、防衛産業や政治家との結びつきから生まれます。要は、日本国内の軍需産業が自衛隊向けの装備品やシステムを提供する過程で、防衛予算の配分を通して、軍需産業と政治家の間に利権が発生するわけです。

例えば、2007年、軍需専門商社「山田洋行」が防衛省の守屋武昌・元事務次官に対し、200回を超えるゴルフ接待を繰り返していた事件を記憶している方もおられることでしょう。この時の国防族議員は守屋氏と深いつながりがあったにもかかわらず、みんな逃げ出し、結果的に、石破茂、岩屋毅、中谷元の各氏が族議員の中心に収まってしまいました。

この事件以降でも、防衛汚職に関する話は、枚挙にいとまがありません。防衛関連は利権の巣窟なのです。(なお、だからといって「防衛費削減」と言い出すのは愚の骨頂、「中国の走狗」になるだけです。)

2017年には、防衛省が調達した航空機や装備品に関して、特定の業者が優遇される形で契約が行われたとの疑惑が浮上する事件がありました。また、2018年には、防衛省の幹部が、防衛装備品の契約を受けた業者から多額の金銭を受け取ったとして逮捕されました。

さらに、2020年には、特定の防衛装備品の購入において、業者との不正な関係が報じられるという出来事がありました。また、最近では、F-35戦闘機を導入する際、調達プロセスにおいて透明性が不足しているとの批判がでています。

直近でも、岸田内閣の安保3文書改定で、防衛予算の増額が盛り込まれ、2027年度までにGDPの2%を防衛費に充てる方針が示されましたが、三菱重工業を中心とする防衛産業は活況を呈するようになりました。その矢先、海上自衛隊の潜水艦の検査や修理をめぐって、自衛隊と業者との関係が問題視されるようになっています。

このような調達・修理にまつわる防衛施設庁がらみの事件は日常茶飯事と推測されるのですが(以前、筆者は防衛施設庁の役職者=高校の先輩に話を聞いたことがある)、筆者はもっと大きな利権構造は、防衛族議員が一手に引き受けていると推測しています。

したがって、国防族に睨みをきかせる石破茂、岩屋毅、中谷元の各氏が国防三部会に出席するだけで、4、5年生程度の国防部会長などひとたまりもありません。国防に熱心なヒゲの隊長で有名な佐藤正久氏や、今度、政務調査会長に就任したまじめな小野寺五典氏でさえ沈黙せざるをえないパワー・トリオなのです。


今度の総裁選は、ある意味、防衛利権をめぐる攻防戦ではなかったのか

自民党総裁選で各候補の憲法観、国防観で意外だったのは、コバホークこと小林鷹之氏ではないでしょうか。総裁選の街頭演説では、中国の空母等がわが国の接続水域に入ったことに触れ、「自分の国は自分で守るという気概がない国を他の国は守ってくれない」と主張。「日米同盟等による抑止力強化に加え、自衛隊を憲法に明記する」と主張しました。かなりはっきりした物言いで、高市早苗氏につぐ保守派のイメージを強固にしました。

ただ、意外なことに小林鷹之氏の経歴を見ると、大蔵・財務官僚出身です。大蔵・財務官僚出身で国防関係をライフワークにする国会議員について、筆者は寡聞にして存じ上げません。実際のところ、財務省は、国家財政の「健全性」を盾に、防衛予算の増額には渋い顔になって、慎重な姿勢を求めます。

したがって、当初は、小林鷹之氏を大蔵・財務官僚出身の鬼っ子と思ったのですが、実は、財務省の偽装作戦で、意図的に小林鷹之氏にタカ派発言をさせたのではないかと思います。

その原因は、岸田政権で成立させた「安保3文書改定」にあるのではないかと思います。

「安保3文書改定」には、「近年の安全保障環境の悪化(特に中国の軍拡や北朝鮮のミサイル開発など)に対応するため、防衛費の増額を掲げ、今後5年間で防衛費を大幅に増やし、GDP比で2%程度に引き上げること」を目標にしています。

そのため、財務省は増税を含めた財源確保の方策を提案し、防衛増税として、所得税や法人税などの増税案を出しています。

財務省にとっては、国防と増税は一対の考え方です。しかし、それを言うと国民は反発します。そこで、国民の嫌がる増税の話を意図的にしまい込んで、党員が深い関心を寄せる国防を財務省出身のコバホークに語らせる、偽装工作というのは穿った見方でしょうか。なお、コバホークは自民党総裁選に出ると同時に消費税増税賛成のコメントを削除しています。

要は、コバホークは、石破茂-岩屋毅-中谷元ラインの防衛利権を既得権益にしているグループに、財務省がその利権構造をつぶして防衛予算の正常化と増税を納得させるための刺客であったのではないかと思うのです。

今回はかろうじて、石破総裁が誕生し、石破茂-岩屋毅-中谷元ラインの防衛利権グループが勝利しましたが、財務省は折を見て、防衛利権にメスを入れることは間違いありません。先に述べた防衛省の汚職も、財務省管轄の税務署がらみの摘発からはじまったと推測しています。


増税反対の安倍元総理をつぶそうとした財務省

かつて安倍元総理は、森友学園、加計学園の問題で追及を受けました。前者は財務省理財局、後者は「国家戦略特区の制度」に対して補助金や助成金の分配に関して財務省が関与しており、財務省の言いなりの朝日新聞の報道で安倍元総理は集中砲火を浴びました。

本来は、財務省と森友学園、財務省と家計学園との関係性で生じた問題にもかかわらず、財務省は総力を挙げて、安倍スキャンダルに仕立て上げました。

なぜか、それは安倍元総理が財務省の画策した消費増税を二度にわたって延期したからです。財務省は、増税を拒否する政権を絶対に許しません。

したがって、石破政権が増税を拒否すると、防衛利権の問題は、財務省配下の朝日新聞からスクープされるのは間違いありません。

そのとき、石破茂-岩屋毅-中谷元ラインの防衛利権グループはひとたまりもなく打撃を受けます。すでに、海上自衛隊の潜水艦の検査・修理に関する問題(架空取り引き、裏金を飲食などに流用)がすでに取沙汰されており、財務省の言うことを石破首相が聞かなければ一巻の終わりです。

財務省に逆らうものは、何人たりとも生存は許されないのです。

なお、筆者は、余命宣告を受けている身なので財務省の脅しがあっても影響はありません。

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