2月15日に一般質問で議場に立ちました。
テーマは
「中学生海外留学について」、
「保育園と学童クラブの待機児童対策について」
動画→平成25年度第一定例会一般質問2月15日http://www.gikai.city.suginami.tokyo.jp/vod/25-01/250215.htm)
質問と答弁の要旨、そして質問の全文を掲載いたします。
<要旨>
「中学生海外留学について」
昨年来、これからの日本を担う子ども達の区立小中学校の教育について、様々な視点で質問と提言をしてきました。特に国際理解教育や教師が見識を広めるための海外先進地域への教育視察・派遣研修の推進をしてきたところ、「中学生海外留学」事業新設という大きな成果へとつながりました。今回はその概要等の質問をしました。
質問1
中学生のオーストラリア留学についての目的や交流の内容等概要は?
答弁1
海外における生活や現地の方との国際交流などの直接体験を通して豊かな人間性を培い、国際社会において「夢に向かい、志をもって自らの道を拓く」ために必要な資質の形成を目指す。本年10月中の13日間、友好都市であるオーストラリア・ウイロビー市に中学生を派遣し、ホームステイをしながら現地校での授業参加、教育施設等の訪問、自主研究などの活動を予定。派遣する15名の選考基準や方法は今後検討。趣旨や目的を十分理解し、積極的に英語でコミュニケーションを図り、留学した成果を様々な形で還元することを期待できる者などを派遣したい考え。
質問2
区の国際理解教育の進むべき方向性は?
答弁2
中学生の海外留学事業を含め、各学校では小学校外国語活動、中学校外国語科での外国人講師との関わりや総合的な学習の時間においての異文化理解、他国の人々とのコミュニケーションを通してその大切さを学んでいる。今後とも、豊かな人間性や国際感覚の基盤を培い、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てることなど推進に努める。
「保育園と学童クラブの待機児童対策について」
厳しい社会情勢下、保育園とそれに続く学童クラブ申込者数が毎年増加しており、認可保育園等増設や、学童クラブの量・質の向上を望む区民皆様のお声を届け、整備の方向性を問いました。それらを受けて、区では今定例会中に保育重要に対して「待機児童対策緊急推進プラン」を策定しまた。田中良杉並区長は、この問題は大都市の自治体共通であり、国や東京都など広域的な支援が必要とし、都と連携をして国に対し重点的支援を働きかけていくとしています。また、子ども子育て関連3法の本格施行後は、学童クラブは小学校6年生までを受け入れることになることから、量・質の確保に向け抜本的な取り組みが必要と考えています。
質問1
これまでの保育定員増の取り組みの総括は?認可保育園の申込者増加傾向が続いているが、待機児童対策の取り組みは?
答弁1
民間の力を活かした認可保育園整備や、貴重な社会的資源である私立幼稚園の認定こども園化に向けた支援策など総合的な推進に着実に取り組む。
質問2
学童クラブの入会児童数の推移と整備は?小学校の校舎や敷地内への整備を基本としていくのか?地域別の需要に応じた一層の整備が必要と考えるがいかがか?
