「ことば遊び」 鈴木 棠三(とうぞう)1911年生まれ 講談社学術文庫 2009年
「ういろう売りのせりふ」 その6
舌もじり・早口文句の集成 P-71
ういろう売りのせりふの構成は、最初にういろう薬の歴史と本舗を紹介する。次に薬効のいろいろ、特に口がよく廻るという奇効があると述べ、その実演に入る先に、音韻の基礎知識について、ちょっと学のあるところを示して煙にまく。「あわや咽・・・唇の軽重」がそれで、これは音韻上の心得として、音の区別を教える教訓歌であるが、芝居の看客は分からぬ者が大多数だったろう。
近世の音韻額の基本となるのは『韻鏡(いんきょう)』で、これによれば漢字の36字母を、唇・舌・牙・歯・喉・半舌・半歯の7音に分けてある。これを日本語に適用して、ア・ワ・ヤの3音が喉音、サ・タ・ラ・ナが舌音、カが牙音、サが歯音、ハ・マが唇音であるというのが、右の一首の意味なのである。
「ういろう売りのせりふ」 その6
舌もじり・早口文句の集成 P-71
ういろう売りのせりふの構成は、最初にういろう薬の歴史と本舗を紹介する。次に薬効のいろいろ、特に口がよく廻るという奇効があると述べ、その実演に入る先に、音韻の基礎知識について、ちょっと学のあるところを示して煙にまく。「あわや咽・・・唇の軽重」がそれで、これは音韻上の心得として、音の区別を教える教訓歌であるが、芝居の看客は分からぬ者が大多数だったろう。
近世の音韻額の基本となるのは『韻鏡(いんきょう)』で、これによれば漢字の36字母を、唇・舌・牙・歯・喉・半舌・半歯の7音に分けてある。これを日本語に適用して、ア・ワ・ヤの3音が喉音、サ・タ・ラ・ナが舌音、カが牙音、サが歯音、ハ・マが唇音であるというのが、右の一首の意味なのである。