子供の頃、数珠玉の実が灰色や黒っぽくつやつやしたら、
いっぱいいっぱいポケットに詰めて持ち帰えった。
中の芯を上手く爪楊枝で突っついて取り出し、糸に通してネックレスを作った。
自分にもお人形にもかけた。
余ったら母にお手玉を作ってもらった。
母がいつも
「本当は小豆がいいんだけど」
そう言った。
ウチにお金がないと言われなくても知る。
お人形の服だって
母が妹とお揃いで縫ってくれる普段着ワンピースのあまり布。お人形までお揃い服だった。
お店のキラキラビーズ付き、羽根のように剥けるドレスはお金持ちの子の物だと思っていた。
高校の時、幼稚園の先生になると言い出した私に
父は黙って狭いボロ社宅に不似合いなぴかぴかピアノを買ってくれた。
幼稚園先生になるのは家を出て学生生活を送りたいだけの口実と、言えなくなってしまった。
念願の都会でのお気楽仕送り暮らしの最中、父は脳腫瘍で倒れた。
妹は大学進学を断念した。
私は卒業させて貰い、当初の約束通り、故郷に帰って就職。
保育園に家から通った。
父は四度の手術。
手術の度に悪くなり最後は盲目だった。
入院に付き添う母が倒れそうで、何度か私が替わった。
父は嫁にもまだ行かぬ娘に
お下の世話をされるのが苦痛のようだった。
母と同じく早々寡婦の道をぼっちらぼっちら
そちらに向かっています。
あの時、介護の道をと思ったのはお父ちゃんの看病を上手いねと誉めてもらった記憶?
お父ちゃんの歳を超えてしまったよ。
本日、三十三回忌の法要。
三回忌まで泣いていた母はこれが法事は最後だと言って張り切っていた。
とは言え、記憶に難ありの母。興奮と不安と大混乱。
周りの気づかいは相当なものだったけど、終わって安堵はしただろうと思いたい。

いっぱいいっぱいポケットに詰めて持ち帰えった。
中の芯を上手く爪楊枝で突っついて取り出し、糸に通してネックレスを作った。
自分にもお人形にもかけた。
余ったら母にお手玉を作ってもらった。
母がいつも
「本当は小豆がいいんだけど」
そう言った。
ウチにお金がないと言われなくても知る。
お人形の服だって
母が妹とお揃いで縫ってくれる普段着ワンピースのあまり布。お人形までお揃い服だった。
お店のキラキラビーズ付き、羽根のように剥けるドレスはお金持ちの子の物だと思っていた。
高校の時、幼稚園の先生になると言い出した私に
父は黙って狭いボロ社宅に不似合いなぴかぴかピアノを買ってくれた。
幼稚園先生になるのは家を出て学生生活を送りたいだけの口実と、言えなくなってしまった。
念願の都会でのお気楽仕送り暮らしの最中、父は脳腫瘍で倒れた。
妹は大学進学を断念した。
私は卒業させて貰い、当初の約束通り、故郷に帰って就職。
保育園に家から通った。
父は四度の手術。
手術の度に悪くなり最後は盲目だった。
入院に付き添う母が倒れそうで、何度か私が替わった。
父は嫁にもまだ行かぬ娘に
お下の世話をされるのが苦痛のようだった。
母と同じく早々寡婦の道をぼっちらぼっちら
そちらに向かっています。
あの時、介護の道をと思ったのはお父ちゃんの看病を上手いねと誉めてもらった記憶?
お父ちゃんの歳を超えてしまったよ。
本日、三十三回忌の法要。
三回忌まで泣いていた母はこれが法事は最後だと言って張り切っていた。
とは言え、記憶に難ありの母。興奮と不安と大混乱。
周りの気づかいは相当なものだったけど、終わって安堵はしただろうと思いたい。

