たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

竹林と森林の違い <福島・除染偽装 過大受給は1000万円>を読んで

2017-05-12 | 企業・事業・研究などの不正 適正な支援

170512 竹林と森林の違い <福島・除染偽装 過大受給は1000万円>を読んで

 

今朝は一旦、暗闇の中目覚めたものの、すぐに眠りにつき、いつものように夜明け前の薄明かりにしっかり目覚めておき出しました。野鳥のさまざまな声にも慣れてきましたが、野鳥も季節毎というよりか、日々異なる種が飛び交うこともありますね。むろん留鳥に近い、ウグイスやヒヨドリなどは別ですが。そういえばツバメは渡り鳥ですが、割合自宅の周辺が気に入っているのか、相当数が勢いよく飛び回ります。今朝はなにやら家族会議なのか賑やかに近くで声を立てているので巣作りでもしているのかと近づいたのですが、わが家の軒先でだべっていただけのようです。顔を出すと、勢いよく飛び去っていきました。余計なお節介でした。

 

以前にも書きましたが、自宅の目の前にはスギ・ヒノキ林があります。その林の先は和泉山系の広大な針広混交林となっています。スギ・ヒノキ林の先は谷地形の底に当たり、柿畑が広がり、その先はまた小さな丘陵地(多くは柿畑)の登り斜面になっていますが、所々にわずかな竹林があります。見える範囲ではめずらしく竹林が少ないようです。

 

さて、竹林と森林の違いなんて奇妙なタイトルをつけましたが、それが分からないなんてことはないですね。ただ、法律の世界では、その目的に応じて定義づけられるので、奇妙に思われるようなこともあります。たとえば、森林法の規定です。第2条に「森林」とはと定義規定があり、「木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木竹」とされていて、竹と木の区別なく、森林と扱われています。むろん実際の林業、林政において、異なる扱いになっていますが。裁判例になったケースでも、興味深い事件があります。ある放置された竹林が農業委員会の判断でなんと農地と認定されたことがあり、後日裁判で非農地とされたこともあります。その会長の専断的な判断で、農地として低廉な価格評価をさせるためなされ、たしか競売になって、会長関連の企業が落札した事案だった記憶です。

 

さて余談はこの程度にして、福島第一原発事故を含む東日本大震災に対する政府支援は巨額ですが、先のブログでも指摘したように、変な意味で「千載一遇のチャンス」的な発想で、危機対応融資事業で、商工中金が減益でもないのにそれを仮装して不正操作をして融資を行っていました。今度は原発除染活動です。今回は除染の効果が費用に対応するものでないにもかかわらず、巧妙な虚偽工作が行われています。被災で帰還できない、そういう被災者の大勢の気持ちを踏みにじる卑劣な行為です。

 

その内容は毎日記事<福島・除染偽装過大受給は1000万円>よると、

 

<東京電力福島第1原発事故に伴って発注した森林除染事業で、3次下請けの業者が工事単価を10倍に水増しするため、竹林で作業したように装っていた>というのです。

 

その偽装工作は<業者は短く切った竹筒を地面に立てるなどの手口で竹を伐採したように見せる写真を捏造(ねつぞう)し、元請けを通じて市に工事完了報告書を提出していた。>というあくどいというか、竹林以外の木々が立地する「森林」の土に、伐採した竹の幹の一部を差し込んで、竹林を伐倒した外形を作りだしたというのです。

 

<偽装により余分に支出することになった除染費用は約1000万円に上る>ということですから、除染費用全体からするとほんのわずかかもしれません。しかし、この事実を氷山の一角でないと否定できるでしょうか。<市除染企画課の土田孝課長は「書類ベースの確認なので意図的な偽装を見抜くのは難しい。>というように、今回発見できた経緯は言及されていませんが、簡単に偽装できるものですし、現場で確認しないのですから、チェックできるはずもありません。刑事告訴を検討するといいますが、これだけ偽装して過大請求したのですから、告訴相当というべきではないでしょうか。

