たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

働き方と健康 <健康管理 従業員の健康、企業が支援>などを読みながら

2018-01-07 | 働くことを見直す

180107 働き方と健康 <健康管理 従業員の健康、企業が支援>などを読みながら

 

私は藤沢周平の小説を読んだことがないのですが、それを映画化されたものをいくつか見てきました。その中でも「たそがれ清兵衛」が秀逸と勝手に思っています。その作品評をするつもりではないのですが、配役がそれぞれなんともいえない役どころを演じていて見事なハーモニーを感じさせてくれます。

 

で、その「たそがれ」どきになると、彼の仕事場、勘定所ともいうべき場所では仕事を終えて早々と帰宅につく様子が描写されています。ついでにいうと、わたしのブログ名もこの「たそがれ」にヒントを得て、すこし古典を探ってつけたような気がします。

 

江戸時代、武士は戦争をしないですむ、一見長閑な250年を送ることができたのかもしれません。働くと言っても、短い時間だけお勤めをすればよかったのでしょう。武士の間の上限関係は厳しかったでしょうけど、それを頭の片隅においてやり過ごせば、案外のんびりした生活ではなかったのではと思ったりします。ある意味では自分を通すこともできたのかなと希望的観測で映画を見たりします。

 

私の場合、片岡知恵蔵とか大友柳太朗、さらには大川橋蔵、中村錦之助とかの時代劇で育ったものですから、時代考証など関係なく、面白いチャンバラ劇ばかりの感覚でした。その点、藤沢周平映画を含め最近の時代劇というか江戸時代の映画化されたものが相当程度時代考証がしっかりしてきたのかなと思いつつも、実際のところはよくわかりません。

 

他方で、農民・百姓を題材にした映画は残念ながら見た記憶はありません。おそらくは百姓一揆を指導したり不当な年貢に異議を述べる越訴をした義人とされたような人物を主人公にしたものがあるかもしれませんが、百姓の生活を描いたものは見たことがありません。

 

あまり映画の題材にならないのでしょうか。私がいま関心を寄せている大畑才蔵も、紀ノ川沿いに小田井(昨年世界かんがい遺産登録を果たした)などの大灌漑用水事業を成し遂げたという農業土木技術者として知られていますし、顕彰されています。

 

しかし、彼のもう一つの生き方、農民としての懸命に働く、それも自ら進んで働き方を工夫し、働くことにこそ「安楽」を見いだすような生き方はあまり評価の対象とされていないようです。私はこのブログでもなんどかこの生き方の気高さこそ、高く評価されて良いと思い、その内容の一部を取り上げてきました。その生き方に健康の秘訣があり、心の豊かさの根源があるのではと思うからです。単なる土木技術の先進性にのみ彼の人間としての価値をとどめることでは正鵠を期すことができないように思うのです。

 

彼が自ら進んで懸命に生き、各地を高齢になるまで歩き回り、また、自分の田畑耕作を続けながら、当時としては異例ともいうべき74歳まで現役で藩の仕事を続け、1642年から1720年まで78歳の長寿の人生を歩んでいます。

 

ところで、わが国はいま働き方改革を政府が標榜して、その働き方の改善を目指していますが、どうでしょう、なにか大きく変わってきたでしょうか。

 

長時間労働、過労死、サービス残業、パワハラ、ブラック企業という言葉がいまなお話題になっています。それでもブラック企業のレッテルを貼られることをおそれて企業もいろいろ配慮しつつあることは確かでしょうか。

 

他方で、生活習慣病に、うつ病を含む精神疾患をかかえる患者は増えているように思います。町中にはアメリカ並みとまではいかなくても、心療内科のクリニックも増えているように思いますし、気軽に診察を受ける患者も増えているように思います。私の依頼人にもそういうクリニックに通う方も時折います。

 

