「杉並区内の公園施策について」
◆二十一番(山本あけみ議員)
私は、民主・社民クラブの一員として、杉並区内の公園施策についてお尋ねいたします。
杉並区では、昨年の七月に新たに田中区長を迎え入れられ、新体制のもと、五十四万区民が住む杉並区を、質の高い住宅都市杉並に向けて、だれもが健やかに豊かにという基本理念を大きく掲げられています。また、本年は、今後の十年を展望した新たな基本構想、総合計画を策定するという極めて重要な一年となっております。
平成二十三年度の区政経営計画書に記された予算の概要でもわかるとおり、その配分は、大きく福祉・医療、教育、そしてまちづくりの三項目に分けられております。まちづくりの内容においては、国・都・区まちづくり連絡会の設置を掲げ、これまでのいわゆる縦割り行政による弊害をできるだけ排除し、杉並区内にあるすべての公有地の有効活用を図ることも大きく掲げられております。
私は、世田谷区から杉並区久我山に転居してからおよそ八年がたちますが、みどり豊かで、住民の方々が平穏に暮らしていらっしゃる、大変よい地域だと感じております。
その久我山駅の南側には、大きなグラウンドが三つあります。旧NHK富士見ケ丘運動場、王子製紙、そして国立印刷局のグラウンドです。この三つのグラウンドを中心とした一帯は、昭和三十二年に都市計画高井戸公園として、大きさは約十七ヘクタール、およそ日比谷公園と同じぐらいの大きさの公園の計画が東京都により決定されましたが、およそ半世紀を過ぎた現在においても、計画地のまま、実行へと移されるという朗報を聞くことはできません。
この公園予定地の主要部分を占める旧NHK富士見ケ丘運動場は、平成十八年三月三十一日、近隣住民に何の説明もないまま突如として閉鎖となりました。そして一時期、グラウンドは管理をされることなく、みどり豊かだったはずのグラウンドの手入れをされなかった芝生は、あっという間に荒れ地に変わりました。
そんな中、心ある住民の方々が連携をとり、賛同団体を募り、署名を集め、このNHKグラウンドを杉並区の管理により区民へと開放するという道筋をつけ、また杉並区に対して、早期の都市計画高井戸公園の実現及び広域避難所確保に向けての請願書を提出してくれました。この住民運動にお一人お一人が貴重な時間を割き、現在の杉並区による旧NHKグラウンドの開放へと導いてくれたことに関しては、一区民として大変ありがたく思い、また、私利私欲を捨て地域のために活動してこられたことに関しては、大変尊敬をしている次第であります。
そして平成十九年三月には、杉並区の管理のもと、遊び場一〇二番として区民に開放され、大きなグラウンドには、平日、休日ともに、スポーツの練習として、また憩いの場として、多数の区民により利用されております。
残り二つのグラウンドのうちの一つ、現在は国立印刷局のグラウンドも、杉並区のご尽力により、区民に開放されるべく準備が進んでおり、テニスコート四面と野球場二面の開放が予定されております。
一方で、この都市計画高井戸公園の南側に隣接する形で、現在、東京都により放射第五号道路の予定地の土地買収が進んでおります。つい先日になりますが、六月十一日に近隣住民のポストには、東京都市計画道路幹線街路放射第五号線三建・放五ニュースが配布されました。内容は、久我山駅から南に岩通通りを進んだ位置にある、岩崎橋付近の道路構造についての意向調査を実施した結果のお知らせであります。調査対象は放射第五号道路に接するお宅で、東京都の職員が戸別に訪問をし、調査数二百八十一名、そのうち回答数百六十六名、回答率五九%の調査結果となっております。
意向調査とは、平成十九年に地域の関係者を委員とした放射第五号線事業推進のための検討協議会から提言をされた、整備に当たっては、放五を岩通通りと立体交差させる一部トンネル案を基本的な道路構造とし、留意事項に十分配慮して事業を実施することという事項をもとに、一部トンネル案の趣旨及び留意事項のうち、掘り割り部やトンネル部の土地の有効利用に影響を及ぼすこと、またトンネル開口部付近で排
気ガスが増加することの二項目について、沿道関係者の皆様に資料や模型を持参し説明をさせていただいた上で、調査をした内容となっております。
今後、この調査を踏まえての東京都としての道路構造の提案が杉並区に対してある予定となっており、この道路事業に関して、大変重要な段階を迎えております。杉並区においては、この段階において、ぜひ久我山以外にも、富士見丘、高井戸住民の環境に関するご意見にも配慮していく方針を再度打ち出していただきたいと考えております。
