「 海の見える理髪店 」 荻原 浩
第155回 直木賞受賞作。 表題作と他で6編の短編集。
以前、渡辺謙さん・樋口可南子さん主演映画 「 明日の記憶 」観ました。
若年性アルツハイマー病を扱った映画でしたが、荻原浩さんの作品だったのを、この本を読んでから知りました。
「 人生の可愛さと切なさ。 大人のための泣ける短編集。」
「 伝えられなかった言葉。 忘れられない後悔。 母と娘、夫と妻、父と息子。 胸にしみる家族小説 」と書いています ( BOOK データベースより )
「 海の見える理髪店 」
僕は最初で最後の予約を入れて、遠く離れた海辺の理髪店を訪れた。
その店は、大物俳優や政財界の名士たちが通い詰めた伝説の床屋だったが、15年前に店をたたみ、海辺の町に移ってきた。
店主は丁寧に僕の髪を切りながら、生い立ちから現在に至るまでの事情を長々と話し出した。
~~~~~~~
なんで自分の人生を等々と、初めての客に話し出したのか不思議でしたが、最後に納得がいきました。
私も子供の頃、そう、小学生の低学年ぐらいまで、父親が髪を切ってくれていたのを思い出しました。
乙女刈り。 おかっぱみたいに前髪をそろえて、後ろを短くする切り方。
下に新聞紙を敷いたり庭に出て椅子に座り、ケープをかけて切ってもらいました。
父親は手先が器用で、床屋の鋏もバリカンも揃っていました。 もちろん顔そりも、あのブラシで泡をたてて剃刀で剃ってくれました。
皮で剃刀をシュッシュッとしている姿を何十年ぶりかで思い出しました。
本を忘れて思い出に浸り、懐かしくて泣きそうになりました。 グッとくる作品でした。
~~~~~~~
「 いつか来た道 」
画家の母から逃れて16年。 弟の充から「 母に会ってほしい。いま、会わないと後悔するよ。」と電話を貰い、町に帰った杏子は母に再会。
母は認知症を患っていた。 過去に戻っている母と話し、当時の母の心が少し理解できた気がする。 「 また、来るからね 」
「 遠くから来た手紙 」
仕事人間の夫と、干渉する義母に疲れ果て、子供を連れて実家に帰った翔子のもとに不思議なメールが入りだした。
伏字だらけの古い文面のメール。 84歳で亡くなった祖母と戦死した祖父の当時のやり取りか?
それにより、夫孝之との中学生の時の出会いと初めてもらった手紙、その後の文通と付き合い結婚するまでを思い出し、東京に帰る決心をする。
「 空は今日もスカイ 」
親の離婚で母の実家に預けられた茜は家出をして、途中で知り合った親から虐待されて隠れている少年とともに海を目指す。
「 時のない時計 」
父の形見の壊れた時計。 古い時計屋を見つけ修理を頼み、待つ間、父親との思い出にふける。
「 成人式 」
一人娘を中学生の時事故で亡くした両親が、娘の成人式に二人で代理出席しようと相談して決行。
スーツと振りそでを着て、周りから驚かれ、呆れられ、笑われながらも娘の友達たちに助けられ参加することができた。
~~~~~~~~
どの作品も、本当に、可笑しくて切ない作品でした。
作者と年代が近いので、懐かしく、何かと感じるものがありました。
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ありがとうございます。
第155回 直木賞受賞作。 表題作と他で6編の短編集。
以前、渡辺謙さん・樋口可南子さん主演映画 「 明日の記憶 」観ました。
若年性アルツハイマー病を扱った映画でしたが、荻原浩さんの作品だったのを、この本を読んでから知りました。
「 人生の可愛さと切なさ。 大人のための泣ける短編集。」
「 伝えられなかった言葉。 忘れられない後悔。 母と娘、夫と妻、父と息子。 胸にしみる家族小説 」と書いています ( BOOK データベースより )
「 海の見える理髪店 」
僕は最初で最後の予約を入れて、遠く離れた海辺の理髪店を訪れた。
その店は、大物俳優や政財界の名士たちが通い詰めた伝説の床屋だったが、15年前に店をたたみ、海辺の町に移ってきた。
店主は丁寧に僕の髪を切りながら、生い立ちから現在に至るまでの事情を長々と話し出した。
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なんで自分の人生を等々と、初めての客に話し出したのか不思議でしたが、最後に納得がいきました。
私も子供の頃、そう、小学生の低学年ぐらいまで、父親が髪を切ってくれていたのを思い出しました。
乙女刈り。 おかっぱみたいに前髪をそろえて、後ろを短くする切り方。
下に新聞紙を敷いたり庭に出て椅子に座り、ケープをかけて切ってもらいました。
父親は手先が器用で、床屋の鋏もバリカンも揃っていました。 もちろん顔そりも、あのブラシで泡をたてて剃刀で剃ってくれました。
皮で剃刀をシュッシュッとしている姿を何十年ぶりかで思い出しました。
本を忘れて思い出に浸り、懐かしくて泣きそうになりました。 グッとくる作品でした。
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「 いつか来た道 」
画家の母から逃れて16年。 弟の充から「 母に会ってほしい。いま、会わないと後悔するよ。」と電話を貰い、町に帰った杏子は母に再会。
母は認知症を患っていた。 過去に戻っている母と話し、当時の母の心が少し理解できた気がする。 「 また、来るからね 」
「 遠くから来た手紙 」
仕事人間の夫と、干渉する義母に疲れ果て、子供を連れて実家に帰った翔子のもとに不思議なメールが入りだした。
伏字だらけの古い文面のメール。 84歳で亡くなった祖母と戦死した祖父の当時のやり取りか?
それにより、夫孝之との中学生の時の出会いと初めてもらった手紙、その後の文通と付き合い結婚するまでを思い出し、東京に帰る決心をする。
「 空は今日もスカイ 」
親の離婚で母の実家に預けられた茜は家出をして、途中で知り合った親から虐待されて隠れている少年とともに海を目指す。
「 時のない時計 」
父の形見の壊れた時計。 古い時計屋を見つけ修理を頼み、待つ間、父親との思い出にふける。
「 成人式 」
一人娘を中学生の時事故で亡くした両親が、娘の成人式に二人で代理出席しようと相談して決行。
スーツと振りそでを着て、周りから驚かれ、呆れられ、笑われながらも娘の友達たちに助けられ参加することができた。
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どの作品も、本当に、可笑しくて切ない作品でした。
作者と年代が近いので、懐かしく、何かと感じるものがありました。
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