杉並区南西部に位置する京王井の頭線久我山駅は、一日当たり4万人を超える、多くの乗降客数がありながらも、駅前広場がありません。
小さいお子さま連れやご高齢者、障害をお持ちの方、病院に行かれる方、そして、通勤通学やお買い物など久我山駅の利用者は様々ですが、どんなに大変であっても、タクシー寄が無く、自家用車も安心して駐車できるスペースが無い為、基本的には徒歩か自転車での移動となります。
駅前広場があったらいいのに、そう願ってきました。
今年度、杉並区では「富士見ヶ丘駅前周辺まちづくり」に着手し、駅の利用者の多くの方々からご意見を伺い、どの様な将来像を描いていくか検討が進んでいます。
令和4~6年には、この2つの駅が玄関口となる東京都立高井戸公園の順次開園が予定され、今よりも一層、乗降客数が増える事が予測されています。
杉並区では平成8年に
「久我山駅前地区整備構想(案)策定調査」をしました。
報告書には、以下の項目があります。
第1章 地区の概況
久我山の概況、人口等、産業、土地・建物利用、都市計画等、交通、
公共公益施設等の状況、土地・建物所有
第2章 地区内地権者の意向把握
アンケート調査の概要、回答者の傾向
第3章 交通実態調査
調査の概要、調査結果
第4章 地区の問題点と課題
第5章 地区整備構想(案)
まちづくりの目標(テーマ)設定、まちづくりの基本コンセプト、
地区整備構想(案)、今後の課題
そして、
翌年9月には「久我山駅前地区整備総合計画(指針)」を以下の項目の とおり取りまとめました。
第1章 杉並区の将来像と関連諸計画
基本構想、実施計画、まちづくり基本方針など
第2章 久我山駅周辺地区の整備方針
駅周辺地区の現況、課題と整備の目標、地区整備構想(案)
第3章 久我山駅前地区の整備計画
前提条件の整理、駅前公共施設のあり方
特に、最後の「駅前公共施設のあり方」には、
・交通施設の方針 ・南北自由通路
・駅前の広場計画 ・周辺道路の整備方針
・神田川緑地の整備方針 ・自転車駐車場計画
が、しっかりと含まれていました。
その中にある、駅前の広場計画(89P)を抜粋します。
(3)駅前の広場計画
〇北口広場整備
・地下道の整備に伴い、現在の駅舎の再整備も必要となる。駅舎の整備に際しては、北口広場として必要な面積1,000~1,600㎡のうち、現在の駅舎となっている京王帝都所有地(面積約300㎡)を広場として整備する。
・広場には、植栽、ベンチ、情報掲示板等を設置し、うるおいのある 空間創出とともに、身近な生活拠点としての利便性を考慮した 整備を行う。
〇南口広場整備
・南口は駅から神田川を挟んで人見街道までの用地を広場として整備し、面積は約2,000㎡を確保する。
・人見街道沿いにバス・タクシー停車帯を設置し、駅前交通機能の向上をはかる。
・都市計画緑地を駅前広場として活用することから、みどり豊かな、親水性のある空間整備を行う。
・自由通路の開設に伴い、南口から人見街道への動線確保として神田川に橋を新設する。また、この橋は、南口前のたまり空間としての機能を持たせることから、余裕ある幅員(15m程度)あるいは 久我山橋を南口まで拡幅することで対応する。
・上記新橋を幅員15mとした場合、河川管理用通路の両側と橋部分で、16m×15m=240㎡を確保し、たまり空間としての滞留人口は、1.2人/㎡とすると、240㎡全体では200名の滞留空間が創出される。
図3-8 北口広場および南口広場イメージ
※「久我山駅前地区整備構想(案)策定調査」及び「久我山駅前地区整備総合計画(指針)」は、杉並区内図書館で貸し出ししていますので、より詳しくお知りになりたい方はご利用ください。
この様に、これまでの経緯を振り返ってみると、
久我山駅前広場はいったん杉並区政において位置づけがされながらも、その後立ち消えとなっている事がわかりました。
そして、大変残念ながら、現在の杉並区政においては課題として位置付けられていません。
これからは、少子高齢社会の本格的な時代を迎え、駅周辺の安全性や利便性がますます必要となって行きます。また、高度成長期に主に建てられた建物の老朽化し、建て替えが進んでいく為、いったん建て替えが進んでしまうと駅前広場の為の用地取得は大変難しくなり、駅前広場は実現していきません。
山本あけみは今のこの時期を捉え、久我山駅前広場の整備に向けて、もう一度、杉並区政において重要課題として位置付けて行ってもらいたいと、強く提言を続けています。
本展覧会をご覧いただいた方からいただいた貴重なご意見を、区政へ届けていきたいと思います。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。