明日から真冬のフィンランドに教育関連の視察に行ってまいります。
フィンランドは2004年度に行われたOECDのPISA(学習到達度調査)では日本や韓国、香港などの教育熱の高い国や欧米先進国を抑えて学力世界一を誇っていて、(1)読解力(2)数学リテラシー(3)科学リテラシーという三分野のみの調査を57カ国に対して行いました。フィンランドの学校は週休二日制であり、教師は大学院卒が基本、授業時間も日本よりかなり少なく、また「総合的な学習」に相当する時間も日本より多い。近年、日本で批判されている「ゆとり教育」に近い内容という特徴があるが、教育内容や教授方法への教育行政の指示が少なく、分権化が進んでいること、成績下位者への支援態勢が特に手厚いこと、義務教育にも留年制度があること、小学校から大学まで多くの学校で学費が無料であることなどの違いがあります。端的にいえば、競争をさせる教育ではなく、おちこぼれを作らない教育なのでは?と推察しています。
教育だけ何か制度を変えてよりよい方向性を作るのでは限界があり、子育て世代のママを含めて女性の労働力化が進んでいること、特に法律家・医師は女性が半数を占めているなど企業で高い地位を占める女性も増えているということからすると、家庭の中にやんわりと社会を感じる空気があり、それだけ子供たちが将来を考える基礎作りが自然にされているのでないか、とも思います。冬の夜は長く、午後3時半には暗くなり、10時には終電です。家族で過ごす多くの時間が子供の基礎学習能力をはぐくんでいるのだと思います。
この計画のきっかけになったのは、私が新卒として入社をしたミサワホーム株式会社の関連会社ミサワホームフィンランドに同期だった友人が家族で赴任をしており、メールを通してフィンランド人の生活やお子さんの公共教育の様子を聞き、是非視察をさせていただきたいと申し入れをしたところお受けいただいたというものです。お願いしようとした決め手は、友人の「フィンランドの学校は大変すばらしいので、出来れば大学まで通わせたいと夫婦で話をしている。」といったメールでの言葉でした。
この一言で、実際に見てみたいという気持ちを抑えられなくなりました。思えば25歳のときにパリのオルセー美術館をどうしても見たくなり、無謀にもはじめての飛行機に乗り、一人旅をしてきたことを思い出します。生来の無鉄砲さ、猪突猛進タイプです。
今回は首都ヘルシンキから200キロ北東にあるミッケリという人口4万人強の市に伺い、ミッケリ市長や教育長、そして小中学校、高校、アアルト大学の視察をさせていただきます。宿泊はホームステイで3泊を予定しており、フィンランド人の生活の一端を感じることが出来ると期待をしています。
教育に関しては政治不介入という原則を保ちながらも杉並区の公教育を少しでもよいものにしていくヒントを探ってきます。帰国してから報告会をさせていただく予定です。ご興味のある方は是非、お越しくださいませ。