答弁2
平成9年以降増加傾向、この5年間で約200名の増。第2学童クラブの新設や小学校の改築修繕時における移設などで定員増を図ってきた。行き帰りの安全面などから保護者の要望が多く、効率的・効果的な施設整備を図る観点から教育委員会とも連携していく。
<全文>
わたくしは、民主社民クラブの一員として、区政一般について質問をさせていただきます。質問項目は、
「中学生海外留学について」「保育園と学童クラブの待機児童対策について」です。
今年度の当区の予算は「次世代に夢と希望を拓く予算」と位置付けられました。これは、杉並の子ども達の健やかで力強い成長を望んでいるわたくしにとりまして、大変心強い行動指針であります。
「厳しい社会環境の中にあっても杉並の子どもや若者たちが夢や希望を見出し、その実現に向かって社会の様々な場面で生き生きと活躍することが地域社会全体の活力に繋がって行く。」という考えに、大きく共感をするところです。
まずもって大きな期待を持ち、そしてこの様な方向性を打ち出してくださった事に深い深い感謝を申し上げます。
さて、最初に「中学生海外留学」についてお伺いをいたします。
わたくしは昨年度の第1回定例会の一般質問で、「長引く景気低迷や人口減少による国内需要の低迷は、経済活動において、より一層のグローバル化を求めることになるにもかかわらず、海外への留学者数減少などに見られるような国民の内向き思考が一層進み、この先経済発展を遂げられず日本全体が萎縮していくのではないかという懸念が生まれてくる。」と訴えました。
そしてまずは指導者である教師の資質向上を目指すという思いを込めて、教師が教育についての見識を広める目的に行う海外の友好都市や先進地域への教育視察・研修派遣について今後の方向性を問いました。
そして第3回定例会の一般質問ではそれに引き続き、渋谷区で小学校5、6年生の児童のフィンランド派遣が実施されたことをご紹介した上で、「杉並区の児童・生徒の海外派遣のねらいと、これまでの実施状況及び今後の方向性について」の質問をしたところ、「今後については、これまで実施してきたオーストラリアのウィロビー市や韓国の瑞草区との中高生交流、台湾への野球交流の成果等を踏まえながら、各学校の国際理解教育の充実に努める」とのご答弁をいただきました。
これらの質問をした大きな目的は、次世代の担い手である全ての児童生徒が各ご家庭の経済的な環境に左右されることなく、等しく「国際理解教育」や「グローバル教育」の機会を得ることが出来るような社会であって欲しい、そしてそれを推進していける杉並区であって欲しいという思いからでした。
平成25年度の当初予算(案)の事業概要には、次世代育成基金の活用の中に、中学生海外留学事業として、国際感覚の基盤を培うために、オーストラリア・ウィロビー市に短期留学生として中学生を派遣し、交流などの直接体験を実施する、と書かれております。これは画期的な施策であり、杉並区でこれから育って行く次世代の育成にとっては大変有意義なものであると考ます。
そこで質問をいたします。
Q1
来年度予定している中学生のオーストラリアへの留学についての目的や交流の内容等その概要についてお尋ねいたします。
昨今の次世代を取り巻く環境を考えてみますと、大変ショッキングな事象も報告されています。
子育て世代内の所得において、保護者の雇用形態が正規か非正規かによって大きく格差が広がって行っており、その格差が固定化し教育の格差を生み連鎖をしていくことが、いまや既成概念になりつつあるということ。
世界を見渡してみても、国連児童基金がまとめた報告書によると、日本の子どもの貧困率は14.9%で、先進35カ国の悪い方から9番目の27位という下位であること。
その様な状況下であっても子育て費用はデフレの影響を大きくは受けることなく、内閣府による平成21年度「インターネットによる子育て費用の調査」では、衣類や食事、生活用品費・教育費などを含む年間子育て費用総額が中学生では平均して155万円という結果が発表されており、「学校外教育費」に至っては中学3年生で
年間約36 万円となるなど、負担の大きさに改めて驚かされる思いです。このような状況では、海外留学などは一部のご家庭でしか実現できないでしょう。
また、親の負担もさることながら、これから予想される次世代が直面していくであろう大きな負担があります。 それは少子高齢化が予測通り進行し、現役世代が高齢者の社会保障費を支えていくという、現行の制度が継続するとするならば、
2000年は7人で2人の高齢者を支えていたものが2050年には一人で一人を支えるという肩車型になっていくという予測があるというものです。これはおよそ10年後に生まれてくる世代、つまり私の孫にあたるくらいの世代が、学生生活を終え就労する頃には高齢者ひとりを肩車をしなければならなくなるということです。
つまり、その世代は現在よりも一人ひとりがあらゆる手段を使ってでも力をつけ、生産性を数倍にも上げていくことができなければ、現在のような社会保障及び自身の生活水準は維持出来なくなってくるということだと言えるのではないでしょうか。
