問わず語りの...

流れに任せて

映画『シン・仮面ライダー』

2023-03-20 04:19:47 | 怪獣、特撮

 

 

 

微妙なネタバレを含む。お気をつけあれ。

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダーと何時、何処で、どのようなかたちで、どれほど深く触れてきたかによって、感じ方はだいぶ違う作品なのではないかなと、思われます。

 

 

 

私のように、小学校低学年の時に出会い、石ノ森章太郎先生の原作マンガを、何度何度も、何度も何度も何度も、繰り返し繰り返し、繰り返し繰り返し繰り返し、読み返して読み返して、読み返し続けた者にとっては、

 

 

号泣モノです。

 

 

もうね、ラストシーンですよ。あのラストシーンはある意味反則だ。原作を知るものにとって、あれは泣かずにはいられません。

 

 

あんなに号泣したのは久しぶりだ。

 

 

でも単純に原作をなぞっているわけではなく、ショッカーの設定も単純に世界征服をたくらむ悪の秘密結社なのではない。

 

どのような組織かというのは、実際に観ていただくとして、ここで描かれているのは「絶望」と、その絶望からいかにして抜け出していくべきなのかという、ある種の問いかけです。

 

 

昔、角川映画の宣伝文句にありましたよね?

 

【強くなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格はない】

 

 

ここで描かれているのはまさにそれだ。

 

 

仮面ライダーは異形の存在。故に還るところはない。常に「孤独」。

 

 

それでも、仮面ライダーは、本郷猛は人を助けたいと思う。

 

 

本当の「強さ」って何?

 

人間にとっての幸せとは?

 

 

そして、最後の最後に描かれるのは

 

 

「命」の、「魂」の

 

 

【継承】

 

 

 

 

 

 

 

本郷猛は、戦うことに苦悩し、できれば殺さずに済ませたいとする行動をとっていく。

 

 

単純に「悪」を倒せば良いという話にはなっていないんです。

 

 

もはや勧善懲悪にリアリティはないし、今更仮面ライダーでそれをやっても、

 

あまり意味はない。

 

 

荒み切った相手の心をいかに昇華させるか。そのために、ライダーは

 

 

まさしく「命がけ」の戦いに挑むわけですが、

 

 

これ以上は語りません。どうぞ作品をご自身で、御覧になって頂きたい。

 

 

 

 

石ノ森作品へのリスペクトに溢れていましたね。これも私のような石ノ森ヒーローで育った者にはたまらない。

 

 

石ノ森先生と東映によって生み出されたヒーローたち。『ロボット刑事』や『人造人間キカイダー』そして『イナズマン』へのリスペクト。

 

 

楽しかったですねえ。

 

 

出演している役者さんも面白い。えっ?あの方があんな役を?みたいなのが随所に見受けられ、これに気づいた時の楽しさね。

 

あなたは何人気づけるかな?(笑)

 

 

例の「政府の偉い人」も出てきます。演じているのはもちろんあの方。

 

で、この政府の方々の名前がねえ、また憎いんです。庵野さんやってくれましたよ。

 

 

これもまた、私のような初期の仮面ライダーに親しんだものにとっては、たまらないプレゼントでした。

 

 

私と同世代のライダー・ファンなら、仰け反って喜ぶこと請け合いです。たまりませんよ(笑)

 

 

 

映画の導入部分はちょっと急ぎすぎたかな?という感じは否めないし、本郷猛のキャラが掴みにくい。CGも必ずしも良い出来とは言えず、戦闘シーンも悪くはないが、今一つなところもあり、完全満足というわけにはいかなかったですが、

 

 

「石ノ森イズム」という点に関しては、ほぼ完璧だと言って良い。

 

 

以前『BLACK SUN』について、石ノ森イズムはある、みたいなことを書きましたが、あれは間違いです。BLACK SUNは石ノ森イズムの表層をなぞったに過ぎない。

 

 

BLACK SUNよ、よく観ろ!

 

 

これこそが「石ノ森イズム」現代的解釈であり

 

 

これこそが

 

 

現代における仮面ライダーの、真にあるべきかたちの一つ。だから

 

 

「シン・仮面ライダー」なのだ!

 

 

 

 

 

この作品は、いやこの作品だけじゃないな、『シン・ウルトラマン』もそうだし、『シン・ゴジラ』もそう。

 

 

庵野さん自身が子供の頃、胸ときめかせて観た作品たちへの、大いなる感謝、多大なるリスペクトが込められているんだと思う。

 

 

だからね、子供の頃の庵野さんが触れ続けた作品群を、庵野さんとほぼ同じように触れ続けた世代でなければ

 

 

なかなか、伝わりづらいかな、とは思います。

 

 

どうかな?若い人たちはどう思うのかな?

 

 

私としては、及第点は獲れたな、という感じでした。

 

 

 

たぶん、評価は分かれますね。

 

 

 

あなたにとってはどうかな?確かめる手はただ一つ。

 

 

ご自身の目で、作品を観ることです。

 

 

さあ、この作品を気になった方々、

 

 

観に行きましょう。

 

 

観るしかないよ。

 

 

 

 

 

 

PG-12作品です。12歳以下のお子さんが鑑賞する場合、助言、指導が必要となります。

 

 

 

結構グロなシーンもありますので、お気をつけあれ。

コメント (2)
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