秋祭りが各地で賑わっています。昨日、ある主催者から害虫駆除の相談がありました。わが家の竹藪にスズメバチの巣があるようで、その駆除をして欲しいとのこと。竹藪が祭りの山車が練り歩く道路そばにあり、参加者が刺される恐れがあることを心配してのことです。
さて、このような場合にも法的な問題点を挙げることができます。たとえば
1 スズメバチの駆除(防除)を行政に求めることができるか
2 巣がある竹藪の所有者に要請できるか(土地所有者になんらかの責任があるか)
3 スズメバチに刺されるなどして損害を受けた場合に誰に賠償請求できるか
4 スズメバチを駆除する方法など基準があるか
5 駆除の際、殺虫剤等により誰かが健康被害を受けたとき責任を負う場合があるか
問題1について
現行法で、生物の「駆除」を明記しているのは、松食い虫等を対象とする森林病害虫等防除法くらいでしょうか。それ以外では、「捕獲等」(殺傷ないし殺処分等を含める)を認めている、アライグマやタイワンリスなど特定外来生物を対象とする外来生物法。イノシシやシカなどを対象とする鳥獣保護管理法、鳥獣被害防止特別措置法があります。それに伝染病の場合に殺すことを認める狂犬病予防法と家畜伝染病予防法も関連しますね。いずれも特定の鳥獣を含む生物が対象です。結構、対象が広いですが、それでも生物の種としてはほんの一部にすぎません。
では、それ以外はというと、いかなる生物も駆除・捕獲等を行政が行う法的根拠がありません。ある意味では、動物愛護の世界的金字塔ともいえる?「生類憐れみの令」の基本的精神が現在でも生きているともいえましょうか。むろん、農林水産業の鳥獣被害を理由に捕獲等を促進する鳥獣被害防止特別措置法は、地域の産業、人の生きる糧の保護を優先していますので、綱吉時代にはありえないでしょうね。
結局のところ、それ以外の生物は行政に駆け込んでも、スズメバチ、マムシどころかあらゆる有毒な生物も、害虫・有害生物も行政が法的には対応しなくてもよいのです。長い講釈になりましたが、行政は法的根拠がないと対応できません。
とはいえ、自治体(あるいは首長)たるものは、住民のニーズにいかに対応するかも腕の見せ所です。需要供給のバランス、費用対効果を考慮して、それぞれの自治体では相違工夫していると思います。ですので、中には積極的に自治体自ら駆除を実施する制度や、駆除費の一部を補助する制度を設けているところも相当あります。また、防護服一式などを貸し出すといったサービスを提供する自治体もあります。私は最後のサービスが利用できたので、それを借りてきました。
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