アジアはでっかい子宮だと思う。

~牧野佳奈子の人生日記~

ゲストハウス事情 in ロシア

2013-09-30 | ロシアの旅

たとえば地球の歩き方を見ると、ロシアの安宿(ゲストハウス)はほどんと載っていない。

ゲストハウスというのは、ドミトリー(相部屋)がある1000~3000円の宿のこと。

ウラジオストクで出会ったイギリス人のベテランバックパッカーに聞いても、ロシアのゲストハウスは決して多くないという。Agodaなどの安宿情報サイトをみても、ほとんど出てこない。

こりゃ滞在費が高くなるなぁ~と思いながら英語で検索してみたら、一応、あった。
ウラジオストクで1件(ここは地球の歩き方にも載っている)、ハバロフスクで1件。

それらの実情をリポートします。

こちらがウラジオストクにあるゲストハウス「See you Hostel」。

パッと見、イイ感じでしょ?

ここの特徴は、まず宿の場所を探すのに一苦労すること。
宿のホームページに書かれてある通り、空港からバスに乗ってウラジオストク駅で降り、そこから次のバス停を探すのに一汗かく。(バス停があるはずのところにそれらしきものはなく、指示された番号のバスを追いかけて次のバス停まで歩く感じ)
そして無事バスに乗ったら、運転手に降りたい場所を告げて待つこと約15分。2つの大きなオレンジ色のマンションの前に降ろされる。その向かって左側のマンションなのだけれど、まず建物の裏側に回って、「garden」と呼んでいいのかどうか怪しい単に大き目の花壇を横目に真っすぐ進む。オレンジ色のマンション(手前)と白壁のマンション(奥)がつながっていて、白い方の一番奥の玄関が「See you Hostel」の第一玄関。…なのだけれど、これがまた分かりにくい。
「え…? これが玄関?」 というくらい粗雑な…といったらいいのだろうか。
あまりにオロオロしてしまって、写真撮るのも忘れてしまったよ。。。

つまりロシアのゲストハウスは、ハバロフスクもそうなのだけれど、普通のマンションの一室で運営しているのがフツウらしい。
台湾でもそのようなマンション型ゲストハウスに泊まったことがあるけれど、そこのオーナーさん(日本人)は「本とはダメなんですけどね…」と言っていた。 

それで、指示通り(ロシア式の)エレベーターに乗って4階に行き、番号通りの部屋をピンポーンする。
と、中からスタッフらしき人が現れて、チェックインも何もないままベッドに案内してくれる。
「…え? いいの?」と内心思いながら、とりあえず荷物を置き、トイレとシャワールームを教えてもらった。

(ロシア人サイズだからシャワーが高い…)

 

(簡素なトイレ。なぜか給湯器がこちらに付いている)

で、これまたハバロフスクでも同じだったのだけれど、宿に着いた時のオリエンテーションというか、受け付け&ホステル内の説明が驚くほど簡素でアンニュイ。
わたしはアジアしか知らないけれど、大抵どこの国でも、到着したらスタッフがパパパッとひととおりの流れで建物内を説明してくれる。少なくとも、「ではこちらに記名してください」から始まるのがフツウだと思っていた。

(キッチンと冷蔵庫は自由に使用可。ティーパックは無料。電子レンジは現在故障中)

(ここで知り合ったS氏がご飯を炊いてくれた。スーパーの総菜を載せて安飯できあがり♪)

ちなみにゲストハウスによって、ベッドの造りも様々。
海外のドミトリーはほとんどが2段ベッドで、日本のドミトリーには畳に布団式のところもある。

「See you Hostel」の2段ベッドは、驚くほど幅が狭くてビックリする。
下の段なら問題ないけれど、上の段だと寝返りするのが怖いくらい。
これはインド並みだなぁ~と面白がりつつ、「やっぱり怖いから変えて」とお願いして下の段にしてもらった。

そんな「See you Hostel」のウェブサイトはこちら。http://www.seeyouhostel.com/ 

すぐ近くに大きなスーパーマーケットがあるので、スーパー好きの人にはもってこいです。 

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次にハバロフスク。

ここも、高層マンションの一角にあるゲストハウス「Corona Hostel」。
http://www.hostelworld.com/hosteldetails.php/Corona-Hostel/Khabarovsk/72708?sc_sau=sfab&sc_pos=1 

