説き語り「源氏物語」 村山 リウ その14 講談社文庫 1986年(昭和61年)
浮舟―――三角関係にゆらぐ女心
薫の知性にひかれ、匂宮の情熱にも負けてしまう哀しさ。二人の間を揺れ動いた女性が、恋を捨て世を捨て始めて強い女に生れ変る。
この時代、目に見える形の美を表現する言葉に「をかし」というのがあります。見るからに美しい女性を、こういいます。
浮舟は、美しい女性でした。「をかし」という形容にふさわしい女性です。けれども、残念ながら、内容がちょっともともなわなかった。外見の美しさにみあうだけの知性や理性が、ちょっと欠けていたんです。それが、この女性の生涯を不幸にしてしまった、そういってよいでしょう。
浮舟―――三角関係にゆらぐ女心
薫の知性にひかれ、匂宮の情熱にも負けてしまう哀しさ。二人の間を揺れ動いた女性が、恋を捨て世を捨て始めて強い女に生れ変る。
この時代、目に見える形の美を表現する言葉に「をかし」というのがあります。見るからに美しい女性を、こういいます。
浮舟は、美しい女性でした。「をかし」という形容にふさわしい女性です。けれども、残念ながら、内容がちょっともともなわなかった。外見の美しさにみあうだけの知性や理性が、ちょっと欠けていたんです。それが、この女性の生涯を不幸にしてしまった、そういってよいでしょう。