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無名の人生」 その6 渡辺 京二

2018年02月08日 00時10分10秒 | 生活信条
 「無名の人生」 その6 渡辺 京二  文春新書 2014年

 序 人間、死ぬからおもしろい その6 P-14

 芭蕉は『野ざらし紀行』ななかで「汝が性(さが)のつたなきをなけ」ということを言いました。旅の途次、打ち捨てられた赤子が泣き叫んでいた。だが、芭蕉はそれを救ってやろうとしない。

 赤ん坊よ、お前さんは自分の不運な境遇に泣くしかないのだよ。だけど、不運はお前さんだけじゃない、世間のみんなもそう、私だってそうなのだよ、じつは。「汝が性のつたなさをなけ」とはこういう意味でしょう。
 なんと非情な突き放し方でしょうか。ここに見られるのは、他人を押しのけても生きなければならない人間の非情さです。

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