重さ8㎏もある陽の玉には菜種油が塗ってある。更に滑りやすくなった陽の玉を競り子たちが楼門へと運ぶ。
玉に触ると幸運が訪れるといわれているので、男たちの手が次から次へと伸びてくる。
玉を落としてはいけないし、神玉である玉を独り占めしてもいけないだろうから次から次へと人の手に渡ってい行く。
競り子を肩車で背負う縁の下の男は、これまた力持ちでないと務まらない。
玉を持った競り子が大きく後ろにのけ反ると、玉が落ちるのではないかとファインダーを覗きながらこちらも心配する。
今年は例年になく警備の警察官の姿が目に付いた。それに、婦警さんの姿もみられ祭りの雰囲気を柔らげるものになっていた。
仕事とはいえお正月からお疲れさんと、いつも心の中で言っている。
その警察官のいでたち、帽子が角帽でなく野球帽みたいなやつに変わっていて良かった。
あの角帽がファインダーの中に大きく入ると処理に困っていたからだ。
陽の玉は神官が待つ楼門へと着実に進んでいく。