夫婦げんか。
出来損ないのドラマのようである。
取材で疲れた私は、外食したい気持ちを抑えて
金目鯛の煮付け、湯豆腐に塩ポン酢、ブロッコリーとトマトのサラダ
土鍋でご飯などを、どうにか、こしらえた。
台所に立って30分以内で出来るものばかりだ。
8時過ぎてようやく食卓につき、
原稿を書いて、
再び、深夜1時にあわせて、夫のものをこしらえ、
(揚げ物、ソティや炒め物、焼き魚などは娘の塾、
主人用、と3度と同じものをこしらえる)
さてと、お風呂に入ろうと思ったころに、
ぴろぴろ~と聞き慣れた着信音が。
1時5分前。おそらく主人以外にはない。
私の予想は見事にあたった
「JRは今日も事故みたい。電車は30分以上遅れている。
先にお休みくださいませ」
「ごはんとおかずは食卓に出してあるわ。
わざわざ連絡をくれてありがとう」。
そうやって、眠い目をこすりながら待つことなしに、眠りについた。
そして朝、起きると食卓のテーブルは、昨日のまま。
ラップもかけず、冷蔵庫にも入れず、流し台にも置かず、
見事にそのまんま。
主人は、朝寝と決め込んでいる。
信じられない。
食事の上には塵が幾層かつもり
煮魚は新鮮さを失い、
サラダと豆腐は水分が失われ、二日酔いの誰かさんみたいに、へろへろ。
生気を全くなくしていた。
食卓の上の空気は、し~ん、
窓から差し込む、爽やかな朝の光とはあまりに対照的である。
「起きて!理由がわからないわ」
「だから、なぜかって聴いているの!」
「つくる人の心はどこにあるの?」
「…」
「食べることを大事にしていない!」
と、寝ぼけたアタマにはわかりにくい、全く響かない説教をそれから数分続けた。
やっと口を開いた夫は
「ごめん。それより、お金下ろしてきてくれた?」
カチン!それより、って何!何がそれよりよ!
お金!!
冗談じゃない。
朝の夫婦けんか。
けんかを、買ったほうも、つまらない一日のスタートだ。
けんかを、売るほうは、一日中、お腹や胸のなかに大きな重たい「鉛」を入れてしまったよう
冴えない一日。
さて、今晩の夕食は、豚肉のソティ、バターとしょうゆラムソース仕立て
ローズマリーのポテトサラダ、トマトサラダ、ポタージュスープ
(今晩もこれから、主人の豚肉のソティをこしらえるつもり…)