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本能寺の変 「明智憲三郎的世界 天下布文!」

『本能寺の変 431年目の真実』著者の公式ブログです。
通説・俗説・虚説に惑わされない「真実」の世界を探究します。

太田牛一自筆の『信長記』崩し字を読んでみましょう

2023年01月31日 | このブログのガイド
 織田信長の家臣太田牛一の書いた『信長記』(あるいは『信長公記』)は信長の一代記として第一級の史料と評価されています。 
 ところが、(コピー機も印刷機もない時代に書かれたものでしたので)牛一自身の書いた原本からいくつもの写本(人の手で書き写された本)が作られて世の中に広まりました。写本からさらに写本が作られたり、牛一自身が複数の原本を作成し、それらから写本が作られていったので、現存する『信長記』には様々な写本が存在しています。その膨大な全体系を整理する共同プロジェクト活動が2007年度から行われました。その成果については以下の本に詳しく書かれています。
東京大学史料編纂所金子拓准教授著『織田信長という歴史 信長記の彼方へ』

 この本の中で、明らかになったのは、現代に広く世の中に流通している『信長記』はいずれも写本を活字化したものであり、牛一自身が書いた自筆本ではないということです。そして、最も注目される自筆本が岡山大学附属図書館 古文書ギャラリーに掲載されている池田家本と呼ばれる本です。なぜならば、牛一が死の直前まで手元に置いて修正を加えた原本だからです。

自筆本の崩し字で書かれた原本は前述の古文書ギャラリーのサイトに公開されていて読むことができます。例えば巻十五の原本は下記のページから参照できます。
岡山大学附属図書館古文書ギャラリー 信長記 池田家本 巻十五

 しかし、ご覧になってわかるように、現代人がすらすら読めるものではなく、活字化された本の出版が待たれるのですが、残念ながら崩し字本の写真撮影版が1975年に福武書店から出版されてから早くも50年近くたちますが、未だに出版されてはおりません。


 一般社団法人明智継承会では、巻十五(天正十年の巻で、甲州武田攻めや本能寺の変の記述がある年)の崩し字1万6千字を活字化に成功しました。牛一の崩し字は独特の癖があり、AIでも解読困難な難読文字が多々あり苦戦しましたが、全文字の活字化に成功しました。そこで、その活字版と牛一の書いた『信長記』の崩し字を解読して活字にするための手引きを本にしました。
 今回活字にしたのは巻十五のみであり、巻一から十四までの14巻は活字になっておりませんので、是非皆様も活字化に挑戦してみてください。岡山大学附属図書館古文書ギャラリーのサイトに掲載されている崩し字の原本を『本当の本能寺の変~信長記 池田家本 巻十五~』の第3章の活字化の手引きを参考にして挑戦してみてください。
 『本当の本能寺の変~信長記 池田家本 巻十五~』は下記のサイトで購入できます。
 明智継承会公式通販サイト

質問 なぜ崩し字素人に難読の『信長記』池田家本の活字化ができたのか?
回答 2人のWEBエンジニアが活字化を担当しました。彼らは崩し字教育を一切受けていないだけでなく、崩し字を目にしたのも初めてという生粋の崩し字素人でした。
   崩し字は基本的な崩し方は決まっているものの、実際に書かれている崩し字は人により様々なパターンがあります。
   崩し字の専門家は、どのような人が書いた崩し字でも解読できる知識と技量を有した専門家です。
   ところが、この話は『信長記』池田家本の活字化には当てはまりません。
   なぜなら、解読しなければならない崩し字は太田牛一という人物が書いた崩し字だけでよいのです。太田牛一の崩し方のパターンがわかれば、誰でも読めるのです。もちろん、それにも知識と技量が必要ですが、崩し字の専門家になる必要はないのです。「太田牛一の崩し字の専門家」になればよいのです。

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