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本能寺の変 「明智憲三郎的世界 天下布文!」

『本能寺の変 431年目の真実』著者の公式ブログです。
通説・俗説・虚説に惑わされない「真実」の世界を探究します。

本能寺の変:斎藤利三犯人説を斬る!

2010年02月27日 | 通説・俗説・虚説を斬る!
         >>> 本能寺の変の定説は打破された!

 光秀冤罪説を斬った際にこれだけは可能性ありとして残ってしまった斎藤利三犯人説を斬ることにします。この説は光秀の重臣・利三が光秀の許可を得ずに信長を討ち、その結果、光秀がやむを得ずに謀反の仕上げを行ったとするものです。
 ★ 光秀冤罪説を斬る!
 ★ Wikipedia「斎藤利三」記事 ← 通説に注意してお読みください

 なぜ、利三のみが光秀冤罪説の可能性として残ったかというと、明智軍を光秀の命令として動かすことができる人物だからです。秀吉や朝廷ではそれは無理です。
 それでは例の5つの視点でみてみましょう。
  ①動機       犯人に信長殺しの動機があるか
  ②犯行可能性   犯行を実行できる可能性があるかどうか
  ③関係者の証言  犯行を裏付ける証言があるかどうか
  ④本人の自白   犯人自身の自白があるかどうか
  ⑤成功時報酬   犯行成功による報酬があったかどうか

 まず動機ですが、これは大有りです。長宗我部元親正室は利三の義理の妹でした。織田信孝の長宗我部征伐軍の四国への渡海はなんとしても止めたかったはずです。長宗我部征伐軍の出航予定日の前日に本能寺の変が起きていますので、謀反の目的がそこにあったとも言えます。
 ★ Wikipedia「長宗我部元親」記事

 次に犯行可能性ですが、これもありえます。光秀からの命令だとして利三が指令を出せば明智軍を動かせたでしょう。
 しかし、光秀抜きで全て可能だったかは疑問が残ります。光秀軍を光秀の命令なしに上洛させることができたかどうかが問題です。当然、光秀がそこにいれば自分の命令と違う方向へ軍が進めば止めたはずです。
 また、利三が必要とする信長の行動情報は光秀からもらわざるをえなかったでしょうから、光秀抜きで全てを利三が単独で行えたとは考えにくいところです。

 関係者の証言としては長宗我部元親の家臣の書いた『元親記』に長宗我部征伐軍の集結を知って利三が「明智の謀反をさし急いだ」と書かれています。公家の山科言経(やましな・ときつね)の書いた日記『言経卿記』には利三が光秀の謀反で随一の活躍をしたと書かれています。どちらも利三が謀反に特別の関与をしたことを示していますが、やはり謀反の主体は光秀というニュアンスを感じます。
 ★ Wikipedia「山科言経」記事

 山崎の合戦後に捕まって処刑された利三の死骸は光秀の死骸と並べて京都の粟田口(あわたぐち)に磔(はりつけ)にされたとのことですから、利三が謀反に特別な関与をしていたという認識は当時もあったのでしょう。

 本人の自白として利三自身の言葉の記録は残っていません。
 一方、光秀は謀反の決意を愛宕百韻に詠んでいますし、変の後に安土城で光秀に会った朝廷からの勅使・吉田兼見は日記『兼見卿記』に光秀と「謀反の存分を雑談した」と書いていますので、光秀自身も自分の謀反と認めていたと考えるのが自然でしょう。
 ★ 愛宕百韻の解読捜査
 ★ Wikipedia「吉田兼見」記事

 最後に成功時報酬ですが、利三は一族と言える長宗我部元親正室の命を確かに救えましたので報酬が得られています。しかし、一族という観点から見れば土岐氏であった正室とその夫である元親という同盟者を救えた光秀の報酬の方がはるかに大きかったように思います。

 以上見てきた通り、やはり主役は光秀であり、利三は名脇役だったと思えます。主従関係という外部からは必ずしもよく見えるわけではない部分が残りますが、「意志薄弱な光秀が利三に無理矢理謀反へ引きずりこまれる」という設定は土岐氏再興を図ろうと獅子奮迅の活躍で信長の腹心へとのし上がってきた光秀のバイタリティや武将としてのダイナミズムとは相容れないと感じます。

 利三主導説をとる本能寺の変研究者も多いですが、長宗我部氏と光秀の関係を「長宗我部=利三」関係ととらえてしまう落とし穴にはまっていると思います。「長宗我部氏=土岐氏」という関係と正しくとらえなおすことで見えるものが変わってくるはずです。
 いずれにせよ、本能寺の変を考えるにあたって、長宗我部氏と土岐氏を知らずして真実は見えてはこないのです
 ★ 長宗我部元親と明智光秀との関係を暴く
 ★ 長宗我部氏解説集
 ★ 土岐氏解説集

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 『本能寺の変 四二七年目の真実』のあらすじはこちらをご覧ください。
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