予約開始直後にベストセラーとなるも、発売後は?
『Finding Freedom』のペーパーバックはイギリスで17.67ポンド、アメリカで26.99ドルで発売中。日本ではアマゾンにて2813円で購入可能(日本語訳は未発売)。Photo: Chris Jackson/Getty Images
3月で英国王室を離脱したハリーことヘンリー王子とメーガン妃のサセックス公爵夫妻に関する“暴露本”『Finding Freedom』が、8月11日に世界同時発売された。二人の出会いから王室離脱まで詳細に記載され、しかもメーガンが悲劇のヒロインばりに描かれているという噂の“自伝”で発売前から大きな話題になっていた。が、蓋を開けてみると少なくともアメリカでは発売前ほど、取り沙汰されていない。
発売初日こそプレオーダーのおかげで10位にランクインしたものの、一週間後には米アマゾンのランキングでは総合で2桁台後半をようやくキープしている程度。現在、全米の書店はコロナ禍の影響で予約販売のみで店頭販売は無いに等しく、ほとんどがオンライン販売であるから、米アマゾンのランキングは業界全体のランキングとほぼみて差し支えないだろう。ちなみに評価は星3つ半だ。
本人取材なしの自叙伝。
2017年11月2日、婚約を発表した。Photo: Chris Jackson/Getty Images
あれだけ話題性のあった二人を扱っているというのに、なぜこれほどふわっとした売れ行きなのかと考えてみるに、まずとにかく内容が希薄なのだ。英国王室関連のネット記事をこまめにチェックしている人ならば、どこかで聞いたような内容ばかりであり、それでいて「サセックス公爵夫妻はインタビューを受けていないし協力もしていない」と明言されている。
「100人以上の友人・知人・関係者への取材」で構成されているという割には、「『アイラブユーを最初に言ったのはヘンリー王子からで交際3カ月に入った頃。アイラブユーと言われたメーガンは即”私もよ”と答えた』と友人が語った」と書かれているが、そんなことを「御友人に語られる御二人も全くどうかしてるざーますこと!」と思ってしまうような、どうでもいいことにあふれている(とはいえ、年端もいかない高校生の男女でない限り、欧米で「アイラブユー」はプロポーズをするのと同じくらい重い言葉なのだけど)。真実に限りなく近い伝記だという体(てい)でありながら、本人たちには取材していないという体という矛盾が常に頭の片隅で引っかかり、なんとも中途半端な気持ちで読み進めなければならない。
著者のオミッド・スコビー(Omid Scobie)とキャロリン・ディラン(Carolyn Durand)は、王室ジャーナリストという肩書きで英米のメディアに寄稿しているというが、本書が著作物としては処女作なので過去の刊行物と比べることはできず、情報収集能力としてどれだけの内通者なのかは判断できない。だが、時に小説風の語り口、時にゴシップ記事そのもの、という書き振りの統一感のなさが、中途半端感に拍車をかけている。
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大自然に包まれ、輝くローラのパワー。
YVES SAINT LAURENT BEAUTE
とはいえ、昨年には電話での会話を盗聴されたとして出版社を告訴し、今年7月には息子のアーチー君の写真を違法に撮影されてプライバシーを侵害されたとしてパパラッチを告訴した二人だけに、この『Finding Freedom』が気に食わない内容だったら法的措置を取るだろう。ただ、そんな様子は微塵もないということは推して知るべしということでもあろう。
しかし内容の希薄さより、問題は内容そのもの。冒頭で「暴露本」と書いたが、いわゆる暴露というより、むしろ「言い訳本」という新しいジャンルを誕生させたのかもしれない。しかもメーガン目線の言い訳だ。二人の王室離脱に関しては、当時のある調査で〈賛成が6割〉に達した。これは二人の行動を称賛したわけではなく「二人に税金を使われなくて済む」という理由で、「二人が王室離脱しても寂しくない」が半数を占めたという逆風の状況下において、そのあれこれを正当化することを目的にした368ページのレポート、と言っていいかもしれない。
メーガン妃の“言い訳”とは?
