たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

不易流行と考古学 <埋蔵文化財専門職員・・減少の一途>と<希望退職 募集企業が増加>を読んで

2018-02-13 | 古代を考える

180213 不易流行と考古学 <埋蔵文化財専門職員・・減少の一途>と<希望退職 募集企業が増加>を読んで

 

昨夜はついつい、男子モーグルとジャンプ女子をしばらく見てしまいました。あまりオリンピック競技には関心をもつことが少ないのですが、やはり画面ですごいのを見たりすると、引き込まれます。

 

冬のオリンピック競技では日本選手はいつもあまりぱっとしない、特に上記2つの競技ではメダルを取ったことがなかったのではないかと思います。日本人のメダル獲得がどうのこうのというより、オリンピック競技自体にさほど関心が湧いてこないのはなぜか私もわかりません。

 

それぞれの選手が日々大変な努力をして修練を重ねている姿は、時折垣間見ても感心しますが、やはりドーピング、莫大な宣伝費用(開催式を一瞬画像で見ましたが凄いと思う半面これは私の好みでないと思うのです)や政治的利用などで興味がそがれてしまうのでしょうかね。

 

それでも男子モーグルで、厳しいこぶをつぎつぎとこなしていく姿は凄いわざと引き込まれます。私のような下手なスキーだと急斜面でこぶをすばやく通過するなんてことは到底できません。というかゲレンデスキーは好みでないので、山スキーかノルディックで森林地帯を歩く方がいいですが、見るとなると、こういった強烈なものは刺激的でたまにはいいです。

 

ジャンプ女子は待っているときだけ見ていましたが、激寒の中で風向きを見てスタートさせるか決めるようで、追い風だったのが、向かい風になったということで、不利な条件のため、いつ再スタートきるかわからない中、待っている姿は気の毒に思います。それもみなさん細身で折れてしまいそうな体格、顔の表情からはまだ幼い様子に見えますから、親心みたいに気の毒な気持ちになってはやく始まらないかとみていました。でもバーを上げて調整することでスタートが始まると、迷いもなく待たされたという心の揺れもなく、どんどんと飛び立つ姿は美しいですね。成績はともかく、こういった鍛錬も日頃から精進しているためか、その後の飛行姿に現れるのでしょう。

 

前置きは、多少本題に関係する気持ちで?書いてみました。どのような事柄も、変わらないことはないと思うのです。ジャンプ女子も、男子モーグルも、日本人選手の力は格段に上がっているようです。競技の世界だから当然ですが、経済状態、雇用状態、文化・文明も一瞬たりとも止まっていることはないのでしょう。変わるのが当たり前、それでいて変わらない普遍のものが輝くのかもしれません。

 

毎日朝刊では<くらしナビ・カルチャー 埋蔵文化財専門職員 考古学支える「花形」、減少の一途 採用ミスマッチ、解消を>とのタイトルで、<行政や公益法人で埋蔵文化財の発掘調査や保存活用を担う「埋蔵文化財専門職員」が苦境に立たされている。>として、詳細な報道をしています。

 

古墳女子とか歴史女子とか○○女子がどんどん考古学のある一面に入ってきているように見えますし、TV番組でもそういった考古学に関わるような一面がよく取りあげられていると思うのですが、現場の状況はだいぶ違うようです。

 

<「考古学技師」などと呼ばれる花形で、ひと昔前は正職員の座を射止めるのは難関だった。しかし近年、職員を募集しても応募者が少なく、合格者が出なかったり、内定を辞退されたりする“採用不調”が全国で相次ぐ。職員の世代交代が進む中、蓄積された知識や技術の継承が危ぶまれる事態だ。いったい何が起きているのか。【林由紀子】>

 

高度成長期は開発が目白押しで、同時に文化財保護の道も大きく前進したと思います。

その担い手の数や予算について、数字的には<65年に全国でわずか8人だった埋蔵文化財専門職員は、ピーク時の2000年には7111人に。発掘調査費も97年、最高額の約1321億円に達した。しかし、職員、調査費ともほぼ同様のカーブを描く形でその後は右肩下がりに転じ、現在は職員数が約5700人、調査費は約600億円となっている。>というのです。これは深刻ですね。