 

<森林除染の工事単価は通常1平方メートル当たり約500円。だが竹林の場合は伐採しないと除染できないなど手間がかかるため上乗せされ、単価は約5000円に設定されている。>この単価算定基準が妥当なのか、どのような検討を経て決定されたかは気になりますが、いずれにしても、森林であれば、単に葉っぱや落葉をとるだけですので、割合簡単な作業です。他方で、竹林は伐採するというのですから、多少は大変ですし、時間もかかります。といっても私の竹林整序の経験からいうと、㎡単価5000円は、放射性物質の空間線量が高いという点を考慮してもかなり高い設定のように思えます。落葉を取るのでも同じ条件ですからね。ついでに言うと、竹林は枝葉が多いですが、スギ・ヒノキの伐倒に比べれば楽なものです。

 

当該除染事業は、<市は建設3社で作る共同企業体(JV)に計18万5000平方メートルの除染を発注。2014年9月~16年3月に実施され、JVに計約6億2000万円が支払われた。>ということですが、偽装を行ったのは<3次下請けだった福島県二本松市の「ゼルテック東北」(現在は廃業)>です。同社は、<担当した福島市松川町の森林約2500平方メートルが「竹林」と報告。除染を終えた報告書に添付する写真の撮影時、地面に竹筒を突き立てたほか、作業員が切った竹を運ぶ写真も添付し、複数の除染現場の写真としても使い回していた。>ということで、当該実施企業自体に対して責任追及は実際、容易ではないでしょう。

 

除染事業や復興事業では、わが国の公共事業を担ってきた建設業の実態が反映するように、何段階もの下請け構造になっているようです。偽装を行った「ゼルテック東北」は、実際には上からピンハネされるので、さほど大きな実益はなかったと思いますし、まして現場作業員も受け取った金額はさほど大きな額ではなかった可能性があります。

 

そういう構造自体がこういった偽装工作によって過大というか虚偽請求をすることの温床になっているように思えるのです。

 

それにいくら大量に除染事業があり、その事務処理が膨大だからといっても、単にデスクワークだけで、審理を済ますような体制だと、同じことの繰り返しになるおそれが高いと思います。

 

だれが見ても、竹林は森林ではないですね。それが写真一枚でまかり通る、それはおかしいことです。簡単に対処できるわけではないですが、いくつかの方策は検討されてよいと思うのです。

 

たとえば、一般的には抜き打ちで現場確認を行うという方法ですね。しかし、これも広大な現場を作業員などの協力なくして行う、抜き打ち調査は容易ではないでしょうし、時間・費用もかかるでしょう。

 

それよりもGPS付きカメラで撮影させて、その画像データも提出させるということで、多少とも実態を反映させることができるのではないかと思うのです。その際、注意する点としては、作業前、作業中、作業完了後の各写真が同一場所であることを識別できるように、写真の提供を受けることかと思います。

 

現時点でどの程度、航空写真のデジタル地図化が進んでいるのか分かりませんが、こういった図面があれば、これにプロットして、当該箇所を特定することで、森林が竹林だと言った偽装は簡単にはできないようになると思うのです。すでに一定の森林地域で、こういったデジタル画像が使われていて、林分の識別にとどまらず、林齢・高さなども把握できる方向にあるのではと思っていますが、その実践レベルはどの程度かはよく分かっていませんので、情報があれば提供できればと思います。

 

なお、環境省の<環境省の取り組み 森林の除染等について>でも、また、<「除染関係ガイドライン 第2版(平成289月追補)」>でも、森林と区別して、竹林を伐採する、その費用を10倍程度にするといった基準もなければ、根拠も定めていません。どこで決まったのでしょうね。

 

これですでに1時間余りが過ぎました。ちょうどよい時間なので、終わりにします。いつも中途半端ですが、できるだけ一時間程度で切り上げたいと思いますので、ご容赦ください。

 

 


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