やはりインターネットのアクセス情報を信用しすぎてはイケナイ。

荷物の量と到着時間によるけれど、駅からは結構遠いのでタクシーに乗った方が無難かも。
ツインタワーのようなオレンジ色の高層ビルの、向かって右側のマンション1階。わたしは夜中の零時頃に駅に着いたので、タクシーの運転手にアドレスを渡して向かったものの玄関がなかなか見つからず、そこら辺の人に聞いて回ってようやく発見した。
(でもこちらは外玄関がないので、一度分かってしまえばとっても出入りしやすい) 

ここがロビー兼、いこいの広間。

ゲストハウスに定義があるとすれば、「見知らぬ宿泊者同士が一緒にくつろげるリビングのような場所があること」というのも、ひとつの大事な要素だと思う。

慣れないうちはこうしたスペースに行くこと自体おっかないのだけれど、 なんとなくふらりと行ってみて、お茶を飲むなりテレビを見るなりパソコンをするなりしていると、勝手に話しかけてきてくれる人が必ずといっていいほど現れる。
もしそういう人に出会えなければ、自分一人でくつろいで立ち去ればいいだけのこと。
でももし出会えたら、一緒に街歩きをしたり、安いレストランを教えてもらったり、タクシーをシェアしたりとかなりお得な展開になる可能性が高い。もちろん、友達ができる、というのが一番うれしい展開なわけだけれど。

(部屋はこんな感じ。簡素な2段ベッドだけど寝心地は花マル)

(シャワー部屋。ゲストハウスは長期滞在者が多いので、洗濯機はあった方がいいみたい。)

(共同トイレは、もともときれいだと、汚した時に自分できれいにしなきゃいけない気分になる。もちろんそれが当然のマナーなのだけれど。)

 

そんなこんなで、ロシアでもゲストハウスは健在&快適ということが分かった。

これは嬉しい限り。

さらに、ロシア人は一見無愛想に見えるけれど、そんなことは決してないということも判明。
特にハバロフスクのCorona Hostelで出会ったロシアの人達は、一端話をすればとてもフレンドリーな人達が多かった。こういう発見や出会いがあるから、やっぱりゲストハウスはやめられないのです。

…と、そういえば大事な値段を記すの忘れてました。

See you Hostelが500ルーブル(約1500円)、Corona Hostelが600ルーブル(約1800円)。 
いずれも2013年10月現在です。

 

(マーケットで買ったロシアのサボテンを窓辺に置いて…)

 

それではまたぁ~

 


愛しのロシア

2013-09-27 | ロシアの旅

ロシアがステキすぎる。

ロシアが大好きになってしまった。どうしよう

10人中9.5人は英語を話してくれないけれど、だからといって外国人を嫌がるわけではなく無理矢理ロシア語で教えてくれようとする。それでなんとなく分かってしまうんだから、それで十分なんだと気づく。

今回の旅は極東ロシア。ウラジオストク~ハバロフスク。

そしてここは、人間観察天国だ。

髪の黒い人、黄色い人、赤い人、白い人、恐ろしくストレートの人、激しくカールしている人。体系も小枝のような人からお相撲さんのような人(女性ばっかり!)まで。顔だって、人形のように美しい人の隣にとんでもないおばちゃんが歩いていたりする。バス停でいちゃつくカップルも堂々とキスして人目をはばからなければ、ベンチで血を流している無愛想なおじさんや、その近くで安い弁当にかぶりついている中年カップルがいたりもする。そうそう、街の中には至るところにベンチがあって、少し疲れたらどこででも休めるようになっているのも嬉しい。水兵さんや駅員さん、警察官などカッコいい制服姿の若い男が街のあちこちを歩いているのも目の保養になる。

一昨日はこんなことがあった。

てくてく歩いてビーチに出たら、ベンチに座っていた男の人に呼び止められた。「フォト!」とかなんとか言われて、そっちを向いたら手招きしている。行ってみたら、丸顔の笑顔が愛らしい40代くらいのウズベキスタン人だった。アリさんという。