そして東京都には、国の史跡である玉川上水の保全にも努め、環境庁の絶滅危惧種レッドリストにも多数登録されている動植物が生息する、現在の生態系を壊さない配慮を最大限していくことも求められており、杉並区としても熟慮をいただきたい部分と考えております。
さて、前述の旧NHKグラウンドの区民への開放のための住民運動と前後して、私、山本あけみは、近隣のメンバーと新しいグループを立ち上げ、久我山緑の散歩道という杉並区のまちづくり団体として登録をして、助成金をいただきながら活動を開始いたしました。メンバーの平均年齢は四十歳代半ば、それぞれが仕事に従事をする中で、自由闊達な意見を尊重し合いながらの活動の開始でありました。目的は、久我山にある三つのグラウンドを早期に都市計画高井戸公園として整備をしてもらう。また、この公園に隣接して、東京都により計画が進んでいる放射第五号道路の構造と緑地帯の整備を、久我山のよさを生かしていったものにしてもらうというものです。
これまでは、住民グループとして、東京都知事、そして杉並区長へと要請を重ねてまいりました。この目的は、言いかえると、久我山という地域に予定をされている東京都による公共事業、すなわち、都市計画高井戸公園と放射第五号道路の事業を、従来の、東京都の中の公園と道路という縦割りの行政の中で別々に進行していく事業ではなく、久我山という同じ地域の隣り合う事業として、これからの環境共生型の公共事業のあり方を提言できるような、よりよい方向性を見出していける可能性があるということでございます。
そして、まちづくり団体・久我山緑の散歩道では、一つの構想を掲げ、これまで東京都や杉並区へと提案をしてまいりました。
議長、ボードを提示してもよろしいでしょうか。
○議長(藤本なおや議員) はい、どうぞ。
◆二十一番(山本あけみ議員)
これが東京都と杉並区へと提案をするために作成をした模式図と写真のボードです。ぜひ区議の皆様にもごらんいただきたいと思いまして、本日持参をさせていただきました。
この井の頭・久我山緑のパークウエイ構想とは、ボード左上にある、桜の名所として名高い都立井の頭恩賜公園と、ボード右下にある都市計画高井戸公園を、上部の緑のラインで表示をしております。現在既にある、井の頭線に沿って流れている神田川の桜を中心とした緑地帯、ボード下に緑のラインで表示してあります。もう一方は、平成十五年に国の史跡として指定をされ、三百五十年以上前に江戸に水を送るための土木技術の高さが認められた玉川上水の武蔵野の面影が残る緑地帯により結び、自治体をまたいでパークウエーを整備していくことにより、手すりや道路舗装の統一、緑化を目指し、ジョギングや散歩等、都会にありながらも人々の暮らしに身近な憩いの場を創出することを目的としております。
この構想をごらんいただければ、二つの隣り合う事業を一体で進めていくことにより、設計料や整備費用を抑制し、利便性やデザイン性においては、トータルに一層充実した事業をしていくことができるということを容易に想像してもらえるのではないかと確信しております。
杉並区のまちづくり団体・久我山緑の散歩道では、ブログ形式のホームページにおいて情報発信を続けておりますが、二〇〇九年三月から二〇一一年六月までの総トータル閲覧数は十三万件、トータル訪問者数は六万人以上を数え、最近においてもアクセス数が伸びている実績からして、区民の、久我山にある都市計画高井戸公園と玉川上水に関する関心の高さがうかがえると考えております。また、これまで区民の方から実名において、井の頭・久我山緑のパークウエイ構想へのご賛同を多数いただいております。
今後、この井の頭・久我山緑のパークウエイ構想を推進していくためには、都市計画高井戸公園の早期の整備が必要不可欠と考えております。都市計画高井戸公園を実現するための具体策として、現在、東京都の重点公園としての位置づけから優先公園として改め、早期に用地の入手、買収を進め、安定した広域避難場所、そしてみどり豊かな都市公園として、都民要望にこたえられるようにしていくことが不可欠と考えております。
そこで、都市計画高井戸公園の整備推進にどのように取り組まれているのか、杉並区のご所見をお伺いいたします。
また、先般の東日本大震災では、多数の被害に遭われた方にお悔やみとお見舞いを申し上げます。
