赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

ウクライナ情勢

2024-12-23 00:00:00 | 政治見解
ウクライナ情勢



11月29日、ウクライナのゼレンスキー大統領がついに「現状停戦も選択肢の一つ」と、その可能性を公に認めました。これまでさまざまな発言がありましたが、要するに「現在の状況で撃ち方を止め、ひとまず停戦してもよい」という立場を、初めて明確にしたと思われます。

また、アメリカのジャーナリストでトランプ氏に近いタッカー・カールソン氏が、ロシアのラブロフ外務大臣にインタビューを行い、その内容がX(旧Twitter)に投稿されたのは12月5日でした。このような動きから、和平への機運が高まりつつあることがわかります。つまり、ウクライナ戦争における停戦や和平への流れが、これまで以上に加速している模様です。

この現状について国際政治学者の解説を頂きました。


全体像

現在のウクライナをめぐる状況は非常に危険なものとなっています。米露間の緊張が極限まで高まっており、第三次世界大戦が勃発してもおかしくない状況です。たとえば、アメリカ製の射程500キロメートル程度の中距離ミサイルがウクライナによって使用され、ロシア領への攻撃が行われているとされています。これに対抗する形でロシアも行動を起こしており、状況は極めて緊迫しています。ロシア側は、アメリカ製の兵器によって自国の市民や兵士が犠牲となっていることを強く非難しており、プーチン大統領もこれに対して非常に厳しい警告を発しています。

さらに、バイデン大統領もこの段階においてエスカレーションを完全に諦めているわけではありません。一方、トランプ氏は停戦を目指し、和平を実現するための活動を積極的に展開しています。この和平に向けた動きは、イランやロシアとの関係において特に顕著です。たとえば、11月7日にはトランプ氏とプーチン大統領が電話会談を行ったとの報道がありました。この件についてロシア大統領府は公式に否定していますが、私は実際に会談が行われた可能性が高いと考えています。

また、イーロン・マスク氏がトランプ氏の意向を代弁する形で、イランの国連大使であるイラバニ氏とニューヨークで会談を行ったとの情報もあります。この出来事は11月11日に発生したとされていますが、イラン外務大臣のアラグチ氏は後にこの事実を否定しました。それにもかかわらず、私はこの会談も実際に行われたのではないかと推測しています。このように、トランプ氏はすでにロシアやイランとの和解を目指した具体的な動きを始めていると言えるでしょう。


ウクライナ和平の可能性

11月29日、英国のスカイニュースが報じた内容に応じて、ウクライナのゼレンスキー大統領が初めて停戦の可能性を認めました。和平が近づいている兆しといえるでしょう。

一方で、タッカー・カールソン氏がロシアのラブロフ外務大臣に行ったインタビューが12月5日に公開されました。ラブロフ外務大臣は20年以上もその職に就いている人物です。このインタビューは英語で行われましたが、日本語訳も提供されていると思われます。内容を確認すると、ロシアのこれまでの立場を繰り返していることが分かります。また、このインタビューから、第3次世界大戦の危険性が依然として存在していることも浮き彫りになっています。そのため、戦争を回避する必要性が一層高まっています。

関連する話題として、11月15日、ロシアはウラン燃料のアメリカへの輸出を禁止すると決定しました。実際、アメリカで使用されている濃縮ウランの27%はロシアから輸入されています。これは驚くべき数字であり、経済制裁を課すとしたバイデン大統領も、ウラン燃料については例外としてきた背景があります。この低コストのウランによってアメリカの原発は利益を上げているため、輸出禁止の影響は重大です。

さらに、11月17日、バイデン大統領はアメリカ製のミサイルをウクライナがロシア領土への攻撃に使用することを許可しました。それまで許可されていなかった措置です。このミサイルの射程距離は約500キロで、許可のわずか2日後、19日には実際にウクライナがロシア領土に向けて発射しました。また、11月20日には、バイデン政権が対人地雷の使用をウクライナに認めています。一方、11月21日には、ロシアが中距離弾道ミサイル「オレシニク」を初めてウクライナ攻撃に使用しました。これらの一連の出来事は、危険なエスカレーションを示しています。

タッカー・カールソン氏のインタビューも、この第3次世界大戦を回避しなければならないという強い使命感のもとで行われたものだと考えられます。トランプ元大統領の意向を直接反映している可能性も高く、カールソン氏とトランプ氏の親密な関係を考慮すると、その意図が感じ取れます。

さらに、11月7日にはトランプ氏とプーチン大統領が電話会談を行ったのではないかという話が浮上しましたが、ロシア大統領府はこれを否定しています。同様に、11月11日にはイーロン・マスク氏がニューヨークで国連のイラン大使イラバニ氏と会談したとの情報もありましたが、これについてもイラン外務省や外務大臣が否定しています。ただし、マスク氏自身はこの件についてノーコメントを貫いています。

これらの動きは、トランプ氏が対ロシアおよび対イランにおいて和解の姿勢を示そうとしているということです。

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