さて、現在海外留学先として決定をしているオーストラリア・ウイロビー市は大都市シドニーの北部にあり、杉並区と比較的環境が似ている住宅地と聞きます。市のホームページを拝読しますと、低木林を歩く自然散策であるブッシュウォークや先住民族アボリジニの人々の独特の文化を理解するためのプログラムも用意されているとあります。オーストラリアでは日本語教育に重点がおかれ、高校卒業時にはおよそ5人に1人が日本語の学習をしていること、また、参政権は18歳であり、義務投票制度で罰金が科せられることもあることから投票率は100%近くという国において、同じ中学生であってもおよそ3年後には投票行動をしなければならないという立場の違いを実体験を通して知るなど、海外留学を通して異文化を知りコミュニケーションを重ねることには大変大きな意義があると考えます。
それに加えて私は、区内中学生全てに留学制度の門戸が開かれていくことで「自分はオーストラリア留学を検討できる対象者である。」という意識を持つ事がきっかけで自分の日ごろの生活圏を超えて興味を持つ範囲が広がった結果活力へと繋がって行く、ということが最も大きな成果となってくるのではないかと考えます。
そこで質問を致します。
Q2
この海外留学事業の今後の見通しを含め、今後の区の国際理解教育の進むべき
方向性についてお伺い致します。
「中学生海外留学」事業は、まさしく私が昨年来、質問と提案を重ねてきた目的や方向性に合致するものと考え、改めてこの事業をはじめられる事を決意した当区に対して大きな感謝の気持ちを表したいと思います。そしてこれまで友好都市選定や交流事業に尽力をされてきた議員、そして区職員の方々のご努力にも、重ねて感謝を申し上げます。
この事業の円滑な滑り出しを願い、今後継続していくことにより成果を積み重ねて行かれることを切に願ってこの質問を終わります。
次に「保育園と学童クラブの待機児童対策について」お尋ねいたします。
当区が昨年10月に行った第44回杉並区区民意向調査における18歳未満の子どもがいる区民への子育ての質問に対して、「地域や社会に『支えられている』」という意識を持っている区民が7割を超え、また、「地域の子育て支援サービス等が利用しやすい」と感じている区民が6割近くに達するなど、当区の子育て支援に対する区民の評価は極めて高いと考えます。
そのサービスの中でも保育園は、保護者が就労をするためには欠かす事が出来ない重要なものの一つであり、当区が掲げる待機児童対策における、認可保育園の増設の方向性は、子どもの保育環境のレベルを一定以上に保つ事を第一に考え、自治体として責任を持って保育行政を担って行くという、大変心強い、安心感の持てるものであると考えています。
認可保育園の申込者数が平成22年度の1,936人から今年度の2,968人になるという、毎年増加がありながらも、昨年4月現在では待機児童数が52人という数であったということは、区が一丸となって待機児童対策に取り組んでこられた大きな成果であると考えます。今後は待機児童ゼロに向けてのより一層の努力を望むところです。
昨今の厳しい経済情勢により、子育て世代においても年収が下がる傾向は未だ改善が見られない中、経済的な理由により子育て中でありながらも共働きの就労を望むご家庭、また、男性も女性も意欲に応じてあらゆる分野で活躍する社会の実現を望む声の増加から女性の社会進出も進み、保育需要は今後も増していくことが予想されます。
そこで質問を致します。
Q3
こういった背景の下、近年急増する保育ニーズに、スピード感を持って対応する必要があったと考えますが、区はこの間の保育定員増の取り組みをどのように総括しているのか所見をお伺いいたします。
Q4
また、先月区は本年4月入所の認可保育所の申込状況を公表していますが、昨年比で約400名増の2,968名の申込者数であり、5年前からすると2倍強という伸び率となっています。認可保育所の申込者数の増加傾向は毎年続いていますが、このことを区はどの様に受け止めているのか、所見をお伺いいたします。
これまでの経緯を踏まえて、田中区長が昨年策定した総合計画・実行計画で認可保育園の計画的な増設を打ち出したことの意義は大きいと考えています。
昨年8月には戦後最大の保育制度の改革とも言われる、子ども・子育て関連3法が成立しました。引き続き、保育需要の予測を的確に行った上でその結果を踏まえ、今後は公立のみにとらわれず、これまで通り子どもの保育環境のレベルを一定以上に保つ事を第一に考えた上で、私立の認可保育所を核とした必要な保育施設の整備計画を検討していくべきと考えます。
また、区内には認可保育所とは別に長年に渡り指導実績の有る多くの私立幼稚園が存在しています。私は、こうした社会資源を活かして、私立幼稚園の認定こども園化の推進等を併せて図っていくことも重要と考えます。
もとより幼稚園と保育所いう制度で運用をしてきたのは保護者の就労形態による差異を制度に置き換え、教育と福祉という違う分野としてこれまで継続してきたという、もっぱら大人側の都合であり、子どもの健全な育ちを第一に考えてきた結果とは思えません。教育と福祉という0歳から5歳までの乳幼児期の生育環境の違いが子どもの育ちに差異を生み、その後も顕著に影響をしていくことが、もしあるとするならば、「次世代に夢と希望を拓く」という当区の本年度予算の基本的な方向性とは合致しないのではないでしょうか?
