宇宙の再電離(再イオン化)
<前書き>: 2023年6月12日、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡からの新しい観測として、宇宙の創成期の出来事であるビッグバンから10億年後ごろの宇宙の再イオン化(再電離)に関する新しい論文が発表されました。
宇宙の再電離 (cosmic reionization) とは、現代宇宙論で最も有力な「ビッグバン理論」において、宇宙の暗黒時代が過ぎた後に宇宙にある物質が再イオン化を起こした過程のことであり、「宇宙の夜明け」あるいは「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれることもある。宇宙は誕生後に複数回の相転移を経験しており、宇宙の再電離はそれらの中でも最後の相転移とみられている。宇宙のバリオン物質の大部分は水素とヘリウムからなっているが、宇宙の再電離においては厳密には水素の再電離のことを指している。この理論はビッグバンの主要な基盤となっているが、これまで「観測に基づく十分な根拠」を示すことができなかった。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は最も遠方(最も遠い過去)を調査するために近赤外線観測を中心にしており、この成果は、その目的の大きな一端が実現したと言えるだろう。しかし、この理論や観測内容の説明は難しく、単なる天文好きには正確な解説は困難である。以下、関連する資料を提起して、理解や判断は読者に任せよう。
再イオン化時代:ウェッブ、銀河達が初期の宇宙を変えたことを証明する
宇宙の初期には、星と銀河の間のガスは不透明であり、エネルギーに満ちた星明りは、それを透過することが出来なかった。しかし、ビッグバンから10億年後、ガスは完全に透明になった。なぜ? NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡からの新しいデータは、その理由を正確に指摘した。銀河の星達は、彼らの回りのガスを熱してイオン化するのに十分な光を発し、数億年超の間に総体的な視界をクリアにした。調査チームは、宇宙が劇的な変化を経験した再イオン化(再電離)の時代に関する最新の洞察を得た。ビッグバン後、宇宙のガスは信じられないほど熱く密度が濃かった。数億年の間にガスは冷たくなった。以後、宇宙は繰り返した。ガスは再び熱くなりイオン化したのだろうか? 恐らく、銀河達の初期の星達の構成に起因して、何百万年以上で透明になった。
--- 以下はヘッドラインから。
クエーサ J0100+2802 (近赤外線カメライメージ)
ウェッブを使っている研究者達はクエーサ J0100 + 2802 に観測を固定した。クエーサは非常に明るく、懐中電灯のように働き、クエーサと望遠鏡の間のガスを照らす。チームは、クエーサの前に横たわる59に焦点を当て、ビッグバンの約9億年後に全て存在した117の銀河達を分析した。研究者達は銀河自体のみならず、それらを取り巻く照らされたガスをも調査することができた。 これらの銀河達は、あるものは不透明な、またあるものは透明な(イオン化された)、宇宙がガスのパッチワークを含んだ再イオン化の時代の終わりの直前に存在した。研究者達は、宇宙が劇的な変化を経験したこの時代に何が起きたのかを説明する証拠を長い間探してきた。ビッグバンの後の宇宙の中のガスは、信じられないほど熱く密度が濃かった。数億年を超えてガスは冷たくなった。その後、宇宙は繰り返した。ガスは再び熱くなりイオン化し、そして透明になった。
--- 以下はヘッドラインから。
<出典>: オリジナル
<ひとこと>: イメージのリンク先は原画です。なお、論文の筆頭著者は名古屋大学から。
参考までに関連する記事の説明は以下(日本語ウィキペディア)から。
宇宙の再電離
クエーサ
ビッグバン元素合成
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