たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

事故と安全対策 <奈良・小型機墜落 目撃者「燃えながら落下」 2遺体発見>などを読んで

2017-08-15 | 事故と安全対策 車・交通計画

170815 事故と安全対策 <奈良・小型機墜落目撃者「燃えながら落下」 2遺体発見>などを読んで

 

この時期日本中がお盆行事とレジャーで静寂さと賑わいを醸し出しているように思えます。終戦の日の今日、日本武道館では戦没者追悼式が天皇皇后を迎えてしめやかに行われました。田舎ではお墓参りで普段は閑散とした古家や町にも賑やかな雰囲気に包まれているでしょう。国内外に旅行に出かける人も大勢ですね。

 

そんな中、毎日朝刊は2つの事故を報じていました。一つは見出しの軽飛行機が墜落しご夫婦が亡くなったとのこと。もう一つはカヌー転覆で10歳児死亡とのこと。

 

いずれもご本人、ご遺族は残念で辛い思いでしょう。小型機の事故はそれほど多くないと思いますが、時折発生し、死亡事故につながっていますね。前者は航空機事故ですから本格的な調査が今後行われると思いますが、とりあえず毎日記事から事故原因と安全対策がどうだったか、素人の目で見てみたいと思います。

 

私はカナダ滞在中、なんどか小型機免許をとろうと検討したのですが、結局、雑務に追われてたりして断念しました。まったく知識はありませんが、小型機を操縦することが一つの夢でした。とりわけ水上飛行機ですね。

 

で、今回の事故機はソカタTBM700という私がこれまで乗せてもらった軽飛行機に比べ立派な機体で、毎日記事では「快適性にもすぐれて、高級自家用機などとして利用されている。」とのこと。パイロットならきっと操縦してみたくなるようないい機ですね。

 

しかし、その高級自家用機が上記記事によると、<警察や消防には「燃えながら落ちた」「回転しながら落下した」などの目撃情報が寄せられた。>ということですから、突然の異変が発生したのでしょう。

 

<県警によると、離陸16分後の午後0時13分、男性操縦士から関西国際空港の小型機専用の管制に「八尾空港に引き返す」と連絡があり、3分後にレーダーから消えた。>

 

続報の<「機体は空中分解していた」事故調査官>では<運輸安全委員会の航空事故調査官は15日、「周囲の樹木が折れた状況から、機体が空中分解していたのは間違いない。ほぼ垂直に落ちた」との見方を示した。>というのですから、見出し記事で紹介された<航空評論家の小林宏之さんは目撃情報から「両翼にある燃料タンクに引火した可能性が高い」と指摘。「失速して操縦不能のまま、きりもみ状態で落ちたのではないか。エンジンか燃料系統のトラブルが考えられる」と話している。>というのが実態に近いかもしれません。

 

以上の経緯から、異変を感じてほんの数分で空中分解になるほどに至ったわけで、脱出その他逃れる道はなかったのでしょうね。

 

時折パラシュートがあれば助かるのではといったことを考える人もいますが、よほど訓練を積んでいる人でないと、いくら速度がさほどないといってもかえって危険でしょう。

 

今回はまさにエンジンなど飛行機の燃料系統などの不具合が想定されるわけですが、それもかなり重要な不具合があったのではと思うのです。

 

というのは、私自身、四半世紀前のことですが、アマゾンの森の上をセスナ機で飛んでいるとき、突然、エンジン音が聞こえなくなり、操縦席を見るとパイロットがなにか機器をあっちこっち触っているのです。むろんプロペラも止まっています。空中遊泳でした。なんとも不思議な感覚でした。

 

そのときパイロットが悠長に話したのは、以前、アマゾンの森の上でエンジンが止まり不時着し、そこから町に何日かかけてたどり着いた人がいるということを持ち出し、安心させようとしたように?思います。むろん、広大な森の中で不時着するのも大変ですが、その後歩いて町に出るなんて不可能に近いと逆に不安にかられました。

 

そのとき思ったのですが、エンジンって突然、エンストみたいに止まるんだ(とくに古い被告機の場合?)、でもグライダーみたいに浮力で簡単には落ちないのだと、そのとき結構な風圧を感じながら浮遊していたのを覚えています。

 

パイロットがどのくらいでしょうか、10分にも30分にも感じられましたが、かなりの時間悪戦苦闘?して、ついにエンジンが起動したのです。そしてアマゾンの広大な森から無事脱出できました。

 

でもそのエンジンが燃焼するような自体になれば、飛行機は燃料のガソリンを満タンに積んで離陸したばかりですから、燃え移り爆発するのは必至ですね。

 

それだけ離陸前の整備・点検が大事です。

 

航空法は73条の2

 

「(出発前の確認)

第七十三条の二  機長は、国土交通省令で定めるところにより、航空機が航行に支障がないことその他運航に必要な準備が整っていることを確認した後でなければ、航空機を出発させてはならない。」

 

と定めており、操縦していた機長は、奥さんを同伴していたわけですから、いつもより念入りに確認したと思うのです。

 

