赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

三菱商事とシェルの失敗——洋上風力発電

2024-12-31 00:00:00 | 政治見解
三菱商事とシェルの失敗——洋上風力発電




以前から洋上風力には未来がないと指摘されていましたが、最新の事例として三菱商事やシェルが直面した失敗についての情報が入りましたので、許可を得てお伝えします。

これらの企業がどのような問題に直面したのか、その背景を掘り下げて考察していきたいと思います。


「洋上風力が厳しい状況だ」という話をこれまでしてきましたが、今回は洋上風力に関連する話題を2つお伝えします。

まずは三菱商事に関する話題です。

同社はイギリスで海底送電網の事業を展開しており、海底送電網を運営する会社を所有していました。しかし、この事業をすべて売却することを決定したというニュースです。事業がうまくいかなかったということですね。

具体的には、イギリスの洋上風力発電所向けの海底送電網事業に携わっていました。イギリスでは洋上風力発電が大きな割合を占めており、発電した電力を本土に送るため、海底送電網を敷設し運用する必要があります。その役割を担っていたのが、三菱商事の100%子会社である「ダイヤモンドトランスミッションコーポレーション」という会社です。

同社はこれまでイギリスで10件の海底送電網事業に参画してきましたが、これらすべてを売却する見通しであると報じられました。この件は三菱商事が12月6日に発表しています。

この事業は、資本金1億1800万ポンド(約226億円)でスタートしたものですが、現在の売却価格は1ポンドあたり191円で計算され、売却実行日は12月中旬とされています。この情報は、電気新聞の12月9日版にも掲載されていました。

それから、イギリスの有名な総合エネルギー企業であるシェルについてお話しします。

シェルは、12月5日に重要な発表を行いました。それは、新規の洋上風力発電プロジェクトの全面開発停止です。さらに、電力事業の分割についても同時に発表しています。要するに「採算が取れない」ということでしょう。



この話題と関連する点について触れたいと思います。私は以前から「水素は現時点では現実的ではない」と指摘してきました。日本では今年5月に「」という法律が成立しましたが、水素燃料は既存の燃料に比べて非常に高価です。

具体的には、水素燃料の価格は1ノルマル立方メートル当たり約100円で、これは天然ガスの約10倍の価格に相当します。

この価格差を埋めるために、政府は今後15年間で3兆円もの税金を投入する予定です。しかし、この3兆円は結果的に無駄金になる可能性が高いと考えています。このような政策では、国の経済がうまく機能するはずがありません。

原発で水素を製造すべきだと主張する方々がいらっしゃいます。

彼らは地球温暖化を信じており、化石燃料を燃やすべきではないという考え方を持っています。その結果、風力発電や太陽光発電は頼りにならないとして、原子力発電を推進しようとしています。

原発を使って水素を生成し、その水素を動力源として活用すれば、自動車や工場のエネルギーなどをすべて水素で賄える、という主張です。

しかし、現在の原子力発電はコストが非常に高く、そのうえ水素を製造するとさらにコストがかさみます。技術的には可能ですが、経済的には負担が大きすぎて実現が難しいのが現状です。これでは経済成長を支えるどころか、かえって停滞を招いてしまうでしょう。

まさに「絵に描いた餅」とはこのことだと思います。

それにもかかわらず、日本は今後15年間で3兆円もの予算を投じるとされています。こうした無駄な投資は一刻も早く見直していただきたいと思います。
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