保坂展人世田谷区長と初めてお会いしたのはいつだったか、2011年にご就任されてから、世田谷区の再生エネルギー電力の導入や区外との連携などを模索していた講演会に伺ったりした時に名刺交換をさせていただいたのがきっかけだったように思います。
昨年、私が座・高円寺で開催した映画「太陽の蓋」上映会にお運びくださり、折角の機会なので上映後のクロストークにご登壇いただき、原発事故当時世田谷区長に立候補する直前に田中良杉並区長と共に、福島県南相馬市の支援をされていた事などお話しいただきました。(写真右から2番目が保坂区長、左端は山本あけみ)
https://blog.goo.ne.jp/akemiyamamoto/e/506ec20cf86d4e19c8935ef4a1de43d0
その後、杉並区内での保育行政に関するご講演会に来ていただくなどご縁は続き、今回の政治スクール開催のお知らせをいただきました。
私は20年間インテリア設計の仕事をしていたものの、政治の世界では議員秘書などの経験は無く、政治スクールに通った経験もなかったので、この機会に自分自身の考えを整理する意味でも参加をしてみようと思いました。
また、保坂展人さんという政治家であり教育ジャーナリストである、稀有な人物の神髄を垣間見てみたいと考えた事、こういったスクールに参加をする人たちと知り合いたいと思ったのも動機となりました。毎回、豪華なゲストにもお運びいただき、大変有意義な時間でした。
5回の講義全て皆勤賞!何とか課題もやり遂げ、終了証をいただく事が出来ました!以下、簡単にご報告いたします。
【スケジュール】
◆第1回目(4/7)
基調講演(保坂展人)
⇒「観客からプレーヤーへ」市民が主体となって政治に関わる必要性を語って下さいました。世田谷区長になってから、陳情か苦情が相次ぎ、区民の話を聞くうちに、そうなる前に主体的に区政に関わってもらうにはどうしたら良いかを考え始めたとの事でした。行きついた言葉が「ないもねだりから あるものさがしへ」。深く頷ける言葉です。
グループ討議開始「この政治スクールで何を学びたいか」
⇒1分スピーチで、この政治スクールに参加した動機を話しました。私からは、区議となって3期目のご信託をお願いするにあたり、自分自身の政治信条とは何かという事と向き合いたいとスピーチで話しました。
◆第2回目(4/14)
「言葉の力って何だろう」松尾貴史氏、「巨悪を眠らせない」ってほんと -検察と政治- 竹田昌弘氏
松尾貴史氏のご講演を初めて聞いたのですが、次々に言葉があふれ出てくる。現政権の閣僚の形態模写から、その言葉の持つ深い捉え方、鋭い解析力など、流石ツイッターの短い文章に事実と機微を詰め込めるだけの力量を感じました。自分がいかに、言葉を聞き流しているのかも痛感しました。
竹田昌弘氏からは、ジャーナリストとしての視点で、政治の暗部である贈収賄事件などで真に検察は政治家を追い詰めて来たのか、歴史的な事例を基にお話しくださいました。
◆第3回目(5/12)
参加者による90秒アピール、「直感力を磨き、時代の先を読む 前半」寺脇研氏
文部科学省出身で、京都造形芸術大学教授の寺脇研氏からは、モリカケ問題やこれまでの教育行政で行ってきたこと等を伺いました。官僚時代はゆとり教育の広報を担当され、生涯にわたって学習する、その一環が学校教育である、という考え方に立った教育改革が必要であること、そのために知識重視型ではなくて経験重視型の教育方針のもとで生きる力をはぐくみ、ゆとりある学校づくりを目指すし時代の変化に教育もついていく必要性などをお話しいただきました。
◆第4回目(5/19)
「なぜ<共同体自治>が必要か」宮台真司氏、「ロックと政治」渋谷陽一氏、渋谷陽一氏と宮台真司氏との対談
宮台真司氏のお話は広範囲で示唆的であり、時に攻撃的、でもウィットに富んでいて現代をぶった切り、将来を考えるといった印象を持ちました。自立した共同体は自立した個人を作り、妥当な民主主義を創るというお話は印象に残りました。とにかく回転が速い。
「ロックと政治」として渋谷陽一氏からは、政治とロックって無縁じゃない。人が望むものを世の中に出していこうよ、といったお話を伺いました。音楽に疎い私もロックが身近になったかも。
この回では、90秒の時間制限の中で、
◆第5回目(5/26)
スピーチ大会・最終講義
その時のスピーチ原稿を掲載いたします。
わたしたちの幸せのために
●私が杉並区議になった2011年は東日本大震災が起きた年です。
地震と津波、そして原発事故が重なるという、これまでに類を見ない複合的な大規模災害でした。
●私は無力感に苛まれながらも、被災地を想いあの時一瞬、
