標高330mのモノローグ

富士山の10分の1、東京23区最高峰の10倍の山間に暮らして20年。地域の自然や思いを綴ります。

音楽サスペンス紀行を見て(音楽家の知られざる活動)

2017-07-31 19:43:15 | 日記
朝日新聞テレビ番組表より

一昨日、NHK BSプレミアムで表題のドキュメンタリーを視聴した。玉木宏がレポーターとなってヨーロッパ各地を巡り、歴史の水面下の知られざる活動を解くサスペンス紀行であった。

日独伊三国同盟を締結した時の首相であった近衛文麿の弟、近衛秀麿のもう一つの顔としての足跡をたどる話だ。秀麿はヨーローッパ・ドイツを拠点に日本人指揮者として活躍した。その「表の顔」からは想像もできない活動を追った。それはドイツの占領化のポーランドやフランス等から亡命する人たちの手助けをしたという。

70年経って関係国を訪れ、当時に関する話を聞きながら、歴史の水面下を明らかにしていく課程は面白かった。各演奏会に参加した演奏者の直筆のサイン名簿があった。それを手掛かりとして、当時を知る関係者を訪ね、貴重な証言を引き出していた。ベルリンで指揮をする秀麿の映像を見る限り、音楽を愛していたのは間違いない。それは単に音楽活動を隠れ蓑として水面下での活動をしたということではない。近衛秀麿の場合は音楽活動も真の活動であって、その活動と並行して、人道的な活動も貫いていたようだ。

音楽活動を行いながら自らの生命の危険を冒してまで亡命の手助けした。そこには音楽を愛する人間の敵味方を超えた人間愛が浮き出されていた。

番組では兄のことにはほとんど触れなかった。その歴史的解釈は別として、兄にも秀麿と同じような信念があったのかもしれない。兄は政治家として弟は音楽家として生きるジャンルは異なっても、それぞれ己の信念に従って生きたのだろう。強い意志が感じられる。

果たして自分には秀麿のように強い意志と勇気があるだろうか。
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