陽だまりのねごと

♪~思いつきひらめき直感~ただのねこのねごとでございますにゃごにゃご~♪

強運の持ち主  瀬尾 まいこ著

2008-09-15 04:56:50 | 
強運の持ち主
瀬尾 まいこ
文芸春秋

このアイテムの詳細を見る


スパーマーケットの一角でやっている占い師の話。
読んでいると霊感も何もない私でも占い師になれそうな気がしてくる。
主人公がなんだか私に似ている。
占い師になったきっかけはアルバイト情報誌でみつけた
「未経験者大歓迎 時給1200円」
さらに
「おしゃべり好きなあなたなら簡単!
 一人でできる仕事だから、わずらわしい人間関係なし」

上司にうんざりして半年で仕事をやめている。
飽き症で一つのことにひっかっかるとそれ以上前に進めず、すぐに切ってしまう。
習い事もなにも長続きしない。

まるで私ことみたい。

時給1200円で未経験者歓迎とはちょっ考えるとかなり怪しい仕事ではある。
一人暮らし貯金なしで背に腹はかえられぬ思いで求人占い研究所のドアを叩く。

そこの経営者の占い師のモットーが
「当たるも八卦当たらぬも八卦」
「結局適当なことを言って、来た人の背中を押してあげるのが仕事」
妙な雰囲気もったおばさんがこういういかさまっぽいことを言うのが
すっかり気にいってこの世界の人になった。

題名の『強運の持ち主』とは姓名判断、四柱推命なんでも強運と出た
お客さんの男性を強引にアタックして得た夫のこと。
この夫のキャラクターは
まるで強運やら迫力やら頑張りやらとは縁遠いどこかだらけたタイプ。
市役所勤めで定時に帰宅できるので夕食を担当してくれている。
通常では考えられない材料の取り合わせの珍妙な料理ばかりが並ぶのが玉にキズ。

占いくるお客も珍妙な客を取り揃え、
ひとりが好きで始めた占いに押しかけ助手がやってきたり
助手も悪くないかなとまったく自分と性格が反対の人物を雇ってみたりと
劇的な要素がないわりににぎにぎしい構成になっている。

どこにもありそうな普通の場所に
普通に生活している人々ばかりが登場して
ふわりふわり力まずに生きている感じが伝わってくる。
人が自然に兼ね備えているやさしみも合わせて伝わってくる感じがいい。

主人公の性格に似ている私が占い師に向いていると短絡には思わないけれど
こういうワタシで居ていいよと背中を押されたような。
適当に自分に都合の良い解釈で本を閉じた。めでたし。めでたし。