人と人とのつながりを強く意識し、お互いに深く関わる社会を求める機運は高まりました。
●時代が変わる、ああこれからは生きやすくなるのだと思いましたが、本当にそれは一瞬の出来事でした。
●その後、政権交代。旧態依然とした現政権の元、時代がきしみながら逆戻りをして
行くのを感じています。
政治って何のためにあるのか、何をするのが政治なのか。
●最初の写真は、私が政治の世界に入るきっかけとなった都立公園の予定地です。
●私が暮らす久我山には道路と公園という、東京都による隣接する大きな2つの公共事業が同時に進んでいます。
●12年前「道路が出来るから立ち退きなさい」と言われ、苦しみながら反対運動をしている人たちがいました。
●何故、公共事業が市民を苦しめるのか。
●早く正確な情報を知り、そしてより良い方策を提案をして行きたいという想いが、選挙を戦う原動力となりました。
「政治って何のためにあるのか、何をするのが政治なのか。」
私は「暮らしの改善活動」だと、シンプルに考えています。
以前はインテリアコーディネーターをしていました。
モデルハウスをプランする時のキーワードは、
そこで幸せに暮らす人々を感じさせる空間。
区議になってからはまちづくりや子育て介護、ひとり一人が自分らしく、
日々の生活を幸せだと感じるための下支えをする、
それが私にとっての政治です。
●インテリアコーディネーターとして、対話を通じて施主の願いを把握し、
設計によって住宅という形に変える、目的はそこに暮らす人々の幸せのためでした。
●区議になって、家づくりから杉並区づくりへと、大きくフィールドが広がりました。
●教育・福祉・都市整備など分野の違いこそあれ、そこに暮らす人々の幸せのため、という目的は変りません。
対話を通じて課題を見つけ、独自の視点で解決策を探っていく。
勉強会や意見交換会、映画の上映会や展覧会、時には朗読などを通して、
過去を振り返り未来を見据えていく視点に磨きを掛け、
つむじ風の様に瑞々しさを感じさせる存在でありたい。
区議としてどう社会に貢献が出来るのかを常に問いながら。
●先ほどのシーンは、先日開催した「久我山まちづくり展」の様子です。
5日間の会期中に来場者は300名近く。
●行政の動きを知り、自分事としてまちの行く末を考えるきっかけとなる様、
今回初めての試みでした。
●来場者からは生活者の視点で気づく心配事やご意見、ご提言などを多く頂くことが出来ました。
●「この時代の政治家の役割は、住民・市民の声に耳を傾けて、
フラットな関係で自主的で自治機能を生み出す契機を、提供することでは無いのか。」
これは保坂展人さんの言葉であり、私の活動にも重なります。
●世の中が現政権を忖度し、マスコミが現実を伝えなくなって、久しくなりました。
●昨日は、国策逮捕という人権に関して重大な事件が発生し、別名「働かせ法案」が強行採決される中、
世の中はスポーツ界の不祥事を大きく取り上げ、国民を欺く行為が蛮行しています。
●「蚊帳の外」という言葉を使わない様官邸が外務省に求めたという記事には呆れます。
●私の人生の途中から始まったデジタル社会は、人々から対話を奪い、
言葉と言葉の間にあるニュアンスを徹底的に無視している様に感じます。
私達の想いは言葉となる機会を奪われ、
いつの間にか感じた事さえ色あせていくのではないでしょうか。
●SNSは便利なようで、人々のストレスを軽く発散させ、
自分の周りには自分と近い考えの人しか寄ってこないという危険をはらみます。
●言葉は想いの裏返しです。対話を軽視すれば、思いを感じ取る力が落ちていくのではと、大きく危惧しています。
●宮台真司さんが、現在の社会現象を語ってくれました。
絶妙なトークを通じ、何とかより良い社会にして行こうと真剣な様子を、間近で拝見しました。
未来を語る時の主語は全て「わたしたち」でした。
●デジタル社会では、あらゆるものをカテゴライズし、瞬時に並べ替え、優劣を競わせるのが得意ですが、
「分断」を助長する事はあっても、「連帯」や「包摂」の手助けはしてくれません。
まずは、確固とした「わたしたち」を作る事が必要でしょう。
●政治はわたしたちの社会を作ります。
どんな社会を臨むのか、対話を通じて想いを言葉に替えて行きましょう。
●夢は子どもの専売特許では無く、
大人は具体的な方策を知っている分、夢を実現する能力があるのです。
●そしてわたしたちの夢が社会を作っていく。
その手立てが政治であることを願っています。
以上
※写真が横を向いたままのものがありますが、何度トライしてもこうなってしまいます。見づらく申し訳ございません。