たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

生物と人 <そこが聞きたい ヒアリにどう対処するか・・五箇公一氏>を読んで

2017-08-07 | 生物とのおつきあい

170807 生物と人 <そこが聞きたいヒアリにどう対処するか・・五箇公一氏>を読んで

 

昨夜は台風5号の影響でしょうか、蒸し暑く寝苦しい夜でした。無風状態に近く、それでいて湿気が高いのですから、扇風機をかけていても効き目があまりないのです。なんどか目が覚め、ついには階下で寝ることにしました。少しだけ温度が下がった感じでしたので、少し安らぎました。エアコンで涼むよりは少し汗をかいて寝る方がいいのです。やはり夏は暑いに決まっているわけで、それに順応するように体をしつけることも大事かなと勝手な思いがあります。冬は逆ですが。

 

ところで、気象庁は予測困難な台風5号に困惑しているのでしょうね。だいたい近畿地方を横断ないし縦断する予報ですが、当地では昨日から昼間ではほとんど無風状態で、雨も小雨から少し強くなっていますが、さほどの降雨量とは思えないのです。ただ、夕方に近づくと、風も強くなり、雨脚も強くなってきました。当地ではまだ大変状況まで至っていませんが、場所によっては大変な暴風雨で、降雨量も洪水など危険な状態になるところもあるのでしょうから、観測技術が高まったとはいえ、地域ごとに具体的な状況は予測困難なんでしょう。

 

今日は早めに仕事を終えて帰宅するのが賢明かもしれません。そういうわけで、いろいろ作業もありますが、ブログを夕方前に書き始めることにしました。

 

科学技術の進歩は日進月歩とはいえ、実際のところ、たとえば自然の実態を科学的に解明するのは未来永劫無理なのかもしれません。人間という存在自体の予測不能な活動と影響も関係するかもしれません。

 

見出しのテーマもそのよい一例でしょうか。五箇公一氏の顔をTVでよく見かけるようになりました。特徴的な方なので、目立ちますが、話の内容はさすがに的確です。

 

<輸入貨物に紛れ込んだ強い毒を持つ南米原産の「ヒアリ」が国内で相次いで見つかっている。生態系だけでなく、人の健康も脅かす侵略的外来種。侵入や分布拡大にどう備えるべきか。>

 

この基本的な質問に対し<監視と駆除 まずは10年>と指摘しています。そして<まず強化すべきなのは、ヒアリを早期に発見するための技術と体制です。>として、<環境省と国土交通省は当初、まだ発見されていない港にも、非常に毒性の強い農薬を含んだ餌を大量に置こうとしましたが、安直な対応です。>と行政の対応を批判的に見ています。

 

<外来生物には「10年ルール」があると言われます。在来昆虫などに食べられたりしながらも、逃げ隠れしつつひたひたと数を増やし、10年くらいたつとしっかりとしたコロニー(集団)ができ上がるということです。その時には人間の抑えが利かなくなっています。ヒアリの侵入は今後も繰り返されます。最低でも10年は監視を徹底し、見つけ次第、その場で駆除することが必要です。>

 

現在の監視・駆除体制では十分対応できない点を指摘しています。<港など水際で侵入を防ぐ方法として、例えば、定着国から貨物船が出航する際、コンテナ内のアリなどを殺虫剤で駆除してから荷物を入れる方法が考えられます。ただ、日本は資源や食料などの輸入量が多いので、水際で完全に防ぐのは無理です。他の外来種も同じです。>まさに日本の資源・食料依存体質自体が監視を困難にしているともいえるのでしょう。

 

ヒアリの定着後の根絶可能性についても期待できる話が出てきました。<私たちの研究チームは方法を開発し、ヒアリに備えて態勢を整えています。アルゼンチンアリでは世界で初めて、東京都内の2地域で根絶に成功しました。粘りのあるわなで働きアリの行動範囲を特定し、毒餌でその範囲内の巣を崩壊させるという地味なやり方です。特効薬はなく、時間がかかります。ヒアリ根絶に唯一成功したニュージーランドも、アルゼンチンアリについては、できていません。我々の手法は実用効果が確認されているので、これを応用すればヒアリも根絶できると期待できます。>

 

<外来種とどう向き合えばいいでしょうか。>との基本的質問に対する答えは<被害を回避する方法を学校などで教育すべきです。感染症の場合、例えば「野生生物にはむやみに触らない」といったことです。>と徹底的です。たしかに感染症を引き起こすウイルスが侵入した場合には、そういう対応が必要かもしれませんが、一般的に「むやみに触らない」となるとどうかな、と思ってしまいます。