その被害の甚大さから、杉並区における防災体制の見直しが求められていることと存じます。東京都立公園においては、現存する都立公園を、防災施設の充実を図ることにより防災公園として位置づけ、東京都の防災上の拠点として、大地震などの災害が発生したとき、生命の保護を第一に、さまざまな活動の拠点としての役割を果たすための防災設備が整備されつつあります。杉並区内にある都立和田堀公園は大規模救出救助活動拠点として、また善福寺川緑地は防災グループとして公園協会が管理運営をしている公園として位置づけられ、既に地元の自治体、消防、警察、町内会などと連携をし、地域と一体となった訓練を行うなど大きく機能をしており、震災から市民を守る貴重な場所として位置づけられております。
現在、久我山にある三つのグラウンドが都市計画高井戸公園として整備が進んでいけば、防災上はどのような利点があるとお考えか、区のご所見をお伺いいたします。
次に、既にほかの方からのご質問にもありましたが、再度お尋ねいたします。
東日本大震災で起きました東京電力の福島原子力発電所での大災害の被災者への補償や、火力発電の燃料費増に充てるため、今後、東京電力は資産の整理を進めていくことが決定をいたしました。東京電力の三月期の決算報告では、過去最大、一兆二千四百七十三億円の赤字を発表いたしました。また、都内のグラウンドなど二十七カ所の福利厚生施設の売却が決まり、資金確保のために保養所などの施設を売却することを発表いたしました。
杉並区内には、先ほど来出ている神田川沿いの下高井戸二丁目に、東京電力総合グラウンドがあります。これまでは野球場とテニスコートが平日区民に無料で開放されておりましたが、区民のために、今後も安定して使用ができる体制の整備をしていただきたいと思います。
また、東京都において平成十八年度末に策定した「十年後の東京」で第一の柱に掲げられている、緑と水の回廊で包まれた美しいまち東京の復活に向け、全庁横断型の戦略的組織である緑の都市づくり推進本部を設置し、緑の東京十年プロジェクトを推進しています。この視点からしても、ぜひ神田川沿いにあるこのグラウンドを、宅地化することなく、現存のまま残していくべきと考えております。
今後、東京電力総合グラウンドを杉並区で取得をする考えはあるのか、区のご所見をお伺いいたします。
以上三点お伺いいたしまして、私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
○議長(藤本なおや議員) 理事者の答弁を求めます。
区長。
〔区長(田中 良)登壇〕
◎区長(田中良) 山本あけみ議員の一般質問にご答弁申し上げます。
都市計画高井戸公園の整備推進についてのお尋ねでございますが、区は、東京都に対し、早期の整備着手を働きかけてまいりましたが、それまでの間、できる限り区域内のオープンスペースを保全していくことが重要であると考えております。
そこで、区は、NHK富士見ケ丘旧運動場の使用貸借協定を平成二十四年三月まで更新延長するとともに、旧国立印刷局久我山運動場につきましても、国からの委託を受け、本年三月から区が管理を行っております。今後、運動場として広く区民が利用できるように再整備を進めてまいります。
現在、高井戸公園の計画区域には大きな三つの企業グラウンドがございまして、相互に行き来しにくい状態となっておりますけれども、都市計画公園として一体的にそれが整備されれば、災害時の避難もしやすくなって、防災力が大きく高まっていくものと思います。
平成十八年三月に策定されました都市計画公園・緑地の整備方針は、十カ年計画の折り返し点を迎えておりまして、見直し時期に入っておりますので、この機会に優先整備区域という形で位置づけをされて、一日も早く区民に喜ばれる公園として整備されるよう、引き続き東京都に強く働きかけていきたいと考えております。
残りの質問につきましては、関係部長よりご答弁申し上げます。
○議長(藤本なおや議員) 政策経営部長。
〔政策経営部長(高 和弘)登壇〕
◎政策経営部長(高和弘) 私からは、東京電力総合グラウンドに関するお尋ねにお答えいたします。
東京電力総合グラウンドは、野球場二面、陸上トラック、屋外テニスコートなどを有する東京電力の福利厚生施設で、野球場と屋外テニスコートなどその一部は、お話のように無料で区民のスポーツ利用に供されてまいりました。このグラウンドは、こうしたスポーツ施設のみならず、防災上の観点、みどり豊かで良好な環境を確保する上でも大切な空間であると考えています。
区といたしましては、既にご答弁しましたように、地域の皆様や区議会からのご要望を踏まえ、貴重な区民の財産として保全、活用を図っていくため、その取得に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
私からは以上でございます。