【写真は亀岡ききょうの里】
『「本能寺の変」は変だ! 明智光秀の子孫による歴史捜査授業』(明智憲三郎著・文芸社・2016年5月)の抜粋をこのブログで順次ご紹介してきました。第1回から順に辿れるようにリンクを貼ってありますので、順にお読みください。
>>> 第1回「はじめに」と「おわりに」
第18回の今回はいよいよ最終回の「エピローグ」です。
エピローグ「歴史捜査に学ぶ」
「四百年以上も前に起きた事件を今さら調べて何がわかるの?」「タイムマシンでもなければ歴史の真実なんてわからないでしょ!」。そうおっしゃる方は多いです。でも、歴史の真実も現代の犯罪捜査と同じ考え方と手法で解けるのです。それが歴史捜査です。
現代に起きている事件でも決定的な場面の目撃証言があるケースはむしろ少ないのです。たとえば、町内会の夏祭りで販売されたカレーに毒物が入っていて人が死んだ事件がありました。逮捕された容疑者がカレーに毒物を入れた決定的な瞬間を誰も見ていません。それでも、さまざまな証拠の積み上げによって、この容疑者の犯行と断定されて最高裁でも有罪となりました。
このように、現代に起きていることの「真実」も「真実とすべき蓋然性が高い」と認定されたカッコ付きの「真実」であって、絶対的な真実とは言えません。歴史の真実も様々な証拠の積み上げによって蓋然性を高めて「真実」に至ることができるのです。
そのための歴史捜査の手法は本文中に書きましたが、ご理解しやすいようにかなり整理し、枝葉を掃って太い幹だけを書きました。実際には行きつ戻りつもあって、かなり輻輳した作業になりました。答も一回で出そろったわけではありません。一度出た答の蓋然性を高める追跡捜査を行って答を磨き上げていきました。(中略)
でも、一番驚いたのは、こうして「答にたどり着けてしまった」ということでしょう。歴史捜査を始めた時には答までたどり着ける自信などまったくありませんでした。たとえたどり着けなくても、正しい手法で基礎的な証拠の整理ができ、問題の絞り込みができれば、あとを次の世代に託することができる。「それでも是非に及ばず」と思っていました。今は、やはり正しい手法が正しい答に導いてくれるのだと感慨ひとしおです。
とはいえ、これで歴史の定説が書き変わるわけではありません。ローマ教皇庁が天動説を放棄して地動説を承認するまでにガリレオの裁判から三百六十年以上かかっています。天体の物理法則ですらそうですから、巨大で強力な軍記物擦り込みマシーンが作動している本能寺の変についてはまだまだ長い時間がかかるでしょう。これから歴史学者を目指すことになる若い世代に期待します。
歴史捜査を通じて痛感したことは戦国武将を現代人の小さな器に合わせて解釈してはならないということです。現代人には想像もつかない厳しい環境の中で、一族生存に最善を尽くした人たちです。たとえ敗者といえども碁でいえば本因坊戦の敗者です。それを愚鈍な奴だと上から目線で見ていては何も学べません。戦国武将の知識・論理を学び、武将の器に少しでも近づこうとして自分の器を広げることが「歴史に学ぶ」ことではないでしょうか。(中略)
そして、そのうちの一人の子から連綿と続く子孫たちが残党狩りも逃れ、江戸時代の飢饉や大火を凌ぎ、関東大震災や戦時中の空襲をも凌いで私まで命の連鎖を続けてくれたのです。そこには光秀が遭遇したほどの大事件ではないとしても、先祖の誰もが子孫の生存にかかわる決断に迫られた場面があったのだと思います。そうした危機を乗り越えて私まで命をつなげてくれたことは恐らく何億分の一か何兆分の一かの確率で起きたことであり、正にこれこそ「幸運」と呼ぶべきものではないでしょうか。「先祖とは私をこの世に生存させてくれた恩人」。そう思って感謝しております。
【関連リンク】
>>> 本能寺の変、その「うんちく」間違ってます!
>>> もはや本能寺の変に謎は存在しない!利休・秀次切腹事件にも!
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明智憲三郎著の第4作『「本能寺の変」は変だ! 明智光秀の子孫による歴史捜査授業』文芸社
「秀吉がねつ造し、軍記物に汚染された戦国史を、今一度洗濯いたし申し候」。40万部突破の『本能寺の変 431年目の真実』の著者、明智憲三郎がさらなる歴史捜査を通じて、より解り易く「本能寺の変」の真実を解説した歴史ドキュメント! 「ハゲだから謀反って変だ! 」「歴史の流れ無視って変だ! 」「信長の油断って変だ! 」等々、まだある驚愕の真実に迫る!
本能寺の変研究の欠陥を暴き、「本当の歴史」を知る面白さを説く!