 

<一番懸念しているのは狂犬病ウイルス。感染して発症すればほぼ全員が死亡します。日本は清浄国ですが、世界の多くの地域では感染の恐れがあります。犬は短期間で死にますが、アライグマは半年~1年は生きて動き回ります。>と聞けば、そういった予防的な心がけもやむを得ないのかもしれません。が、それも人間が招いた問題でもあるわけですね。

 

アライグマの話題がでたので、鎌倉に住んでいた頃のことを思い出しました。アライグマと台湾リスが鎌倉を含め三浦半島でどんどん増殖していた頃でした。私自身は当初、そういう事情も知らず、台湾リスがとてもかわいくて、近所の人が庭木に餌を置いたりして餌付けしているのを楽しく見ていました。台湾リスはどんどん慣れてきてわが家の屋根や周辺の家の戸袋などを寝床にしているのか、自由に往来していました。

 

そしてアライグマも逃げないので、遠くから見るだけでしたが近隣ではかわいい存在のように見ていたように思います。

 

ところが、それぞれ増えすぎて、農作物被害が増大し、駆除対策が次々と講じられていったのです。一度自治体で、そのワナの囲い網?を見せてもらいましたが、とても頑丈にできていて、それでもアライグマが凶暴性を発揮すると壊れそうになるくらいとのことです。顔は一見、かわいいのですが、怒ると凶暴になり、爪や歯は強靱ですので、人では太刀打ちできないようです。

 

イノシシによる農作物だけでなく人への被害も発生していますが、これは外来生物でなく、鹿などと同様に、人間の土地利用の拡大などが影響しているのでしょう。

 

いずれにしても野生生物とのおつきあいは簡単ではないですね。少なくても有害性のある特定外来生物はかわいいとか、といった安易な感覚で付き合うと、困ったことになりますね。

 

ただ、ほんとにこれら特定外来性津物はすべて駆除すべきなのか、そういった毒性や有害性にのみ着目せず、それとは異なる面にも目を向けられないのかと思ったりしますが、それは甘い考えかもしれませんね。

 

五箇氏は、<自然との関係でよく言われる「共生」は野生生物と仲良く暮らすことではありません。互いの生息場所を区分し、相手の領域をこれ以上乱さない。時には、人間界に侵入してくる生物たちと対決姿勢で臨まなければいけないことを肝に銘じるべきです。>と断言します。

 

生息地域のゾーニングを明確にして、お互い近づかないのが望ましいということかもしれませんが、それを破ったのはまさに人間ですね。人間が彼らの生息域に侵入し、彼らをその生息域から追いやったり、意識的・無意識的に異なる生息域に移動させたのですから。

 

少し前の記事<今どきサイエンス「人類」こそが外来種=鴨志田公男>でも、五箇氏の話が引用されています。

 

<原産地の生態系では、さまざまな生物が一緒に進化してきたので、天敵も競争相手もいる。どれも独り勝ちできない。ところが、ある生物が別の生態系に侵入すると、競争相手もなく、独り勝ちすることがあるのだという。>

 

日本は特定外来生物の侵入による被害を受けるとともに、わが国から移動させて被害を与える結果をもたらしているというのです。それが<クズの他にも、山菜として食べられることもあるタデ科のイタドリ(スカンポ)や海藻のワカメ、コイなどがワースト100>なっているのです。場所が変われば、好まれる生物も有害になるのですね。

 

<五箇さんは「私たちが持つ生態系に関する知識はほんのわずか。今後、どのような事態が引き起こされるのか予測できない。だからこそ、できる限り外来種は増やさない方がいい」と指摘する。

 生態系をかく乱する張本人は人間であり、「人類」こそが最悪の侵略的外来種だときちんと認識することが、外来種対策の原点になるはずだ。>

 

人間という生物は、やっかいな生き物ですね。そういう指摘があっても、ペット人気は高まり、どんどん外国からいろんな生物が輸入されていますね。なぜペットが好まれるのか、人間の心にやすらぎが乏しいからでしょうか。人と人と接することではやすらぎを得られず、ペットによって精神的な安定を得ているのでしょうか。

 

野生生物の話から生物一般、ペットまで飛躍したようにも思いますが、すべて根底には人間の性のようなものを感じてしまいます。

 

脈略のない話になりましたが、色即是空からいえば、有害とか有毒とかいっても、結局は同じではないかということには、なかなかならない、人間社会を垣間見つつ、また般若心経の世界を夢見る、台風(ノルー)通過の中で帰り支度に入った私です。

 

今日はこれでおしまいです。


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