たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

プラスチックへの心構え <マイクロプラスチック、みんなで排出抑制を>などを読みながら

2018-07-14 | 廃棄物の考え方

180714 プラスチックへの心構え <マイクロプラスチック、みんなで排出抑制を>などを読みながら

 

私がプラスチック廃棄物に関心を抱くようになったのはいつ頃からか覚えていませんが、40年近くなるのでしょうね。東京都のゴミ戦争でも生ゴミだけでなくプラスチック容器などのゴミ処理が問題でした。

 

そんなこともあってペットボトルは、缶飲料とともに、長い間私には購入する対象から外れていました。容器包装リサイクル法などリサイクル制度が確立していくような雰囲気が生まれてから、いつの間にかポットボトルを手にするようになりました。気が緩んだのでしょうね。また、最近は熱中症対策などで、飲料水・塩分を頻繁にとるようにといった指導がよく聞こえてきますので、私も以前ならまったく携帯していなかったのですが、最近はペットボトルの世話になります。

 

一時期スーパーではレジ袋を有料にするとか、あるいは提供しないとかといった取り組みがありましたが、いつのまにかほとんどの店でなくなったか、別の手法を取り入れるようになったようです。それだけでなく、いろいろな食品で、しかもすでに包装されているのに、さらにプラスチックの袋に入れるのが当たり前といった対応になっていますね。これが基本サービスというか、心遣いのサービスとでも思われているのか、過剰包装が行われているように思えます。

 

むろん分別収集が全国的に普及して、ペットボトルも、容器包装も、リサイクルマークのついたものは分別収集で、リサイクルされるようになっていますので、そういったプラスチック製の容器入りであっても、リサイクルされればいいという法の建前になっているのですから、消費者も販売業者も、メーカーも、そのシステムに乗っかっていることに安心感というか、なんの疑問も感じない人もいるのでしょう。

 

私はさすがにマイバッグを持ち歩き、できるだけプラスチック容器の使用をリデュースするように心がけています。それはリサイクル自体が実際には必ずしもうまくいっていないこと、リサイクルには当然、その分エネルギー消費も無視できないものですので、一番は使わないか、使うのを少なくすることが一番だと思っているからです。

 

それは90年頃にすでにプラスチック自体、あるいはそれが吸着した汚染物質を海洋生物が摂食することで、生態系にダメージを与えている報告が出ていました。89年でしたかエクソン・バルディーズ号油流出汚染では海洋生物の悲惨な被害が世界的に報告され、海洋汚染に注目されるきっかけの一つになったと思います。

 

その後、97年でしたかナホトカ号油流出汚染のときも、海洋生物を守る運動をしているメーリングリストに入っていたら、各地で保護・保全活動している人たちが生物たちの被害状況をつぶさに報告しているのを見て、すごく心を痛めました。そのときプラスチックの細粒子による海洋生物の被害も報告されていました。とくにプラスチックは半永久に近いほど消失しないため、海流の影響で北極海などにたまったりして、その被害報告もあったきおくです 。

 

欧米ではそういったプラスチックによる海洋汚染に長く警告を発してきたと思います。わが国は島国でありながら、あまり関心を持たない人が多いですね。たしかにプラスチック製品を使用してもしっかりリサイクル、あるいは処理・処分していると問題は少ないでしょうが、実際はそうなっていないのですね。自分の目の周りにやっかいなものがなくなれば、後は野となれといった気分ではいけないのですが。

 

さて前置きが長くなりましたが、<寄稿 世界の海を汚染 マイクロプラスチック、みんなで排出抑制を>は、北川知克・自民党環境・温暖化対策調査会長が、大事なことを改めて指摘されているので、日本政府の前向きでない姿勢と比べれば、評価して良いかと思います。

 

マイクロプラスチックの海洋汚染へのルートは多様ですが、根幹的なルートに下水道から河川、そして海洋へという流れがあるのをうっかり見落としがちです。

 

北川氏は<化粧品や歯磨き粉には微細なプラスチック粒子、マイクロビーズと言われるものが含まれている。顔を洗い、歯を磨いて、それが下水を流れてそのまま海に出て行く。>と述べています。それは他にもプラスチック粒子が使われているものがあると思いますので、相当な量になるかもしれません。

 

<またレジ袋やストローに使われているプラスチックが破砕されて、やはり細かい粒子になって海を汚染する。>これは本来は、不法投棄でもしないと海を汚染しないわけですが、こういったプラスチックは軽くて風で飛んでしまいますし、豪雨時でなくても、相当量が河川・海洋汚染をまねているでしょう。リサイクルのシステムの中でも、梱包・圧縮・運搬などの課程でルートから離れてしまうこともあるでしょう。リサイクルといっても日本で処理しきれず、海外に輸出して、輸出先で適正に処理されないで海洋汚染を引き起こす例もあるようです。

 

北川氏は<議員立法で行った、今回の海岸漂着物処理推進法改正は、マイクロプラスチックについての対応をどうするかということが、きっかけの一つだった。改正では努力義務とはいえ、業界も含めた排出抑制を明記した。その意義は大きいと考えている。>と一定の評価をしていますが、努力義務にとどまってることで、根本的な解決からはほど遠い状況を認めざるを得ないのでしょうね。

 

<欧州ではストローの販売禁止なども始まっている>ことについて、これまで啓蒙活動を怠ってきた日本政府としては、<生活と極めて密着した分野だけに、いきなり生産中止するなどの措置は簡単にできるものではない。>と業界よりのスタンスです。

 

ストローだけならいいかもしれませんが?、<化粧品や歯磨き粉だけではない。紙おむつ、研磨剤の一部、発泡スチロールの原料など、本当に生活のいたるところにある。>プラスチック業界は幅が広く、また、商品・製品ごとに配慮のあり方も異なってくるでしょう。その意味では、慎重な対応は分からなくもないのですが、あまりに放置してきたつけではないかとも思うのです。

 

EUと異なり、わが国の特質として自主規制というか努力が尊重されますが、北川氏も<実は7月5日から、自民党の環境・温暖化対策調査会の部会では、飲み物にストローをつけるのをやめた。小さなことだが「隗(かい)より始めよ」ということで、ちょっとした取り組みから始める。>というのです。ストローだけで終わって欲しくない取り組みですね。

 

北川氏は<環境問題というのは、最終的には一人ひとりの意識の問題だ。>と述べていますが、それはそのとおりだと思います。しかし、忘れてならないのは、戦後一貫してプラスチックの新たな用途を拡大し、飛躍的に増大することを産業政策として進めてきたのも政府です。政府内で、この問題についてしっかりした討議をしないと、国際舞台で先駆的な役割を担うことは困難ではないかと思うのです。

 

北川氏は、<国民の皆様には、今回の法改正をきっかけに、少しずつ意識を変えて、身近な生活のなかから知恵を絞って、環境のために行動してほしいと思う。我々政治の役割は、そのような意識の改革につながる法整備や法律の運用を的確に行っていくことが必要であると考える。>たしかにそうですが、国民が意識化できるように、単に海洋の問題として取り上げるのではなく、生活のあり方を見直すような取り組みをしてもらいたいものです。

 

なお、EUの新たな規制については<欧州ニュースアラカルト「EUがストロー禁止」の裏を読む>がわかりやすくとりあげています。

 

今日はこれにておしまい。また明日。

 

 


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