江戸時代を封建社会と呼んで、厳しい身分制により自由のない束縛された社会と規定する紋切り型の見方は次第に変わりつつあるように思いますが、現代の労働環境の中に、自由と健康を謳歌している人がはたしてどのくらいいるのでしょうか。

 

いやいや昨年来の株高、好景気で、財布のひもは堅さもとれ、気持ちもるんるん気分、健康で快適な、そのうえ贅沢な暮らしを謳歌しているという人もいるでしょうけど、大半は厳しい現実を耐えているのではないでしょうか。

 

さて前置きはその程度にして、見出しの記事に移ります。毎日朝刊は<健康管理従業員の健康、企業が支援 生活習慣病予防、能率も向上 体力測定会や食事管理>と、ブラック企業といったマイナス評価を受けないような守りの姿勢ではなく、「健康経営」のブランドを標榜しようと攻めの姿勢に転じた企業が紹介されています。

 

<ロート製薬では、片足で立ったままどれだけ前に手を伸ばせるか測り、バランス感覚を確かめるといった4種類のユニークな測定方法を2017年に始めた。>たしかにこういった運動方法はユニークですね。私もついでに挑戦しましたが、短時間でふらつきました。これは体幹が強化されるだろうとか、バランス感覚がよくなるだろうという気分にさせてくれます。それだけでなく遊び感覚があって面白いです。私も体力回復維持に明日から続けてみようかと思うくらいです。

 

最近はやりのアプリを使うやり方もあります。<大日本住友製薬も17年に半年間、スマートフォンのアプリを利用して健康を管理する手法を試験的に導入し、200人が参加した。手首に装着する器具で心拍数など体調のデータを確認するほか、毎回の食事を撮影して送信すると専門家の助言が届く。>

 

あけすけに健康ブランドとして株価に影響させようと目論むのは経産省と東証です。<経済産業省と東京証券取引所は「健康経営銘柄」を共同で選んで15年から公表しており、17年は24社を選んだ。ゴム製品メーカーのバンドー化学(神戸市)もその一社で、各事業所でウオーキングやヨガなど体を動かすイベントを企画し、保健師が取り組み状況を確かめている。>

 

社長自体の意識変革で<「『ホクタテに行けば健康になる』と思ってもらえる職場作りを進めたい」と話している。>というのは、望ましい方向に少しずつ向かっているのかなとの印象を受けます。

 

賃金アップなど経済的側面だけに注目するようでは、これからの企業は成り立たないと多くの企業も姿勢を変えてもらいたいものです。社員一人一人が健康になれば、自然に企業の評価も高まり、取引も拡大する可能性が高いでしょう。

 

それは地方自治体もそうです。観光客を増やそうと躍起になっていますが、そこで生活する人が健康で安らかに暮らしていれば、自然に来たくなるのではないかと思うのです。風光明媚な場所の存在も重要ですが、人が健康で楽しく暮らし、優しくもてなしてくれるそういう役所職員であり、住民であれば、自然と人が集まってくるのではないかと思うのです。

 

健康への取り組みも、アプリや機器に頼りがちですが、もう少し体系的な取り組みを考える時期にきているように思うのです。たとえば、いくら企業の中で運動プログラムを改善しても、日々の通勤地獄を解消させる仕事のあり方を変えるなどの工夫をしないのでは、画竜点睛を欠くどころではないように思います。

 

そして健康の問題は、体力的な問題にとどまりません。心の健康を回復する取り組みをおざなりにしていたのでは、問題の本質を見誤ります。むろんこういった運動療法を早期に展開している企業では精神疾患も少ないかもしれません。しかし現代のさまざまな軋轢を生む社会構造では、この心の健康をいかに保つか、あるいは回復するかといった取り組みをする企業により注視して、そういう方向性を目指してもらいたいものです。

 

そろそろ時間となりました。関連記事を取り上げようかと思いましたが、ちょうど頃合いがよいので今日はこれでおしまいとします。また明日。

 

 


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