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今回、断熱改修工事が始まった現場は、東京都町田市の私鉄沿線に開発された分譲住宅地にあります。
この計画は、築50年の住宅にあと30年は安心して住みたいというお客さんの要望から始まりました。
あと30年経つと、2050年頃です。2050年までお客さんが安心して住むためには、本格的な断熱改修を行う必要があると考えました。
しかし、どうすれば新築以上の性能を持つ断熱改修ができるのか、実現の道筋がなかなか立てられませんでした。そんな中、今回施工を担当していただいているテクトハウジングさんのS棟梁と一緒に、断熱改修を含む性能向上リフォームが多く行われている北海道に視察に行こうという話になりました。
北海道の視察では現地の建築家、山本亜耕さんに実際に断熱改修の現場を見せていただいたり、様々なノウハウを教えていただいたことが推進力となり、今回の着工につながりました。他にもテクトハウジングさんと協働で、断熱リフォームのワークショップを開催したりして、今回の現場に向けて着実に準備を進めてきました。
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いざ着工ということで、現場を確認し打合せをしてきました。まずは柱建てのバルコニーやテラスを撤去し、基礎まわりの地面を掘り始めます。基礎に防蟻EPS(シロアリ対策としてホウ酸をしみ込ませた発泡スチロールの断熱材)を張り、基礎断熱とするためです。追加のシロアリ対策として、防蟻EPS断熱材の上端にガルバリウム鋼板を曲げて作った蟻返しを設けます。
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蟻返しは板金屋さんに加工、設置してもらいますが、その形状について板金屋さんと現場打ち合わせ。
「この形状にするためには、~~しようと考えている」と板金屋さん、
「それだと大変で精度も出にくいので、こうしたらどうでしょうか?、でも~~なってしまうのは何とかしたい」と高本
「そしたら~~したらどうですか?」
などなどS棟梁を交え3者で、最終的に欲しいものと、それをどう実現するかについて打合せ。
最終的に既存の基礎の精度を吸収しながら、施工もうまくいき、欲しい機能も達成できる納め方に着地することができました。
改修工事では、どれだけ事前に想定して図面を描いても、工場生産のものを現場で組み立てるというわけにはいきません。現場の状況に合わせながら、最大限機能を発揮するためには、現場で作業する職人さんとのキャッチボールが欠かせないのです。素晴らしく力量のある職人さんと、その方々を束ねるS棟梁に助けてもらいながら、お客様が安心して暮らせるために、この断熱改修工事を進めていきたいと思います。