のんのん太陽の下で

初めての一人暮らしが「住民がいるんだ・・・」と思ったラスベガス。
初めての会社勤めが「夢を売る」ショービジネス。

大事な一回目

2007-07-12 | KA
 今日はストレスフルな一日になると分かっていたからでしょうか、早く目が覚めました。目が覚めただけでなく、そこからもう一度寝ることはできそうにないので、起きることに。そして出勤途中で買おうと思っていた花束を先に買いに行くことにしました。

 今日の一番のストレスは、一回目のショーで代役が影となってついてくること。これは彼女にとって必要なことだとは充分にわかっていますが、私の緊張はショーが始まるとすぐに始まりますので、そこに人がついてくること、自分がいつものリズムでショーに集中したいところに、待つ位置やキューの合図、小道具のことなど説明しなくてはいけないのは、少し厄介なことでした。
 でもこれをいつまでもストレスと思っていると、当りもきつくなることでしょうし、それは自分の心までも刺々しくすることでしょうし、もっとも自分が幸せを感じない状態で舞台には立ちたくなかったので、気持ちを改めながら舞台に立ちました。
 なんとなく習慣にしていることが全くできず、リズムがいつも通りではありませんでしたが、偶然か、もしくは神様に感謝すべきことなのか、何か助けらたと感じることが何度もあり、無事一回目の舞台を終えることができました。

 そして今日の本番は終了。二回目は代役のデビューの回でした。

 今度は私が彼女の影になってついていく番。彼女が何か訊きたい時に遠すぎないぐらいの位置を取り、彼女のデビューを見守りました。彼女はどうしてこんなに自信と余裕があるのでしょう。いつものことながら私にも分けてもらいたいと何度も思いました。
 そしてソロの場面。私は客席には行けないので、見送った花道の横から観ていました。

 彼女のコーチとして全く責任を果たせなかった…。
 どんなに彼女が自信満々でも、どんなに彼女が言うことを聞かなくても、私はもっと強く出るべきだったのかもしれない。
 アーティスティックディレクターがショーに出すことを決めた時に、私はもっと強く出るべきだったかもしれない。
 私は諦めてしまって、今日の二回目のお客様に対して、コーチとして最後に出来た責任でさえしなかったと思いました。

 誰にでもある大事な1回目、きれいに気持ちよく過ごせるように、それから少しずつ難しくしていけばいいと思っていた私の計画は、彼女の自信にかき消されました。結果として、ガクガクが見えるほどの緊張で彼女は舞台に立っていました。

 トップのコーチに言われました。「出すことを決めたのはあなたではないのだから、あなたは責任を感じなくていい。」

 彼女は、できなかった箇所について、いろいろな理由を話してくれました。私はうなずきながら、「それ、言ったよね。それ言ったよね。それも言ったよね。でもあなたは聞かなかったよね。」と思うしかありませんでした。そして、彼女はものすごく緊張しながらも、憧れの役をやり遂げたことで大満足のようでした。

 私の大切な舞台が、ほぼ満員のお客様のいる本番の一回が、まるで場慣れするためだけのように使われてしまい、とても淋しくなりました。そして仲間の「彼女、良かったじゃない!」という言葉が、心からの言葉としたならば、いつも私はどういう仕事をしているのだろうと自信をなくします。

 明日は契約更新決断の最終日。