子ども一人ひとりの育ちを最も重要と考え、出来る限りの支援策を杉並区として取り組んでいく方向性を今後とも強く打ち出していってもらいたいと考えます。
Q5
区の今後の取り組みに関する所見を伺ってこの項の質問を終わります。
次に学童クラブについてお尋ねをいたします。
学童クラブは子どもたちの安心・安全な放課後の居場所として大きな役割をはたしており、保護者の期待も大きいものがあります。近年では、認可保育園申込者数の増加を見ても予測できる通り学童クラブの入会児童も増えていると聞いています。
そこで質問を致します。
Q6
近年の学童クラブの入会児童数はどのように推移しているのでしょうか。
また、それを踏まえて学童クラブの整備をどのように図ってきたのか、併せてお伺いいたします。
当区では、この間、学童クラブの需要増に対応するため、計画的な整備を進めてきました。現在の学童クラブの大多数は児童館に併設されていますが、最近では
小学校の校舎改築の機会をとらえて増設を図っている例が、多くあると伺っております。児童の移動による負担が少なくなり、また、これまでの分離型では特別支援学級の児童が一人で移動が出来ない場合には短時間であってもその為の別の支援が必要となるなど保護者の負担が大きかったことからすると望ましい方向性であると考えます。
Q7
今後の学童クラブの整備にあたり、小学校の校舎や敷地内への整備を基本としていくお考えであるのか、区のご所見をお伺いいたします。
子ども・子育て関連3法では、この学童クラブの入会対象を小学生全学年に拡大することが謳われており、従来からある乳幼児の保育需要の増による影響に加えて、今後の学童クラブ需要増の要素となってくると思われます。
Q8
これらの状況を踏まえ、地域別の需要に応じた学童クラブの一層の整備を進めていく必要があると考えますが、今後当区として、どの様に取り組んでいこうとしているのか、ご所見をお伺いいたします。
わたくしの元へは区議になる以前から、地域の学童クラブに通う保護者から入会児童数の増に伴う、施設の安全性や、立地の利便性などに対する相談が寄せられて来ました。保育園は認可と認可外という運営基準が明確で、比較的利用者からも
整備状況が判りやすいのに対して、学童クラブの整備はこれまで自治体の努力義務とされてきており、整備にあたっての設備や運営の基準もあいまいな部分がありました。
厚生労働省では、2007年に学童クラブの施設や運営について「ガイドライン」を策定しており、その中では、対象児童が原則小学校1年から3年であることや、
児童1人あたり生活スペースは1.65平方メートルとすること、定員は最大70人とすることなどが示されていますが、あくまでも、望ましいという考え方として示されているものになっています。
子ども・子育て関連3法の本格施行に向けて、こうした「ガイドライン」の一部が、今後基準として明確になり、利用者にも判りやすいものになっていくとは思いますが、共働きなどで日中保護者がいない留守家庭の小学生を預かり、健全育成を図るという目的から見て、単に居場所を確保するということではなく、地域の需要に応じた整備を進めることはもとより、子どもたちの心の拠りどころとなるような安心・安全に過ごせる生活の場として、学童クラブの運営がより良いものになっていくよう、区として今後とも十分取り組みを進めて行くよう望むところです。
「次世代に夢と希望を拓く予算」という来年度の予算編成の行動指針を具現化し、一つ一つの施策に落とし込み実現をしていく、これは予想をはるかに超える努力が必要になることでしょう。しかしながら、これに正面に据えて取り組んで行こうとする区の姿勢に大いに期待をしております。
杉並区で育まれていく次世代の力強い成長を楽しみにしながら、一議員としてもその推進に尽力していくことをお誓い申し上げ、質問を終わらせていただきます。