ウエスティに猫な日々

日々の料理と外食、趣味の熱帯魚と読んだ本の感想と我が家の犬と猫の話。
ほか、日々のちよっとした独り言。

「 鏡の花 」  道尾秀介

2016-11-18 22:56:01 | 
    「 鏡の花 」  道尾 秀介

       

それは、〝 もしも 〟で変わってしまった6つの世界。

第一章「やさしい風の道 」8歳の章也は姉翔子の幽霊と一緒にバスに乗り、あることを確かめに章也が生まれる前に両親と姉が住んでいた家を訪ねる。
そこに住んでいたのは瀬下老人。 老人から姉は1歳半の時にベランダから落ちて亡くなったことを教えられる。
姉は自分が死んだ原因がわかり、章也は両親が引っ越した訳を知り2人で帰路に着く。

第2章「 きえない花の声 」では、第1章で登場の瀬下老人は若い頃に海に転落して亡くなっていて、妻・栄恵は夫の死に何か割り切れないものを感じていた。
18年後、栄恵と息子俊樹が旅行先で夫の同僚・飯先と結乃の娘・葎に会い、夫が亡くなった前後の様子を聞いてやっと理解する事ができた。

第3章「 たゆたう海の月 」 瀬下と栄恵の息子俊樹が就職先で崖から転落して海に落ち亡くなったと警察から知らされる。
第4章「 つめたい夏の針 」では、第1章とは反対に翔子の弟の章也は2年生の時にトラックにはねられ亡くなっている。
第5章「 かそけき星の影 」瀬下の息子俊樹と飯先の娘葎の婚約が調った。 闘病中の母・栄恵が亡くなったとの知らせが届く。
第6章「 鏡の花 」で、民宿( 菱花 )に、瀬下夫婦、飯先夫婦、俊樹と葎夫婦と2歳の息子創介。高校生の翔子と友人の真絵美、そして、中学生の弟・章也と真絵美の弟・直弥が全員が集まった。
それぞれ、登場人物は同じだが、もしも、、、、だったらと状況が少しずつ違っている。 第6章である出来事が起こり、話は一つのまとまりになる。

私も子供の頃や思春期によく考えました。 もしこんな時、母が生きていてくれたらとか、父は大好きでしたが、母と父が入れ替わっていたらどうなっていたかななんて。
そうなれば、現在、ここにはいなかったと思うし、全く違う人生を選んでいたと思う。 性格も、もう少し違っていたでしょう。寂しかった父と妹の人生も変わっていたはず。
人間だれしも、もしもあの時ああしていればと思う岐路を沢山選んで生きてきました。自ら選んだ道も、突然、他者から遮断された道も。 よかったことも後悔もあります。
生死を分けることも、別れることも、何かに失敗することや成功することも。 それが予測できないのが人生ですものね。 面白い試みの本でした。


 
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