「若い方々や歴史に興味のない方々に歴史を好きになってもらいたいと思って書きました」 明智憲三郎
>>> サンテレビ「カツヤマサヒコSHOW」対談YouTube動画はこちら
【明智憲三郎著作一覧】
2016年5月発売予定
『「本能寺の変」は変だ! 明智光秀の子孫による歴史捜査授業』文芸社
>>> 文芸社のページ
2015年7月発売
『織田信長 四三三年目の真実 信長脳を歴史捜査せよ!』幻冬舎
>>> 幻冬舎のページ
2013年12月発売
『本能寺の変 431年目の真実』文芸社文庫
>>> 文芸社のページ
2009年3月発売
『本能寺の変 四二七年目の真実』プレジデント社
『「本能寺の変」は変だ! 明智光秀の子孫による歴史捜査授業』(明智憲三郎著・文芸社・2016年5月)の抜粋をこのブログで順次ご紹介してきました。第1回から順に辿れるようにリンクを貼ってありますので、順にお読みください。
>>> 第1回「はじめに」と「おわりに」
第18回の今回はいよいよ最終回の「エピローグ」です。
エピローグ「歴史捜査に学ぶ」
「四百年以上も前に起きた事件を今さら調べて何がわかるの?」「タイムマシンでもなければ歴史の真実なんてわからないでしょ!」。そうおっしゃる方は多いです。でも、歴史の真実も現代の犯罪捜査と同じ考え方と手法で解けるのです。それが歴史捜査です。
現代に起きている事件でも決定的な場面の目撃証言があるケースはむしろ少ないのです。たとえば、町内会の夏祭りで販売されたカレーに毒物が入っていて人が死んだ事件がありました。逮捕された容疑者がカレーに毒物を入れた決定的な瞬間を誰も見ていません。それでも、さまざまな証拠の積み上げによって、この容疑者の犯行と断定されて最高裁でも有罪となりました。
このように、現代に起きていることの「真実」も「真実とすべき蓋然性が高い」と認定されたカッコ付きの「真実」であって、絶対的な真実とは言えません。歴史の真実も様々な証拠の積み上げによって蓋然性を高めて「真実」に至ることができるのです。
そのための歴史捜査の手法は本文中に書きましたが、ご理解しやすいようにかなり整理し、枝葉を掃って太い幹だけを書きました。実際には行きつ戻りつもあって、かなり輻輳した作業になりました。答も一回で出そろったわけではありません。一度出た答の蓋然性を高める追跡捜査を行って答を磨き上げていきました。(中略)
でも、一番驚いたのは、こうして「答にたどり着けてしまった」ということでしょう。歴史捜査を始めた時には答までたどり着ける自信などまったくありませんでした。たとえたどり着けなくても、正しい手法で基礎的な証拠の整理ができ、問題の絞り込みができれば、あとを次の世代に託することができる。「それでも是非に及ばず」と思っていました。今は、やはり正しい手法が正しい答に導いてくれるのだと感慨ひとしおです。
とはいえ、これで歴史の定説が書き変わるわけではありません。ローマ教皇庁が天動説を放棄して地動説を承認するまでにガリレオの裁判から三百六十年以上かかっています。天体の物理法則ですらそうですから、巨大で強力な軍記物擦り込みマシーンが作動している本能寺の変についてはまだまだ長い時間がかかるでしょう。これから歴史学者を目指すことになる若い世代に期待します。
歴史捜査を通じて痛感したことは戦国武将を現代人の小さな器に合わせて解釈してはならないということです。現代人には想像もつかない厳しい環境の中で、一族生存に最善を尽くした人たちです。たとえ敗者といえども碁でいえば本因坊戦の敗者です。それを愚鈍な奴だと上から目線で見ていては何も学べません。戦国武将の知識・論理を学び、武将の器に少しでも近づこうとして自分の器を広げることが「歴史に学ぶ」ことではないでしょうか。(中略)
そして、そのうちの一人の子から連綿と続く子孫たちが残党狩りも逃れ、江戸時代の飢饉や大火を凌ぎ、関東大震災や戦時中の空襲をも凌いで私まで命の連鎖を続けてくれたのです。そこには光秀が遭遇したほどの大事件ではないとしても、先祖の誰もが子孫の生存にかかわる決断に迫られた場面があったのだと思います。そうした危機を乗り越えて私まで命をつなげてくれたことは恐らく何億分の一か何兆分の一かの確率で起きたことであり、正にこれこそ「幸運」と呼ぶべきものではないでしょうか。「先祖とは私をこの世に生存させてくれた恩人」。そう思って感謝しております。
【関連リンク】
>>> 本能寺の変、その「うんちく」間違ってます!
>>> もはや本能寺の変に謎は存在しない!利休・秀次切腹事件にも!
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明智憲三郎著の第4作『「本能寺の変」は変だ! 明智光秀の子孫による歴史捜査授業』文芸社
「秀吉がねつ造し、軍記物に汚染された戦国史を、今一度洗濯いたし申し候」。40万部突破の『本能寺の変 431年目の真実』の著者、明智憲三郎がさらなる歴史捜査を通じて、より解り易く「本能寺の変」の真実を解説した歴史ドキュメント! 「ハゲだから謀反って変だ! 」「歴史の流れ無視って変だ! 」「信長の油断って変だ! 」等々、まだある驚愕の真実に迫る!
本能寺の変研究の欠陥を暴き、「本当の歴史」を知る面白さを説く!
「若い方々や歴史に興味のない方々に歴史を好きになってもらいたいと思って書きました」 明智憲三郎
>>> サンテレビ「カツヤマサヒコSHOW」対談YouTube動画はこちら
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文芸社 |
【明智憲三郎著作一覧】
2016年5月発売予定
『「本能寺の変」は変だ! 明智光秀の子孫による歴史捜査授業』文芸社
>>> 文芸社のページ
2015年7月発売
『織田信長 四三三年目の真実 信長脳を歴史捜査せよ!』幻冬舎
>>> 幻冬舎のページ
2013年12月発売
『本能寺の変 431年目の真実』文芸社文庫
>>> 文芸社のページ
2009年3月発売
『本能寺の変 四二七年目の真実』プレジデント社