たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

清楚さと決断 <1型糖尿病「障害基礎年金の打ち切りは違法」>などを読みながら

2019-04-12 | 差別<人種、障がい、性差、格差など

190412 清楚さと決断 <1型糖尿病「障害基礎年金の打ち切りは違法」>などを読みながら

 

花を見てもどうも花言葉がぴんとこないことが少なくありません。でもこの桜姫千鳥(セントラデニューム)は腑に落ちます。<エピデンドラム:虹手毬蘭の花言葉・誕生花>によりますと、こちらが正式名のようです。で花言葉はこれまた多彩で、<判断力・ささやき・浄福・可憐な美・孤高へのあこがれ・日々豊かに・清らかな幸福>とあります。

 

私は、この花から<可憐な美>とか<清らかな幸福>を感じました。苔むしたところから糸のように細い茎を伸ばしてすくっと立ち、可憐な花を咲かします。厳しい環境の高山帯にでも清らかに咲くかのようです。

 

今朝の毎日記事<「年金停止は違法判断、立ち上がって良かった」1型糖尿病の原告、勝訴に喜び>で勝訴した原告の一人として映っていた滝谷香さんの姿を見て、この花をふと思い浮かべました。1型糖尿病の症状と言ってもよくわかりませんでしたが、次のように語られています。

 

1型糖尿病は、生活習慣が主な原因の2型とは違い、幼少期に発症することが多い。滝谷さんは5歳で診断を受け、20歳から障害基礎年金を受給。保育士として働いていたが、勤務中に低血糖を起こして倒れ、退職を余儀なくされた。

 血糖値を下げるインスリンが体内で分泌されないため、毎食後の注射が欠かせない。頻繁に血糖値を測っているが、自覚症状がないまま意識を失うことも。根本的な治療法はなく、「いつ倒れるか分からない」という不安が常につきまとう。>

 

夫婦とも同じ病気で、<国は2016年、理由も説明せず香さんへの支給を停止。和之さんは翌年度に更新した。夫婦とも症状は変わっておらず、香さんは「なぜ自分が打ち切られるのか。社会に見捨てられたように感じた」と振り返る。>

 

こんな中で裁判を起こすのは大変勇気がいったでしょう。<「裁判を起こして良かったのか」とくじけそうになったこともあった>というのは本音でしょうね。

 

冒頭の記事<1型糖尿病「障害基礎年金の打ち切りは違法」 患者9人が全面勝訴 大阪地裁>で、<幼少期に発症することが多い「1型糖尿病」の患者9人が、理由を明示されずに障害基礎年金を打ち切られたとして、国に処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は11日、患者側の主張を全面的に認め、全員の処分取り消しを命じた。>と報じています。

 

<判決は、支給停止について「生活設計を崩す重大な不利益処分」と指摘。通知書は「2級には該当しない」という結論のみが示された簡素なもので、不利益処分の場合はその理由を説明するよう定めた行政手続法に反すると結論付けた。>ということで、一見、形式的な理由に見えます。記事も<2級に該当する症状だったかについて判断はなかった。>ということで実質的な判断誤認とまで判示していません。

 

念のために、原告側の主張について、訴状段階の171121日付け記事を見ますと、<1型糖尿病年金再開求め提訴 患者「打ち切りは違法」>では<川下清弁護団長は「国は患者の生活の厳しさを分かった上で年金を支給してきたはずなのに、なぜ打ち切ったのか。訴訟を通じて、処分のおかしさを明らかにしたい」と訴えた。>と当然ながら支給停止の実体的な誤りを指摘しています。

 

とはいえ、理由を示さない不利益処分は行政手続法に違反します。

同法141項では

「行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。」と規定されています。

 

厚労省は2級に該当しないと指摘したことが理由と考えたのでしょうか。そうだとすると、それはおかしいですね。2級に該当するかどうかは、年金受給者にとって重大な事柄ですし、症状認定の理由を具体的に示す必要がありますね。たとえば自動車損害賠償責任保険の後遺障害等級の認定票では、結論の理由を具体的に記載して通知しています。それは当たり前です。

 

ところで、厚労省は、判決を受けてやっと重い腰をあげたようです。

別の記事<1型糖尿病訴訟年金通知方法見直し 厚労相表明>で、<根本匠厚生労働相は12日の閣議後記者会見で「今後通知する書面で、どの程度丁寧に理由を記載できるか検討したい」と述べ、受給者への通知のあり方を見直す考えを示した。>ということです。

 

この厚労相の発言からは、訴訟ではこういった通知でいいのだと主張して違法を争ってきたのでしょうね。しかし上記の通りそれはおかしいですね。

 

実際、厚労相の実務上の取扱は、<問題が新聞報道された後、打ち切られた会員はいないという。>ことですから、それは単に通知の形式なミスにとどまらず、等級非該当という判断自体が合理的な根拠を欠いていた可能性を示唆するものですし、大阪地裁としても判断の背後にはそういった事実経過も踏まえているように思えます。

 

今回の1型糖尿病についての一斉2級非該当・支給停止は、国から等級の審査を委任された現・日本年金機構大阪広域事務センターによるものですが、適切な処理が行われているかどうかに大きな懸念を抱かざるを得ません。

 

それにしてもわずかな年金できつきつの生活をしてきたでしょうに半額が突然受け取れなくなれば生きていけないと嘆きたくなるでしょう。苦しく厳しい日々の生活を送る中、原告となって戦ってきた滝谷さんら皆さんの苦労が報われることを祈っています。

 

今日はこれにておしまい。また明日。

 


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