 

日本各地で「考古学技師」のなり手が減少しているようです。

この危機的状態に、<文化庁は15、16年度に全国で計4回、学生の埋蔵文化財行政への理解を深め、魅力を発信する説明会を開いた。近畿では、これを引き継ぐ形で昨年から、考古学専攻のある25大学と2府5県の主催で開催。先月、奈良大(奈良市)であり、学生が各地で考古学技師や学芸員として働く若手職員の話に耳を傾けた。職員らは、発掘調査や遺物の展示、土地所有者との折衝といった日常業務に加え、東日本大震災の被災地での仕事や天然記念物を保護した経験も語った。>ということです。

 

このような対応で傾向が変わってきたか、判然としません。

そういう中で、林記者が引用する一人の話はなにか将来を示唆するものがあるのでしょうか。

<採用厳しき折に嘱託を経て正職員となった今城塚古代歴史館(大阪府高槻市)の内田真雄さん(42)は、「当時は50倍ぐらい(の試験倍率)は普通で、北海道から沖縄まで行脚する人もいた」と証言。>

そのうえで彼は<嘱託時代に調査した遺跡が道路工事による破壊を免れ、国史跡となった経験から「遺跡を守るだけでなく、数十年後の街の姿を見据えて設計図を描く仕事」とやりがいを語る。その上で「採用後の人材育成は、一自治体の努力では難しい。ブロックやエリアという単位でレベルを高めていける枠組み作りが必要だ」と指摘する。>

 

「埋蔵文化財専門職員」の役割は、現代の時代にあった、そして未来に繋がる道を開拓することを指摘しているようにも見えるのです。

 

話しは飛びますが、今朝の毎日には昨年9月の記事と同趣旨のことが書かれていました。

それは<希望退職募集企業が増加>と<希望退職今年、上場企業20社が募集 事業選択進む>です。雇用環境の好転は、公務員への応募も減少気味になっていて、また、使用者側だけでなく雇用側の意識としても、好調な景気を背景に、転職が容易になりつつあることから、自分の技量をいかせる職場、またより収入がいい職場、あるいは自分の能力を高めることができる職場への指向性が高まっている一面があると思うのです。むろんまだまだ低収入の複層構造は頑固な地盤としてありますが。

 

で、「埋蔵文化財専門職員」となるような方は高度な学術知識をもち、またさまざまの現場に応じた保存、展示、社会との関係づくりなど、多様な能力をもっていると思われます。しかし、その能力が生かし切れているか、気になります。

 

と同時に、高齢化が進む現代では、私も含め考古学や歴史学の世界は、海外などにでれば別ですが、お金もかからない道楽みたいなもので、私なんかいつも驚くほどの知見を披露する方が全国各地に大勢いらっしゃるようです。そういった本格的な考古学・歴史学ファンの期待に応えるような、フォーラムや保存・展示のあり方について、オープンな議論をして進めていくようなあり方が、求められているように思うのですが、どうも「埋蔵文化財専門職員」が主導的に何かをできる位置付けが法的にも、自治体組織内部においても、十分に手当がなされていないように思うのですが、それは実態と違うと指摘される類いの話でしょうかね。

 

考古学や歴史学とまちづくりや教育など多くの境界を取り払った形での、新たなあり方を模索することで、その仕事の担い手に対する魅力も高まると思うのですが、それはすでに各地でいろいろな試みがなされている、それを知らないだけと言われるかもしれません。あるいは地道に仕事をしていくことが重要な役割ということもあるでしょう。

 

抽象的な議論は、この程度にして、たとえば中百舌鳥・古市古墳群では、「埋蔵文化財専門職員」は一体、どのような役割を担ってきたのでしょうか。多様な問題がある中で、政治的な立場をとることはできないとしても、その職務として、仮に世界遺産登録になった場合に、現在の状況でいいのか、何をどう変える必要があるのか、そういった基本的な事から、多様な議論について主導的役割を演じてもらいたいというのは、ちょっと現実離れした意見でしょうかね。

 

今日はこれにておしまい。また明日。


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