asayanのブログ

趣味を中心に、感じたことを書いていこうと思います。

散歩エッセイ

2019-04-24 11:53:06 | 日記
先日放送の川本三郎さんが、荷風著『日和下駄』を称して「散歩エッセイ」と仰っていた。

まさしくその通り。

『日和下駄』の下に小さく 「一名 東京散策記」と記してある。

荷風さんが下駄に蝙蝠傘を手にし、父の形見の(夏)袴を履いた出で立ちで、街中を闊歩している様子が想像できる。

街を細かく歩いており、裏道・細道・横道、路地、裏町・横町を丹念に観測している。

河、寺院神社、樹、崖、坂などを江戸地図を持参して、江戸時代この周囲がどんな状況だったか思いを馳せ、現在の様子と比較しながら、昔を懐かしむ。

日和下駄で、てくてくぶらぶら歩きながら、楽しんでいる様子が目に浮かぶ。

今で言うなら、古地図を片手に街歩き。

『ブラタモリ』を想起させる。

現在、まさに街歩きブームだと聞いているが、既にそれを実践している。

街歩きの先駆者だ。

貴重な記述が随所に見られる。

街歩きをして、細かく観察し、しっかりと考察している。

時には感情が激して、「世の中はどうでも勝手に棕櫚箒(しゅろぼうき)」つまり「世の中はどうでも勝手にしろ」と言って、「議論はよそう。」とも書いている。

またはこんな記述もある。

『崖』の項目で、森鴎外さんの観潮楼二階からの眺望と聞こえてくる鐘の音、また6畳と8畳二間で花瓶の他は何もない、机以外には本も硯も筆も何も見えないなど、鴎外さんの部屋の一部が描写されていてとても興味深かった。

『日和下駄』は小品エッセイ、気軽に読める佳品なり。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 遂に、ぽっちり! | トップ | 『大窪だより』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記」カテゴリの最新記事