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「外郎」 戸板康二 

2014年05月11日 00時05分35秒 | 伝統文化
 「外郎」    「歌舞伎十八番」所載  戸板康二 著

 「外郎(ういろう)」は、正しくは「外郎売」で、「勧進帳」の前型、
「助六」の初演等に引きつづいて演じられたものである。
享保三年正月、森田座が初演。
二代目団十郎が「若緑勢曽我(わかみどり・いきおいそが)」に畑六郎左衛門という役名で
外郎売に扮して登場、滝のような弁舌で、いい立てをしたという記録が、
その長いセリフとともに「歌舞伎年代記」に載っている。

 鎌倉建長寺を開山した大覚禅師について日本へ渡った外郎という人物が、小田原に住んで売り弘めた
「透頂香」を、俗に外郎といい、婦人病に特効がある薬だったというのだが、
この芝居はその外郎を宣伝して歩く行商人の身振りをたくみに舞台にとり入れたおもしろさと、
団十郎独特の雄弁術が評判になって、その後も演じられている。

 中略

 この演目は二代目団十郎の当たり芸として市川家に記録された出し物というに過ぎず、
役柄も荒事ではなく、演技の骨子は、よどみなくのべるセリフにあった。
おのずから、ほかの「十八番」とは、区別されるべきものであろう。

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