言葉が通じないなりにもなんとか会話したくて、鞄からロシア語の指差し手帳を取り出した。買ったばかりでまだ一度も開けてなかったことを少々悔やみつつ、何を話そうか考えながらページをめくった。
別に特別話したいことはない。とりあえず「私は独身です」というマスを指差して、しまったと思った。道ばたで初めて会った人に、なんで独身をアプローチするのか意味不明すぎる。

けれどなんだかんだ指差し、笑い合っているうちに仲良くなった。それは彼がたまに私の顔をペシッと叩く行為に表れていた。こっちは内心びっくりするけれど、ウズベキスタンでは「このやろう!」と冗談でからかうときに相手の顔を叩くらしい。まるで大阪みたいだなと思った。大阪人もさすがに初対面で頭をどついたりはしないけれど。

とにかく彼はそうやって笑顔で私をからかいながら、「君は目がきれいだ」と言った。「クラシーバ」という単語は、バイカルに行った時ルダが何度も言っていたから分かった。

写真を撮り合って、10月17日にまた会おうと約束した。電話をくれと彼は言ったけれど、それは無理でしょう、と私は心の中でつぶやいた。指さし手帳もジェスチャーも表情もなしに、用件のみ伝えられる自信はない。

 

遊園地の前の通りを、土産物の屋台を覗きながらぶらぶら歩いた。途中で空腹に堪えかねて肉まんを買う。
日本の中華マンの3倍の大きさに、キャベツと肉を炒めた総菜がつまっていた。
あまりの旨さに感動の写真をパチリ。

 

そろそろウラジオストク日本センターに行こうと腰を上げ、市役所の前を通ってポクロフスキー聖堂に向かった。大きな交差点を渡る地下道を出たところで、中東系の母子が物乞いをしていた。こどもは3人も4人もいる。ちょっと写真を1枚撮らせてもらっちゃおうかな、と思ってUターンしたとき、恰幅のいいおばさんと出合い頭に対面した。そして「ちょっと、あなた、写真撮ってくれない?」と、(多分)おばさんは言った。

ポクロフスキー聖堂の前に行って、写真セッションが始まった。
おばさんは写真にずいぶんこだわりがあるようで、足も全部写るように、と指示を出し、私はそれに忠実に従った。「あなたの写真も撮ってあげるわよ」とおばさんが言うのでカメラを渡すと、なんと大胆な斜めアングルでカメラを構える。さらに、私のカメラでおばさんのポートレートを撮らせてもらうと、おばさんも私のポートレートを撮ってあげると言う。再びカメラを渡すとおばさんは途端に足腰のバネを利かせて、カメラマンよろしく立ち位置を変えながら私を連写し始めた。まさかの展開に度肝を抜かれて動転する私。しかも連写がやたら長くて、一体この事態は何なのか、訳が分からなさすぎて笑い転げた。

おばさんは満足したようにカメラを私に返しながら言った。
「ドクター!」
なんとおばさんはお医者さんらしかった。

 

たった1日歩き回っただけで、こんなにチャーミングな人達に出会える街。

ウラジオストクは、信じ難いほど愛くるしい。

 

 
 
そしていよいよシベリア鉄道に乗車。
これまたステキ、かつ快適すぎて興奮してしまう。
 

ロシアンサイズのゆったりベッド座席で、ガタゴトとのんびり揺られながら車窓を眺めた。
景色もまた、ロシアならではの雄大な大地。

そしてふと思った。 

旅好きの人は、ハマったハマらないという問題ではなく、そういう人種なんだろうなぁ。
旅しているときが、自分の生活に最もフィットしているという感覚。
旅しているときが、最も自分らしくいれているという手応え。
もしかしたら浮気性な性格ともリンクするかもしれないけれど、逆に自律の鬼だともいえる。行く先々で愛に溺れることなく、刹那的に出会いと別れを繰り返せるという点において。 

心を自由に解放する行為は、定期的に必要らしい。
自分が自分であるために。