ピッパ・ミドルトンの結婚式では姉のキャサリン妃がブライズメイドを務めた。Photo: Samir Hussein/WireImage
例えばメーガンといえば結婚式クラッシャーだが、この件に関しての言い訳は、王室仲間と家族、そしてマスコミ批判につながっている。キャサリン妃の結婚式の時に「姉よりセクシー」とまで言われたピッパ・ミドルトンに招待されながら、教会での挙式に出席しなかったのは、出席すれば結婚式会場が美尻で有名なピッパとの対決の場になるとマスコミにいじられたから、だとか(はああ?)。挙式後の披露宴には出席したけれど(「徹底的に地味を心がけて」)、ピッパの意向のせいでヘンリー王子になかなか会えなかった、という主張はピッパに意地悪されたと言っているようなもの。
ヘンリー王子の従兄弟で親友でもあるユージェニー王女の結婚式で自分が妊娠をしていると明かし、ユージェニー王女の結婚の話題を台無しにしてしまったこともあったが、これは夫妻でのオーストラリア訪問を控え、このロイヤルツアーが妊娠の噂で持ちきりになってしまわないように「パーフェクトなタイミング」で発表したという。
メーガンは妊娠中にも関わらず、16日間で76の公務をこなした、と称えられている。しかし「この発表は特にユージェニー王女には受け入れられず」「妊娠の発表は少し待ってくれればよかったのに」と友人に語ったと綴られ、あたかも王室の公務である海外訪問より自分の結婚式に影を落とされたことを嘆くユージェニー王女は自分本位だと遠回しに嘲ているようだ。
2018年10月、オーストラリア訪問中にメーガン妃がお腹に手をあてる場面も見られた。Photo: Chris Jackson/Getty Images
そしてサセックス夫妻が非難を浴びた最大の一件が、エルトン・ジョンのプライベート・ジェット事件。この言い訳は本当にひどい。全てのトラブルは常に誰かの「せい」だが、ついには矛先がヘンリー王子にさりげなく向かった。ヘンリー王子が環境問題に取り組んだ世界的なイベントに出席した合間を縫って、メーガンの誕生日直後に夫妻はエルトン・ジョンのプライベート・ジェットでイビサ島やニースにある彼の別荘を訪れた。当然ながら、二酸化炭素を大量排出するのに少人数しか搭乗できないプライベートジェットでの移動は、環境問題を全く意識していないと非難された。
「王子にはいわゆる偽善者だと烈火のごとく批判が起こった」(実際には夫妻に対しての非難である)、「王子はプライベートジェットでの移動は批判が起こるからやめた方がいいという側近のアドバイスを聞かなかったことを後悔した。真面目な王子は、この件で最初に自分の過ちを謝罪した」と、全くメーガンは蚊帳の外。むしろヘンリー王子に全ての責任をなすりつけている(素直に謝るヘンリー王子はいい人だが)。
かといえば、宮殿内でスタッフからメーガンが「ダッチズ・ディフィカルト」(気難しい公爵夫人)と呼ばれていたという噂に関しては「何んでもかんでも反抗的と捉えられ、黒いネイルやワンショルダーのドレス姿も批判の対象になった」と、この噂自体は深掘りしないという都合の良さ。
『Finding Freedom』の主役はメーガン妃。
今年3月、最後の公務となったコモンウェルスデーの式典にて。Photo: Gareth Cattermole/Getty Images
24章からなる本書だが、第1章はメーガンの生い立ちから女優としての活動が語られ、ヘンリー王子の名前がようやく出てくるのが第2章といった具合で、メーガン主体の構成。王室離脱もメーガンとの出会いがなければ起こらなかったであろうことなので(とはいえ、ヘンリー王子はメーガンに影響される前から王室から距離を置くことを考えていた、とも書かれている)、その「誤解」を解き、正しくメーガンを理解してもらうという目的で本書は執筆されたのであろうが、「メーガン以外全て悪」のトーンには共感も同情も全く起こらず、好感度挽回に全くの逆効果だ。
ヘンリー王子の母ダイアナ妃は世界中の人から憧れられたのと同時に、19歳でチャールズ皇太子と結婚するも、実は夫には意中の女性(カミラ夫人)がいたという葛藤に同情が起こった。このような感情を、「自立したアメリカン・ウーマン」「セレブな女優」「ヘンリー王子に好かれようと努力したわけではない」「ヘンリー王子に初めて出会った時から常に自然体だった」というメーガンにはどうしても抱けない。また、例えば「レオナルド・ディカプリオやジョージ・クルーニーも出席するイベント」だとか「マドンナも常連のレストランに」と、ヘンリー王子という絶対的セレブを差し置いて、やたら文中にセレブやブランドの名前が出てくる。いわゆるネームドロッピングの手法でセレブ感を醸し出す違和感が拭えないというか、むしろあまりにも頻繁で無神経過ぎるのが滑稽だ。
自立する女性(その解釈もズレているように思えるが)という概念をやたらと持ち上げる論調は、イギリスとアメリカの「価値観」の違いもあるだろうが、メーガンはイギリスの階級社会をわかっていない(から仕方がない)という声もよく上がっていた。だけど、実はハリウッドだって厳格な階級社会。主演は主演、助演は助演、キャスティング時から厳密にランク付けされて待遇も全く違う。強いていえば、テレビ女優と映画女優だってあからさま過ぎる区別がある。それをなぜ応用して受け入れられなかったのか……と思うけれど、だからこそハリウッドでは、ベストポジションがせいぜいテレビ女優ということだったのかもしれないとさえ思う。要は15億円超のサンタバーバラの家に住むセレブは珍しくないアメリカで、ロイヤルの称号がなくなったメーガンの人気と注目度は女優時代に戻りつつある結果が本の売れ行きなのかもしれない。
セレブシェフがイギリス王室の食事の味を爆発させる:女王はピザが嫌い、ウィリアムはインド料理が好き
[Global Times Reporter Liu Yupeng]「女王はピザが好きではありません。」元イギリス王室のシェフ、ダレンマグレディは最近、エリザベス2世女王と彼女の家族の食生活についていくつかの秘密をメディアに明らかにしました。ダレンは15年間王室の料理人を務め、ダイアナ妃と2人の息子を4年間務めました。
データマップ:イングランドのエリザベス女王。
ロシアの「コムソモールスカヤプラブダ」は27日、ピザはイタリアで生まれ、世界中の多くの人々に愛されてきたと述べましたが、イギリスの女王はそれを好みませんでした。ダレンは、バッキンガム宮殿でシェフとして働いていた間、女王はピザを食べたことがなかったと言いました。しかし、女王がそれを好まない理由は誰にもわかりません。また、女王さまは専属シェフが作ったものしか食べません。女王さまは、嫌いな料理に出くわすと、決して料理をキッチンに送り返さないで、「もう二度と食べたくない」などとメモを残します。
ダレンは、在職中、女王のお気に入りの食べ物はダークチョコレートと狩猟肉、特に鹿肉などの地元の狩猟肉であると述べました。その後、彼はシェフのケンジントン宮殿(当時ダイアナ妃の家族の家)に移り、そこでイタリア料理を定期的にメニューに取り入れました。多くのティーンエイジャーのように、ウィリアムとハリーはピザがとても好きです。さらに、ウィリアムはインド料理も好きです。