実際、<整備会社「7月上旬整備、異常なし」>の記事では<八尾空港内の整備会社「エアロラボ インターナショナル」によると、墜落した小型機は同社が6月末から7月上旬にかけて整備し、異常はなかったという。>しかも<同社は田中さん夫妻と約3年前から付き合いがあり、この日も担当者が田中さんと一緒に機体を確認したという。担当者は「燃料は満タンで5時間半は飛べる。エンジンも問題なかった」と話した。>というのですから、法的な意味での確認義務は履行されたと思われるのです。

 

ただ、平成206月付け航空局航空機安全課の<飛行前点検の取扱いに関する通達の改正について>という通知では、機長の確認義務について、<機長は、当該確認において、航空日誌等の整備記録の点検、航空機の外部点検、必要な機器の作動点検等を実施することが求められています。>とされていて、そのうえ、<航空機安全課長通達において、航空会社に対し、原則として、 法第20条第1項第4号の能力に係る認定事業場(航空機整備改造認定事業場)の確認主任者 又は有資格整備士(以下「確認主任者等」という。)による飛行前点検の実施とこれに必要な人員の配置を求めています。>と厳しい安全対策を必要としています。

 

ところがこの厳しい安全対策について例外を認め、<機長の出発前点検により安全の確保に支障がないと認められる場合には>「飛行前点検を省略」することを許してきたのです。

 

法令にはないので、通達で許容してきたのでしょうか。それでは整備体制が確保されていないと問題だということで、<整備部門との連絡体制や不具合発生時のバックアップ体制についての基準を設定する予定>というのがこの通知の趣旨ですが、その後改正されたのか、まだ見つけられていません。

 

なぜ問題にするかというと、見出しの記事で<国交省によると、同機は今月11日に八尾空港から神戸空港に向かう際、無線電話に不具合があり、引き返すトラブルを起こした。>というのですから、はたして整備が的確になされていたか、また、このトラブルの原因を解明し整備できていたのか、気になるところです。

 

それに事故にあった機長はわずか数日前のトラブルについて認識していたのかも気になります。ひいては担当者の話が、航空日誌等の整備記録等で裏付けられるのかも注視してみたいと思うのです。

 

すばらしい機体であっても、エンジンなど主要部分に不具合があれば、危険物体になるのですから、再発防止のためにも、また、亡くなったお二人のためにも、徹底的な事故調査を期待したいと思います。

 

もう一つのカヌー水難について、<水難事故西日本で相次ぐ カヌー転覆、10歳死亡 島根>の記事では、

 

<14日午前10時46分ごろ、島根県益田市横田町の高津川でカヌーをしていた松江市の男性(49)から「カヌーが転覆し子供が溺れた」と119番通報があった。溺れたのは男性の三男(10)=小学5年=で男性が救助したが、搬送先で死亡が確認された。県警益田署などによると、男性は男児とその弟(8)とともに約3キロ上流からカヌーに乗っていた。男性と弟にけがはなかった。3人ともライフジャケットを着用していた。>というのです。

 

カヌーは何度目かの流行に近い状態でしょうか。私が始めた40年くらい前も少しはやっていましたが、少数派でした。しばらくして野田知佑さんが著作やTVで取り上げられ、ちょうど長良川河口堰などの反対運動に乗り出すなど、全国版になったように思うのですが、カヌーをやらない人にもカヌーの存在が知られるようになったかなと思います。

 

カヌーはだれでも簡単に乗れるものですから、法令の規制はありません。インストラクターの団体などが以前から任意に安全対策を講じてきました。

 

本来、カヌーは安全な乗り物ですが、川下りではヘルメットをつけライフジャケットを身につけるのがマナー(安全対策)です。日本の急流下りくらいだと馬鹿にしていると、沈(転覆)して起き上がれず流されることもあります。岩場が多いので、体中怪我することもありますね。

 

ましてや子どもやビギナーは、ちょっとしたことで沈すると覚悟しておいた方がいいと思います。

 

そのときライフジャケットを着けているから本当は安全なのですが、これも過信してはかえって危険です。私は一度、まだあまり慣れていない人と川下りしていて、排水口から大量の水が出てくるところで流れにのまれて沈したのです。ライフジャケットを着けているのですから、一旦沈んでも浮いてきますし、カヌーに捕まればなんてことはないのですが、慌ててしまうと、かえって水を飲みこみ、ますます動転して、救出することも容易でなくなります。

 

この10歳のお子さんも、ライフジャケットを着用していたわけですが、沈して動転し、水が口に入ると自然に浮くことも忘れてしまったのでしょう。かわいそうですね。ライフジャケットを着用させるだけでなく、私なら一度は水の中に落として浮かぶことを体験させておくことを勧めます。水の怖さにある程度慣れておく必要もあります。また、カヌーが裏返ったときにどう捕まるかも体験しておくといいでしょう。

 

そうすれば、エスキモーロールといった基本的なスキルも身につけることが容易になってくるでしょう。水中でパドル操作するなんてことが当たり前になるのです。というか上達すればパドルもいらない、いやほんとの急流だとパドルも使えないのですから。

 

余談がすぎました。安全対策は、いかにライフジャケットを着用していても、不十分であることを確認しておきたいと思います。そしてたのしい夏の休暇を楽しんでもらいたいと思うのです。

 

今日はこれでおしまい。

 

 


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